【ゼンドラ×スターティアラボ特別対談】周りがやっていないからこそ取り組まなければならない電子化への対応
最終更新日:2023/11/17
こんにちは。
スターティアラボ ブログ編集部です。
通勤の電車内や、コーヒーブレイクで入店した喫茶店。10年前なら、人々の手には新聞や本があり、紙から情報を得ることが当たり前でした。
しかし、現在は多くの人がスマートフォンやタブレットを持ち、電子媒体から日々のニュースや最新の情報を得ています。
時代と共に必要性が増していく電子化への対応。果たして取り組まなければならないのは"いつ"なのか?
黎明期から電子ブック業界を牽引し、新たな付加価値を開拓してきた、弊社スターティアラボ株式会社 代表取締役の北村健一と、運営するオウンドメディアがキュレーションマガジンの"アンテナ"にも掲載され、クリーニング業界全体の活性化に取り組むゼンドラ株式会社 代表取締役の関誠様の2名に、「紙から電子へ移行しなければならない理由」を語っていただきました。
スターティアラボ株式会社 代表取締役社長
北村健一(きたむらけんいち)
福岡県北九州市からバンドでプロになることを目指して上京後、紆余曲折を経て営業職としてスターティア株式会社入社。新規事業の立ち上げをいくつも任せられ、試行錯誤の上、新卒社員とたった2人で電子ブック事業を立ち上げる。2009年に分社化してスターティアラボ株式会社設立。代表取締役社長に就任する。
情報革命時代に企業の情報を利益に変える、世界を変える企業を目指す。
ゼンドラ株式会社 代表取締役社長
関誠(せきまこと)
昨年で創業50周年を迎える、クリーニング業界関連の新聞・雑誌・書籍の発刊を行う出版社の代表を勤める。
元は、東海地区エリア限定のクリーニング業界関連・テキスタイルレンタル業界関連の情報誌であったが、東京にある組合との縁をきっかけに、東京でも発刊を開始。
クリーニング関連業界とクリーニング店の双方を結ぶ橋渡しとして、専門情報誌を発刊。人々の豊かな衣生活の実現のために、確かな情報をより速くお届けする専門メディアを運営。
1.知れば得する情報が、従来の方法ではエンドユーザーまで届かない
関:残念ながら、専門誌が持つ有益な情報を消費者が知る機会は少ないのが現状です。専門性があるが故に、知ればためになる情報を消費者が知らない。これは業界紙の永遠のテーマです。
北村:自分からお店へ行かずに、クリーニングに出したい衣類を自宅まで取りに来てもらったり、冬用のものは預かってもらえたりと、最近になってクリーニング店にも様々なサービスがある事を知りました。
関:そうなんです。実は知らないだけで、お客様が知れば便利なサービスは多々あります。
北村:知らないだけ・・・というのは、クリーニング関連以外にも沢山ありますね。世の中の至るところで、情報の受け渡しが課題になっているケースを見ます。
関:はい。特に専門誌が持つ情報は消費者にとっても有益なものです。これをなんとか消費者に届けて、店舗へ来店して欲しい。ご存知かはわかりませんが、クリーニング店では意外なサービスまで行っているんです。
例えば、クリーニング店に来たら傘を無料で貸し出しています。年間で販売される傘の数は1億2千万本。その内、6千万本がなんとビニール傘なんです。雨の日にはクリーニング店で傘を貸し、服の引き取り時に返却してもらう事で、この業界特有の「2度来店する」という性質を活かした付加価値の提供を行っています。また、傘を再利用し続けて資源の無駄を減らしている面もあります。
北村:それは知りませんでした、非常に便利ですね。一見、クリーニング店と雨は接点がないように見えますが、「傘の貸出」と「服をクリーニングに出して、受け取る」という、それぞれ共通する「2回の接触」に着目した面白い試みだと思います。
関:おっしゃる通りです。また、自転車の空気入れも行っています。実は、マンション住まいの方は特に自転車の空気入れに困っているという悩みがあります。理由は、階下まで下りていざ出発しようとした時に、空気がない事に気づいた場合、また上階へ戻らなければならないケースが多く、これが億劫になりやすい。防犯の理由から最下層の駐輪所も利用が減り、悩みは増加傾向にあるんです。これに対し、クリーニング店で空気入れを置いたところ非常に大きな反響がありました。よくご利用いただいております。
さらに本の貸出も行っています。クリーニング店の客層は主婦が多く、小さい子供を連れている場合が多いのです。クリーニング店も図書も同様で、貸出と返却の2回来店の機会があります。本の貸出によって増えた来店回数で、「クリーニングはいかがですか?」と宣伝をします。傘と同様、返却を来店機会に転換することで、これまでにないクリーニング店のサービス展開を行っています。
