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【海外における最注目のマーケティング動向 #05】ユーザーは”自分の個人情報の価値”を理解しはじめている

記事公開日:2018/09/26
【海外における最注目のマーケティング動向 #05】ユーザーは”自分の個人情報の価値”を理解しはじめている

自分の個人情報にどのくらいの価値があるか、考えたことはありますか?

例えば、Web上における自分の行動履歴が個人情報であることを認識している人は少ないかと思います。そんな個人情報について、企業側は今後より厳しく管理することが求められるようになる可能性があります。

1.企業は個人情報の管理をより厳密にしなければならない

61% said it was extremely important a company deletes personal data when you ask it to. 70% of those that say it’s extremely important to delete data also say they’re concerned that personal information might be shared without permission.

When users were asked the exact nature of their concerns, two responses stood out: security (49%) and privacy (48%).

More than half (55%) name financial details as the most sensitive data type, photos/videos (39%) are a distant second, with personal contact information (38%) in third.

39% said they never share data – demonstrating a lack of understanding of the data collection practices of mainstream apps and services.

  • 「企業は、個人からリクエストされた時に個人情報を消去しなければならない」と答えた回答者は61%
  • 「個人の情報が許可なしで共有されていないか」と心配している回答者は70%
  • 「個人情報の取り扱いについて何が心配?」と聞いた時、セキュリティ管理と答えた回答者は49%、プライバシー保護と答えた回答者は48%
  • 最も重要な情報について、最も多かったのは「個人の債務情報」と答えた回答者で55%。2位は「写真とビデオの動画が重要」で39%。3位は「業務連絡の情報」で38%
  • 「アプリやサービスの情報収集のために個人情報は一切共有しない」と述べている回答者は39%

引用:https://mobileecosystemforum.com/2017/09/27/12-stats-exploring-consumer-attitudes-personal-data-economy/

これらの調査からわかることは、”インターネットユーザーの多くが、企業による個人情報の管理に不安を感じている”ということです。

海外では特に個人情報の管理に厳しく、例えばイギリスでは「自分が映っている映像を消して欲しい」と監視カメラを設置しているお店に伝えれば、お店側は該当する映像をすべて削除しなければなりません。

また、”企業が個人情報保護について知識を持っているかどうか”を、プライベートの時間を割いてまでチェックする人もいるようです。

日本でも数年に一度、大手企業の個人情報流出がニュースになることがありますが、既にEUでは個人情報に関する保護規則がより厳格化されるなど、先進国では具体的な取り組みが始まっています。

金井

国による価値観の違いはありますが、今まで以上に厳格な個人情報の管理を求められていくことになることは間違いありません。データを見る限り、個人情報の管理は単にセキュリティだけの問題ではなく、ユーザーの信頼に関わる問題であり、ブランディングやロイヤルティにも関係する問題だと言えます。

2.個人情報は「石油よりも価値がある」とされている

The more our world becomes connected, the higher the rate of data collection. Calls you make, comments you leave on social media, photos you take, and virtually everything you do on the internet is collected and stored in the digital reserves. Before you know it, we have a term like Big Data and it’s more valuable than oil!

世界がインターネットで繋がれば繋がるほど、企業の情報収集率も上がる。通話をしたとき、SNSでコメントを残したとき、撮った写真など、インターネットでやることは全て記録されデジタルに保存される。今ではビッグデータという言葉も生まれ、石油より価値がある。

引用:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

日本の場合、治療のために病院へ通院した際、自分の治療歴といった個人情報が病院側に保管されることは当たり前という感覚があります。

しかしながら海外では”自分の治療情報が”病院側にとって有益な情報になる”という考え方のほうが一般的なようで、一説では「個人情報は石油よりも価値がある」とも言われています。

金井

ちなみに日本での具体的な金額についての調査結果があったので、合わせて紹介します。

日本のトレンドマイクロが行ったアンケート調査によると、「いくらであれば金銭と引き換えに個人情報を提供するか?」に対する回答で最も高値だったのは「パスワード(ログイン情報)」で7,584円でした。

他にも「健康状態」で5,983円、「健康保険などの社会保障番号」で5,568円となっており、個人情報に対する具体的な価値がイメージされてきていることがわかります。
(参考:https://news.mynavi.jp/article/20150428-a037/)

3.ユーザーは企業の個人情報の管理に不安を抱いている

But because personal data has proved to be so valuable, consumers have become equally as skeptical. They don’t believe the companies they give their data to are doing enough to protect it.

