MAツールは魔法じゃない!「マーケティングオートメーション」の選定基準とは
最終更新日:2023/11/20
ご来場いただいた皆さまに、マーケティングオートメーションに対する認知度や理解度を確認してみたところ「まだまだ一般的に知られていない」ということを実感したところです。
ということで、今回は、マーケティングオートメーションの選定基準についてまとめてみました。
マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?
簡潔にいうと「自社にとって有望な見込み顧客を、(1)集客 (2)育成 (3)抽出する 」
―この商談創出活動(デマンドジェネレーション)を、テクノロジーの力を使って効率的に実施するためのツールです。
(1)集客マーケティング活動
(2)放置されている過去の見込み客に対する育成活動や再提案活動
(3)精査することなく営業部門に紹介していたことでお互いに非効率になってしまっていた見込み客の見極め(選別)活動
これらの活動をすべて人的リソースで賄おうとすると、大幅に時間がかかってしまい、結果的に生産性とROIは低くなってしまいます。
それを簡略化・自動化することで、今まではアプローチが不足していたり最適ではなかった見込み顧客に対し、効率的かつ最適なアプローチが行えるようにするのがマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)なのです。
MAツールを導入して上記の活動に取り組むと、必ずと言っていいほど効果が出ます。
しかし、身の丈に合ったMAツールを選定しなければコストがかかり過ぎ、ROI自体は下がってしまいます。
その結果、「トータルでみると成果が上がったとはいえない」というお声をよく耳にするのが実情です。
つまり、まずはMAツールを使う目的を明確にし、ROIを最大化させるために必要な機能や要素を決めてから、見合ったMAツール選定を行うことが重要になるのです。
代表的な機能
選定基準をお伝えする前に、MAツールにどのような機能があるのかという点からお伝えします。
機能を大きく分類すると、以下の通りです。
① | リード管理機能 |
② | WEBサイト構築機能(サイト・ページ・フォーム) |
③ | トレース(アクセスログ、アクションログ、企業IP取得)機能 |
④ | スコアリング機能(またはホットリード抽出) |
⑤ | メールマーケティング機能 |
⑥ | シナリオ作成機能(キャンペーン) |
⑦ | 分析・レポート機能(BI) |
⑧ | 広告管理・分析機能 |
⑨ | パーソナライズ化(コンテンツの出し分け) |
⑩ | 各種ツール(SFAやCRM)との連携 |
一つひとつの詳細な説明は、また別の機会に譲るとして、ここでは、MAツールを完璧に使いこなしている理想的な状態を定義します。
・オフラインの活動も加味してWEBサイトを最適化し、オンラインでの顧客接点を増やすことで、流入してきたユーザーから個人情報を入手する。
・特定の条件を満たすリードに対して自動的にメールを送信しつつ育成を行い、ユーザーの反応に合わせてコンテンツを出し分けつつ、自動追撃を行う。
・営業部門がアツイと感じる条件をクリアしたリードのみを自動抽出し、営業部門が使っている管理ツールにリアルタイムで情報を反映させ、担当者にアラートを出す。
ここまでを網羅している状態を指します。
これだけを聞くとMAツールがまるで魔法のツールであるかのように感じられますが、一つ一つの機能を「使いこなす」ためには、設計・設定において相当なマーケティングノウハウと商材・業界理解が必要になります。
その点を理解せずに高性能・高価格のツールを導入してしまうと、「自社では使いこなせない機能」に対してまで、高額の費用を払い続けることにもなりかねません。
そうならないためには、しっかりと自社の目的と身の丈に合ったツールを選定することが重要になるのです。
MAの選定にはマーケティング成熟度とリソースが重要
当社では、MAツールの選定には「自社のマーケティング成熟度とリソース」が大きな判断基準になると考えています。
まずは、自社の【マーケティングの成熟度】を把握するために、以下の情報を確認してみてください。
オフライン活動の導線をWEBサイトに集約する
・展示会やセミナーなどイベントページの作成やフォロー用メールの用意
・紙媒体やアナログの広告施策のCV用のLPやフォームの用意
オンラインの接点を増やす
・WEB広告の最適化(出稿PDCAとLPO、EFO)
・カスタマージャーニーを作成し「集客」と「個人情報の取得」に活用する
→自然検索からの流入を増やすための集客用ページ(顕在層、準顕在層、潜在層それぞれのコンテンツを用意し、SEO対策を実施する)
→個人情報を取得する為の仕掛け。ホワイトペーパーや中間CVの作成・公開
特定の条件を満たすリードを自動追客
・追客用のメール文章(ABテストを繰り返した上で完成された追客メール)
・自社商材の検討期間やプロセスを進める為に必要な件数分のメール
・条件を選定するためのデータ分析
※自動追撃やアラートの設定についてもこの「特定の条件」の応用となります。
ユーザーの反応に合わせてコンテンツを出し分ける
・出し分ける条件を決めるための傾向分析
・ユーザーごとに訴求する「出し分け用コンテンツ(バナーやページ、メールなど)」
・利用しているWEBサイトにコンテンツを出し分ける設定を行う(ツール利用)
営業部門がアツイと感じる条件の設定(スコアリング)
・WEBサイトとマーケティング活動全体でどのようなアクションをしているユーザーがアツイかの定義を作成する
・デモグラフィック情報や特定のページ閲覧、特定のアクションを起こした人への加点・減点の設定