北村:自転車の空気入れまで行っているとは驚きました。しかし、そういった情報を得るにはどうしたらいいのでしょうか?普段からクリーニング店のサービスに目を張ることも難しいものです。
関:はい、そうですね。これまでのような紙ベースのサービス展開では、消費者に情報を届けるには限界がありました。そこで弊社は、クリーニング業界のネットワーク化を目的に、スターティアラボ様のサービスを利用した"オウンドメディア"の展開を開始したのです。
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これまでアナログでしか知り得なかった有益な情報を、今後はインターネットの世界で発信・蓄積し、消費者のトレンドに合わせた形で情報発信を行います。そうしていかないと、今回お話したようなクリーニング店の試みも、消費者に届かずに終わってしまいますからね。
今は紙よりもデジタルの時代。周りを見れば皆がSNSで遊んでいます。情報そのものの価値は変わりませんが、情報の得方が移り変わっています。人がいないところに情報を落としてしまっているのを、時代に合った発信形態に正した形になります。クリーニング店は消費者に店舗の存在を知らせたく、また消費者も自分の地域に根ざす店舗を探し求めています。その情報の架け橋になるのがオウンドメディアであり、デジタル時代への対応なのだと思います。
「赤ワインをこぼして付いた汚れは、白ワインをかけて落とす」
こういったクリーニングの豆知識も、知れば皆の役に立つはずなんです。
2.電子化が必要な時代、周りが始めてからでは遅い
北村:電子化への対応については、私も全く同じ考えです。デジタルは出版社の敵と認識される場合もありますが、今は情報の電子化を行っていかなければいけない時代です。
関:世の中がようやく気付き始めました。デジタルへの移行を行っていかなければ、業界全体が衰退する恐れもあります。出版社や印刷会社が電子化を拒む理由は、やはりマネタイズの部分が大きいです。しかし、一部を除いてそんなすぐに収益化出来るモデルではありません。
だからといって、周りが取り組み始めてからでは遅いのも事実です。自社でコンテンツを抱えている、またはコンテンツを生み出せる企業は、すぐにでも取り掛かるべきです。情報は蓄積されていくものですからね。
例えば「5年前の記事は古いものだから今更ニュースにはならない」という話を聞くことがありますが、現代でもその情報を欲している消費者は必ずいます。紙から電子へ、消費者に合わせた形で、過去の情報も改めて発信すべきで、2年後や3年後、コンテンツマーケティングが当たり前の時代なった時、その時から取り掛かっていたのでは遅いのです。その時には、情報は蓄積されていなければなりません。
北村:なるほど、とても共感します。それをどのようにして、電子化に未だ後ろ向きな他の企業に落とし込んでいくかが弊社の課題でもあります。それについてアドバイス等がありましたらお願いします。
関:"ユーザーが紙を手に取らなくなった事実"をどう捉えるか?に尽きると思います。情報は伝えないと意味がない、何で読むかは問うべきではないのではないか?とお話すると思います。
特に出版社や印刷会社でITリテラシーが高いというのは少数派で、中でも経営者の多くがIT慣れしていないように思います。しかし従業員はどうかと見ていくと、デバイスを持っていることが多いんですよね。
北村:経営者自身が、ITへの取り組みを真剣に考えていかなければなりませんね。
関:そうですね。電車で本を読んでる人は昔に比べて減りました。代わりにスマートフォンやタブレットの電子デバイスを持って歩いています。情報は伝えて意味があるもの、発信者の頭の中にあるままでは価値は無いに等しいです。ユーザーは今何から情報を得て、何であればお金を払うのか?ということに考えを巡らせ、電子媒体への移行も真剣に考えていかなければなりません。
電子化して紙の部数が減るかも・・・と杞憂していても、結局、紙が売れなくなってからじゃ遅いんです。機会があれば、スターティアラボを通して私からお話したいくらいですよ。
北村:情報が本質。電子なのか紙なのかは問うべきではないということですね。取り組むしかない、けれどネットを使うことが敵視されている現在、この本質が見えればやらない手はないんですよね。機会がありましたら是非お願い致します。
3.スポンサーが何を求めているか?ユーザーが何を求めているか?
