【目標計画】宇野昌磨はあえて目標を立てない。日々大事にしていることとは?
最終更新日:2023/11/17
各メディアからのインタビューで聞いている人を楽しませてくれたり、驚かせてくれる宇野選手ですが、平昌オリンピックのメダリスト会見で、
オリンピックという舞台にはみなさん特別な思いがあると思うが、僕にはそういったものが何もなく、特別な感情は芽生えなかった
という受け答えは印象的だったのではないでしょうか?
そんな宇野選手が着実に実績を積み上げているのはどんなマインドからくるのか、過去の発言から推察してみました。
宇野昌磨選手の偉業
主な戦績としては、記憶に新しい2018年平昌オリンピック銀メダル、2017年世界選手権2位、2017年グランプリファイナル2位、全日本選手権2連覇(2016年-2017年)など、数々の実績を残しており、2016年のISU公認大会において世界初の4回転フリップを成功させたことでも有名です。
ジュニア時代にも、2014年ジュニアグランプリファイナルではジュニア世界歴代最高得点を更新し、2009年の羽生結弦選手以来となる日本男子3人目の優勝を果たしています。
【画像引用】宇野昌磨公式サイト:http://www.shoma-uno.com/
オリンピックは目標ではなく、通過点
オリンピックを現実的にとらえ始めたのが平昌オリンピックのほんの一年前、それまでは絶対に無理だと思っていたそうです。
16歳で日本選手権に出場した際、シニアで戦っていくにはレベルが違いすぎる、そう感じた試合が2013年の全日本選手権「ソチ五輪代表を争う大会」で、宇野選手はその最終グループにいました。
そこで目の当りにしたのが極限まで高められた緊張感で
僕がいままで出た試合の中で一番張り詰めた空気感が漂っていた
と語っていました。
あの時の緊張感を自分が作り出したい
そう思い、平昌オリンピック前の全日本選手権の試合に向けてどれだけ頑張ることができるか、を徐々に考えるようになったそうです。
そこには自らに課した挑戦があり、それが「ダブルアクセル+4回転トウループ」。
世界でも異例の大技をあえて攻める姿勢で自分を高めていったようです。
その全日本選手権で優勝を果し、いざ平昌オリンピックという場面では、
― 金メダルについて
もちろん目指しているけどそこに全てをもとめていはいない。
僕は試合が楽しくて好きで、ながく現役選手をしていたい。
そのスケート人生の中の1つの通過点。気負いすぎることなくやりたい。
と語っていました。
オリンピックは一つの試合とみてベストを尽くすのは今までと変わりない。
そんな気持ちで挑んだ平昌オリンピックですが、宣言通り、他の試合と違う緊張感やプレッシャーなどに物怖じせず、見事銀メダルを獲得しました。
点数が出ると同時に銀メダルが確定したが、感情が爆発したように見えなかった、という問いに対して、
全員の演技を見て、全員の点数を見て、自分の点数もどの失敗をしたらどれくらいの点数が出るかだいたいわかっていたので、自分が多分2位かなっていうのは考えていました、
と、コメント。
自分の前の選手の演技を見ると、自分の演技中に影響が出やすいので見ないという選手がほとんど中、良い意味での鈍感力を持っている宇野選手は、強いアスリートとして大事なものを持っている、と羽生選手はコメントしていました。
― 今後の目標
僕はこれから先のことはあまり考えないので、次のオリンピックというよりも目の前の世界選手権にむけて、今回見つかった課題、羽生選手やハビエル選手の完成度の高さ、というものを自分も出せるように頑張っていきたいなと思います。
と、語っています。
大事にしていることは“少しでも上手になる”こと
先のことはあまり考えないと話していた宇野選手ですが、一度自分でやると決めたことに対しての達成意欲はずば抜けています。
例えば、宇野選手が13歳のとき、2011年の新年の抱負として、「トリプルアクセルを飛ぶぞ」と決めていました。
その当時をコーチである山田満知子氏はこう語っています。
「めちゃくちゃ練習していた。
意味ないだろってくらい飛んで、一日何百回もこけていた。
練習量もすごいですし、自分の決めたことに対して“グッ”とくらいついてすばらしく努力する。」
その結果が2014年の全日本ジュニア選手権で表れ、トリプルアクセルを初めて成功させて、初優勝を果たしました。