・営業部門にパスする条件(総得点)の設定と仕組み作り
営業ツールへのリアルタイム反映
・ツール自体の連携設定やシステムのカスタマイズ
・どの情報をどのように連携させるかのルール決め
・アサインと情報の書き込みルールの策定
すべての活動のPDCA
以上が、前述した「機能を最大限使いこなしている状態」を実現するために必要なマーケティング施策の一例となります。
MAツールの導入は、あくまでも、商談創出活動をすでに高いレベルで実行しており、さらに生産性を高めるために「自動化」が必要になって、初めて実施すべき施策なのです。
「自動化」することが目的になってしまっては本末転倒です。
「MAツールを導入したけれど、複雑な設定ができず、結局、一斉メール送信にしか使っていない」というのは、よくある失敗談。
まずは、自社のマーケティングレベルと、「何のためにMAツールを導入するのか?」という目的を明確にしたうえで、必要な機能を定義しましょう。
当社がMAツールの選定に関わらせていただく場合、「スコアリングがしたい」「自動化を行いたい」と要望を受けることも多いですが、
それ以前に、前述した施策を始めていない、または、質が低い場合は、活動を始めても成果が出にくい傾向にあります。
(【例】WEBサイトの状況が整っていない、カスタマージャーニーが完成していない、メールマーケティングを始めていない、リードが少ないなどの理由で、ホットリードが生まれない、スコアが溜まらない…など)
MAツールの導入を検討される際は、同時に、これらを準備・研磨することも検討されることをオススメします。
必要になるリソース
MAツールを完璧に使いこなすには、いくつかの担当者を設ける必要があります。
・マーケティングオートメーションツールの担当者(責任者)
・WEBサイトの運営担当者
・メールマーケティングの担当者
・各種広告の担当者
・アクセスログ等の分析担当者
・顧客情報(DB)の管理担当者
これらの担当者は、専任で設けることを推奨します。
「たとえ兼任であったとしても、用意することが可能か?」
「その担当者の知識・経験は十分か?」
と考えていくと、そこまで高度な活動を行える担当者を揃えることが難しいという企業が多いかもしれません。
その場合は、外部業者にコンサルティングを依頼しなければならず、その結果、費用が大幅にかかってくることも多いです。
以上をまとめると、
どんな部分が自社のマーケティングのボトルネックになっているのかを理解したうえで、
「何を自動化する必要があるのか?」
「できそうなリソースやノウハウ、予算があるのか?」
を明確にしていくことが、MAツール選定において最初に考えるべき項目であり、成功失敗を分ける大きな要因になり得るということになります。
タイプ別に合うマーケティングオートメーションツールとは?
前章でお伝えしたマーケティングの成熟度とリソースの条件別に、必要になってくるMAツールの機能を紹介いたします。
マーケティング成熟度が高く、リソースや 予算も豊富な企業様
機能紹介でご紹介した④、⑥、⑦、⑨ 、⑩の機能が豊富な高性能ツールがオススメです。
(④スコアリング機能、⑥シナリオ作成機能、⑦分析・レポート機能、⑨パーソナライズ化、⑩各種ツール(SFAやCRM)との連携)
マーケティング成熟度が高いが、リソースや予算は少ない企業様
同様の機能が必要になりますが、MAコンサルティングも同時に検討が必要です。
マーケティング成熟度が低いが、今後リソースや予算をしっかりと確保する予定がある企業様
まずはWEBサイトやメールマーケティングの運用を強化する必要があるので、
②、③、⑤の機能が簡単に実行でき、かつ今後も拡張性のあるツールがオススメです。
(②WEBサイト構築機能、③トレース機能、⑤メールマーケティング機能)
マーケティング成熟度が低く、リソースや予算も少ない企業様
まずは、マーケティング活動のボトルネックを把握して、何から始めるのがもっともROIが高くなるかを考えましょう。マーケティングオートメーションツールのメーカーやコンサルティング業者やWEBサイトのコンサルティング業者に相談してみるのも良いです。
リソースや予算を確保するためには、MAツールの導入によってどれくらい成果が上がりそうなのかを経営層に提示し、納得してもらう必要があります。そのため、まずはライトに始めてミニマムな成果を出してから、本格的にMAツールの要件を決めていくという方法をオススメしております。
マーケティングオートメーション導入においてコストや運用の難易度で悩まれている企業様が多いなか、当社では、最小限の機能で効果を感じていただけるよう、まずは無料で使えるバージョンも提供しております。
マーケティングオートメーション検討や活用のご相談もお受けしておりますので
ぜひ一度、ご連絡ください。
- Writing By
- 田中 次郎
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スターティアラボ株式会社
WEBプロモーション事業部 デジタルマーケティンググループ シニアマネージャー- プロフィール :
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2008年スターティア株式会社に入社WEBサイトのソリューション営業を開始。その後スターティアラボ、子会社立ち上げに参画。電子ブック作成ソフト・ARソフトの新規営業チームを受け持つ。2014年 大阪支店長に任命され、営業部門・管理部門・クリエイティブ部門を管理。2015年 東京本社へ戻り、アカウントベースドマーケティングのMG兼、新商材の立ち上げを担う。現在では新商材「Cloud Circus」の商材責任者として開発・戦略立案・導入支援を実施中。