独自性とは「会社が自覚する顧客へのベネフィット」ではなく「ユーザーが製品に対して価値を置く要因」
最終更新日:2023/10/27
こんにちは。
スターティアラボ ブログ編集部です。
今回は、自社の独自性がどれだけ大切なのかということに関して考えます。
独自性とはつまり…自社の強みということになります。自社の強みは千差万別。品質がよかったり、原材料が国内産のものしか使用していない、精巧な製造技術などなど。
創業100年を誇る長い伝統でしたり、「〇〇区だけの地域密着型」というのも差別化の対象になりますね。
そんな自社の独自性を存分に発揮し、成功を収めた事例と、反対に、独自性を見失ったが故に失敗を招いてしまった例をご紹介します。
1、独自性を発揮した成功事例
成功例としては、EMCのクラウド戦略をご紹介します。
EMC
EMCは、クラウドを重点戦略事業と位置付けている企業ですが、クラウド事業の売上高ランキングに載ったことがない企業です。
では、どうして載っていないのか?
それはEMCのクラウド事業は、EMCが開発した技術や製品を、協業パートナーであるクラウドサービスプロバイダーを通じてユーザーに提供するのを基本的な戦略としているからです。
EMC自身がクラウドサービスプロバイダーにならず、あくまでもクラウドサービスに適用する技術や製品の提供に徹しており、そのためクラウドサービスを主体とした売上高ランキングに社名が出てくることはありません。
しかし、そのランキングに名を連ねているクラウドサービスプロバイダーの多くに、EMCの技術や製品が採用されているというケースが多くあります。
EMCは様々な企業が参入しているクラウドサービスプロバイダーにはならず、あくまでもクラウドサービスに適用する技術や製品の提供に徹する水平協業戦略をとることにより、ユーザー企業がクラウドを利用する上で、技術や製品における柔軟性と選択肢を提供することが可能になっているのです。
2、独自性を見失った失敗例
独自性の点で大きな失敗をしてしまった事例を紹介します。有名なお話なので知っている方は多いかと思いますが、コカ・コーラの"カンザス計画"です。
「カンザス計画」と呼ばれるこの事例は、コカコーラ社が過去1度だけ失敗した例と言われています。
計画の概要と致しましては、1985年に業界トップシェアを誇っていたコカコーラがペプシの追撃を撃墜するため、従来のコーラよりも美味しいコーラ「ニュー・コーク」を開発し、従来のコーラに代わる商品として発売したというものになります。
結果としては計画は失敗に終わり、消費者から抗議の手紙や電話が殺到し、約三ヶ月後には味をもとに戻すことになってしまいました。
なぜこの計画は失敗したのでしょうか?
原因の1つとして、当時のコカコーラ社CEOが、消費者とソフトドリンクとのつながりを過小評価してしまい、コーラが美味しくなれば人々はそちらを選ぶと考えていた事があげられます。
実際に消費者が求めていたのは、味ではなく親しみのあるブランドであったという訳です。ユーザーニーズの本質がどこにあるのか、市場調査が行き届いておらず、「ユーザーがなぜ自社の製品を買ってくれるのか?」という最も大切にすべき部分が拾いきれていませんでした。
結果的に、ペプシに追い上げられているからといって商品そのものの味を変えてしまい、独自性を失ってしまったことなのです。
3、2つの事例からわかること
成功事例ではBtoB、失敗事例ではBtoCと混在してお送りしてしまいましたが、共通して大切なものは変わりません。「自社の立ち位置」と「ユーザーがなぜ自社の製品を買ってくれるのか?」という事を、明確に持つ事です。
以前に比べ、マーケティングチャネルは多様化しており、自社の販売チャネルに即したマーケティングによって、ユーザー1人1人の購買行動を調査しなければなりません。
独自性とは、会社が自覚する顧客へのベネフィットではなく、ユーザー側が製品に対して価値を置くものです。ここを履き違えてしまうと、ユーザーとの剥離は広がる一方であり、カンザス計画のように、思わぬ大打撃を生んでしまうかも知れません。
参考までに、過去の記事からマーケティングについて知っていただくのも宜しいかと思います。ユーザーを知るにはマーケティング戦略を確立してから、ですね。
4、まとめ
コカコーラも、ペプシに味で勝るコーラを作る為日々商品開発をしています。実際に「Coke II」という商品を定期的にテスト販売し、市場の動向を探っています。
ユーザーに選ばれている「他社のより優れた要因」を維持しつつ、現状の技術に満足することな常に進化していく事も当然ながら必要です。