北村:電子化対応を迫られる業界としては出版社と印刷会社が挙げられますが、特に印刷業界は粗利率が高くはなく、利益率の高いデジタル媒体をサービスに取り入れていく必要があると考えます。利益率を上げるための付加価値の提案が、今後さらに必要になってくると思います。
関:はい。印刷会社の先にいるのは、「読者」と「スポンサー」の2種類。それぞれのニーズを結びつけてあげる事だと思います。スポンサーが望んでいる事はシンプルで、ユーザーへ正確に情報を届ける事。そしてユーザーは今やスマートフォン、タブレットで情報を得ている。つまり、情報の受け渡しに最適なのは電子デバイスであるという事です。
北村:なるほど、スポンサー視点の提案ですね。弊社もエンドユーザー視点での提案に寄りがちなので、今後はスポンサーを考えていかなければなりません。
関:そうですね。読み手以外の事情も全て含めて、出版物の善し悪しが決まります。難しく考えなくて良いんです。読者とスポンサーの間にいる事でビジネスモデルは確立されていますから、双方のニーズを適切な手段で結びつけるだけでいいんです。
北村:そうするとやはり、印刷会社は電子化へ早期に対応するべきであり、さらに出版社のように自社でコンテンツを持っているところはすごくメリットが出せますね。「コンテンツを持つ」、「コンテンツを作る事」が重要になる。自分の力で切り開くしかない。
印刷会社であればデジタルコンテンツの付加価値を提案。出版社であれば、自社のコンテンツを活かしてWebサイトのメディア化を推進。共通するのは、電子化対応によって情報発信の形を正すという事ですね。
関:その通りです。自社でコンテンツ持っていれば最適な形で発信していくべきなのです。
北村:まだまだ対応出来ていない企業は多く見られますが、その大きな理由として「ITに詳しくないから」という事をよく聞きます。しかし、それは電子化への対応を短期で見ているためであり、いわゆるコンテンツマーケティングにおいては中長期的な目線で事業を考えていかなければなりませんね。
関:スポンサーが先に出来るようになっていたらダメで、それよりも先に自社でノウハウを貯めているからこそ、スポンサーに提案出来ます。
4.最後に
北村:「業界知識+IT+時間軸」が重要という事はわかりました。しかしITを本職としていない中で、関様ほどITを理解されている方はそう多くありません。どのようにして、ITへの理解を深めたのでしょうか?
関:シェアされたものに素直に反応する事・・・かなと思います。いつまでも同じプラットフォームで仕事は出来ないと、常に先の未来を考えていますので、そうするとWebコンテンツというものは切っても切り離せないと。Facebook等でシェアされる動画やコンテンツで、面白いものは素直に面白いですからね。そこから現代にあった情報の流通経路や、トレンドを知るんです。
北村:とても素晴らしいですね。関様のように、他のお客様もITに対して積極的に取り組んでいけるよう弊社も、提案を行っていきます。引き続き、Knowusのご活用をお願い致します。
関:ありがとうございます。スターティアラボ様に作っていただいたWebコンテンツは、皆に「綺麗で見やすいWebサイトだね」と言っていただけ、事例にしてもらえることも多いんです。
今後は、ブログに掲載しているコンテンツをまとめて、本として出版しようと考えています。面白くないですか?次は「電子から紙へ」というわけです。
北村:面白い試みですね。コンテンツマーケティングの重要性、電子化対応が必要な理由と、それをいつ行うべきなのか。非常に勉強になる内容でした。本日はありがとうございました。
関:ありがとうございました。
▼イドカバネット
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消費者の衣生活を助けるオウンドメディア。昨年12月16日にはキュレーションマガジンの"Antenna"に取り上げられ、公開から3ヶ月で10万PVを突破。日々の掃除・洗濯に役立つ情報を毎日配信。
※Webサイトの構築には、スターティアラボのオウンドメディア構築・運用パッケージ「CMS Blue Monkey Knowus」を使用
▼CMS Blue Monkey Knowus
https://www.41web.jp/service/knowus.html
オウンドメディアサイトを構築できるサイト制作パッケージ。オウンドメディアを簡単に自動作成でき、記事作りにお悩みがあるお客様にはライティングコンサルプランなど様々なプランもご用意。