ユーザーは個人情報に価値があることを理解してきており、個人情報が外部で管理されていることについて疑い深くなっている。ユーザーは企業が個人情報を正しく管理(保護)していないとも思っている。

引用:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

「個人情報には価値がある」がわかり、ユーザーは”企業が個人情報を管理すること”に疑いの目を持ち始めています。

Chartered Institute of Marketingの調査によると、「企業は個人情報の取り扱いに責任感をもっていると思いますか?」という問いに対し、「思わない」と回答したユーザーは57%でした。他にもTRUSTe/NCSAの調査では、「個人情報のセキュリティ」と「プライバシー保護」が徹底されていないと心配しているユーザーは92%もいると述べています。

なぜこれほどまでに、企業の個人情報の管理について信用がないのか?

理由としては、大手企業による個人情報の流出問題が相次いでいることが原因の1つの要因だと考えられます。昨年米国のYahoo!社では30億件の個人情報が流出していたと発表がありました。

この流出事件で日本のアカウントは含まれていなかったものの、世界人口の約半数にもなる個人情報が流出しておりその規模はとてつもなく大きいです。
(参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21867310U7A001C1EAF000/)

金井

事件の発覚は5年前の2013年でしたが、流出した件数が30億件と発表されたのは昨年です。正確な件数の発表までに4年もタイムラグがあったこともユーザーの信頼を失った原因です。

4.既にEUでは「個人情報の取り扱いに関する様々な義務」が課せられている

In the spirit of protecting consumer data and making them feel safe in the hands of the mighty corporation, the EU is introducing General Data Protection Regulation (GDPR) in 2018. The effect will be felt way beyond the borders, though.Basically, the regulation will require companies to incorporate privacy settings into their digital products, including websites, and switch them on by default. It also requires them to conduct regular assessment of privacy impact, be more effective in asking for permission to use consumer data, document how they use the data, and be more effective in communicating data breaches.

消費者の個人情報を保護するために、EUは「GDPR」(EU一般情報保護規則)を2018年に発表した。この規則はかなり効果がある。
個人に関する情報を集めたり処理したりする業者に対して、さまざまな義務が課せられるようになった。規則により企業はデジタル商品(ホームページを含む)に対しプライバシー設定する必要があり、プライバシーの影響評価を実施したり、消費者情報を得るときの許可を厳しくしたり、情報をどのように使用するかの報告であったり、情報侵害があった時の連絡方法を効率良くすることが必要になってきている。

参考:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

一般的には、Webサイトを訪問した際にCookie(クッキー)が付与されるのは当たり前のような認識ですが、EU加盟国のWebサイトではユーザーの同意を得ないとCookieの付与ができなくなっています。

GDPR(EU一般情報保護規則)の一部を紹介すると、ポイントは以下の2つです。

  • CookieやIPアドレスも個人情報に含む
  • 個人情報の取得はユーザーの同意が必須

金井

Cookieも個人情報にみなされ、かんたんに取得できなくなるのは、リターゲティング広告が機能しなくなる可能性もありますね。

以下は、海外の旅行系サイトです。

海外の旅行系サイト

画面上部に「個人情報の取得に同意してください」というメッセージが表示されており、同意しないとWebサイトを閲覧することができません。

さらに、規則に従っていない場合は”13億円以上”もしくは”売上の2%”が罰金として科せられることもあり、EUの規制の厳しさがうかがえます。EUにサービスや商品を提供している日本の企業もEU一般情報保護規則の対象になっています。

【GDPRについてもっと詳しく知りたい人はこちら】

5.まとめ

個人情報の取扱いについては年々規制が厳しくなってきており、世界的に今後さらに徹底した管理を求められるようになっていくことが予想されます。昨年、日本でも個人情報保護法が改正されましたが、ヨーロッパの個人情報保護基準から見るとまだまだ精度は高くないと言われています。

私見ですが、個人情報保護については“工業規格”や“会計基準”のように、グローバルスタンダードが求められる時代が来ると考えています。個人情報の保護やセキュリティに関する問題は、システム部門の業務であって、多くのエムタメ!読者が携わっているマーケティング部門の話ではないと考える方もいるかもしれませんが、前述したとおりセキュリティの強化はブランディングとロイヤリティの向上につながっていく以上、関係のない話ではないはずです。

また、Cookie規制によるターゲティング広告が機能しなくなる問題は、マーケティング関係者にとっては自身の目標や成果に直結する問題だと思います。個人情報の保護に関する法改正のニュースや規制の具体的な内容については、定期的にチェックすることをおすすめします。

金井章浩
  • Writing By
  • 金井 章浩
  • スターティアラボ株式会社 取締役
    クラウドサーカス株式会社 代表取締役

    プロフィール :

    2006年スターティアに新卒として入社。2009年にスターティアラボ立ち上げに参画。
    2014年にWebプロモーション事業部を立ち上げ、同事業部を2018年にクラウドサーカス株式会社として分社化、代表取締役に就任。
    近年のマーケティングテクノロジーの高度化に伴い、マーケティング効率が飛躍的に高まっている一方、多くの企業ではまだまだそれらを使いこなせていないのが現状。それらをシンプル化することで多くのマーケターがより高い成果を生むしくみの普及に努めている。

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