CAC(Customer Acquisition Cost)とは?顧客獲得費用で考えるマーケティング施策の有用性
最終更新日:2023/11/10
CAC(Customer Acquisition Cost)とは、サブスクリプション型のビジネスモデルで用いられるKPIの指標の一つで、顧客獲得費用と訳されます。たとえば、マーケティング費や販売経費などがCACに当たります。
CACは、CPA(Cost Per Acquisition)またはCCA(Cost of Customer Acquisition)とよばれることもあります。
CACは、SaaS型ビジネスにおいて重視されており、CACとLTV(顧客生涯価値)がわかるとユニットエコノミクス(事業の経済性/収益性をユニット単位で測定・管理するという考え方)を算出できます。
本コラムでは、CACの定義や計算方法や中央値、CACの回収期間の中央値などをご紹介します。
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CAC(Customer Acquisition Cost)とは?
CAC(Customer Acquisition Cost)とは、顧客獲得費用と訳され、サブスクリプション型のビジネスモデルで用いられるKPIの指標の一つです。たとえば、マーケティング費や販売経費などがCACに当たります。
CACは、CPA(Cost Per Acquisition)またはCCA(Cost of Customer Acquisition)とよばれることもあります。
また、CACは、SaaS(Software as a Service、「サース」または「サーズ」)型ビジネスにおいて重視されており、CACとLTV(顧客生涯価値)がわかるとユニットエコノミクス(事業の経済性/収益性をユニット単位で測定・管理するという考え方)を算出できます。
CACの最小化が、ユニットエコノミクスの健全化に向けたポイントとなります。
ただ、一般的にCACは期を重ねるごとに悪くなっていきます。
後で「CACはキャズム付近から悪くなる」で詳しく解説します。
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CACには、Organic CAC、Paid CAC、Blended CACの主に三種類があります。
Organic CAC
Organic CACとは、自然検索からの流入による獲得や口コミ、紹介など、自然に獲得できた顧客の顧客獲得コストです。
Paid CAC
Paid CACとは、広告など金銭的コストを支出して獲得した顧客の顧客獲得コストです。
顧客獲得におけるチャネル・活動のROI(投資利益率)を重視したい時に使われるため、マーケティングやセールス担当者が追う指標としては、Paid CACが設定されます。
Blended CAC
Blended CACとは、Organic CACとPaid CACの両方を合わせたものです。
一般的に、ただ「CAC」という場合は、このBlended CACを指します。
CACの計算方法
CACは、一定期間にかかったマーケティング費や販売経費などの合計金額を、当該期間に獲得した顧客数で割って求めます。設定される期間は通常、1年、四半期、1ヵ月のいずれかです。
以下の式で求めることができます。
たとえば、1ヵ月当たりのCACを求めたい場合、その月にマーケティング費や販売経費で合計1,000万円がかかり、獲得した顧客数が50人だったとしたら、
CAC=1,000(万円)÷50(人)=20(万円)
となり、1ヵ月当たりのCACは20万円です。
CACの平均値
では、CACの平均値はどのぐらいなのでしょうか?
米国の投資会社であるマトリックス・パートナー社の調査結果をご紹介します。
CACの中央値
マトリックス・パートナー社が2014年に調査した結果によると、CAC(Blended CAC)の中央値は1.18ドル(USD)です。
引用元:2015 Pacific Crest SaaS Survey – Part 1
回収期間の中央値
CACを回収できるまでに何ヵ月かかるかを計算したものを「CACの回収期間」といいます。
CACの回収期間は、CACを顧客一人当たりの月平均売上額で割って求めます。
ちなみに、CACの回収期間は、短ければ短いほどキャッシュフローが良いです。
マトリックス・パートナー社が2018年に調査した結果によると、CAC回収期間の中央値は、17ヵ月となっています。
引用元:2019 SAAS Private Survey Results- Part 1
これらを参考に、自社のCACと比較してみてください。
CACはキャズム付近から悪くなる
「CAC(Customer Acquisition Cost)とは?」でもお伝えしましたが、CACは一般的にマーケティングやセールスを続けるなかでだんだん悪くなっていきます。
具体的には、キャズム付近から悪くなります。
キャズム(chasm)とは、直訳すると「深淵」のことで、米国のマーケティングコンサルタントであるジェフリー・ムーア(Geoffrey Alexander Moore)が執筆した「深淵を越えて:主流顧客を対象としたハイテク製品の市場調査と販売」(原題:Crossing the Chasm:Marketing and Selling High-Tech Products to Mainstream Customers)のなかで提唱された「キャズム理論」を指します。
製品・サービスが市場へ普及していく段階を「1.イノベーター、2.アーリーアダプター、3.アーリーマジョリティ、4.レイトマジョリティ、5.ラガード」の5段階で分類するイノベーター理論がありますが、キャズム理論では、1~2を「初期市場」、3~5を「メインストリーム市場」とし、両者の間には、市場に製品・サービスを普及させる際に発生する超えるべき障害=キャズムが発生するとされています。
初期市場では、競合も少なく、顧客となる層も流行に敏感で決断が早い傾向が高いといった理由から単純な広告でも顧客を獲得できますが、メインストリーム市場では顧客層が広がり競合が増え、チャネルも増加することからCACは悪化していきます。
まとめ
SaaS型ビジネスやサブスクリプション型ビジネスを手がける企業のマーケティングやセールス担当の方にはぜひ知っておいていただきたい「CAC(Customer Acquisition Cost)」について解説しました。
CACを把握しておくことで、投資するべきチャネルを見極めたり、広告投資に対する顧客当たりの利益見込みを計算したり、投下予算を回収できる期間を掴んだりすることができるようになります。
ユニットエコノミクスや5つの投資評価指標についても知っておくと役立つでしょう。
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