山田コーチは「習得するのにすごい時間はかかるが、飛べるようになったらほとんどミスがない。」と、宇野選手のスケートに向き合う姿勢の愚直さが才能を開花させたと話しています。
さらに、宇野選手は成長を続け、2016年のISU公認大会において4回転フリップを世界初の成功を18歳で収めました。
常に新たな挑戦をし、成果を残す宇野選手。
一瞬でも立ち止まったら置いていかれる世界に自分はいる
と話しています。
現状維持は退化
挑戦する選手が増えてきている4回転ジャンプについて宇野選手は、
誰かが飛んだらみんな飛ぶだろう
4回転でも周りを見ているとあの人が飛んだからやってみよう
やっぱりできたって感じが多いのでどんどん種類は増える
と語っていました。
宇野選手も4回転フリップは90%の確率で成功させており、フリップ以外にもループ、トウループの4回転ジャンプを習得しています。
演技構成にも3回転ジャンプの本数とほぼ同じ本数の4回転ジャンプを組み込んでいます。
そんな攻めの姿勢でも宇野選手は
周りの選手を見るとまだまだ。自分が飛べたジャンプの種類では物足りない
と発言しています。
何がそこまでストイックにさせるのでしょうか。
― 負けず嫌い
意識している選手のひとり羽生選手について、
今は羽生選手との距離が自分がどれだけ成長しているかのものさしになっているが、将来的にはノーミスしたときにどちらが勝つかわからない選手になれるよう頑張りたい。
と応えています。
しかし、最も負けたくない存在は自分自身だそうです。
2017年の抱負では「昨日の自分に勝つ」とかかげ、一番嫌なことは自分に負けること、常に成長し続ける存在でありたいと決めたようです。
まとめ
ストイックな面を持つ宇野選手ですが、「もっとスケートを楽しむ時間が欲しい」とも発言しています。
その楽しい時間とは、試合なのだそうです。
やり直しが効かない、一度しかないチャンス、あの緊張感は試合でしか味わえない。
努力してその成果が実って手に入れたものだからこそスポーツは楽しい。
とコメントを残しています。
常に目の前の課題と向き合い、それをコツコツと改善していく宇野選手。
ただやみくもに練習するだけではなく今の自分がやらなければいけないことを考えて実行している
と、目の前の課題に思考を集中させることで、着実に道を切り開いている様子が伺えます。
「今、この瞬間」への宇野選手の集中力は凄まじいものを感じます。
「今、この瞬間」に集中することで、周りや環境に影響されず、試合を楽しむことができるのかもしれません。
番外編:宇野昌磨選手のおもしろ語録
今回の趣旨とは異なりますが、「今、この瞬間」に集中し過ぎて、その他のことが疎かになっている宇野選手の発言がおもしろいので、少しご紹介したいと思います。
― オリンピックの試合が朝早いことについてどのように調整する?
寝坊しないように気をつけます。
― 羽生選手と2人でいるときはゲームの話しが多いようで
「宇野選手はゲーマーなのかスケーターなのか分からない」という羽生選手のコメントに対して、
ゲームはスケートより努力しているかもしれない。
― 宇野選手は野菜が好きでなく、サラダは年に1回という偏食ですが、
ロシアの遠征でボルシチ(赤野菜の多いスープ)を食べた際、
嫌いな野菜がいっぱい入っていておいしいです
と一言。
― 髪型を変えたことに触れると
これがパーマかどうかも分からない。寝ておきたらこうなっていた。
美容室ではいつもおまかせのようです。
好きなこと、やり遂げたいこと以外は、あまり興味がないのかもしれませんね。
その取捨選択も、集中力を高める秘訣なのでしょう。
- Writing By
- 城市 実里
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スターティアラボ株式会社
WEBプロモーション事業部 デジタルマーケティンググループ- プロフィール :
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2014年スターティアラボ株式会社に入社。2016年には一般部門で単月売り上げ1位になり、同年所属していた課の年間1位に大きく貢献する。 その経験をいかし、現在はインサイドセールスのトップメンバーとして戦略立案・改善を行っている。