【#成功のバトン】「テテマーチ」は、オウンドメディア、SNS、イベントで企業ブランディングに成功している
最終更新日:2025/10/31

【この記事の要約】
企業のSNSマーケティングを支援するテテマーチ株式会社へのインタビュー記事です。同社が、創業当初のInstagramキャンペーン支援事業から、総合的なSNSマーケティング企業へと、いかにして事業をピボット(方向転換)させてきたかが語られています。
成功の背景には、キャンペーンという短期的な施策だけでなく、顧客のブランド価値を中長期的に高めるという、より本質的な課題解決を目指したことにあります。同社は、自社メディア「インスタアンテナ」での情報発信や、SNS運用のためのSaaSツール開発などを通じて、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立しました。市場の変化を捉え、自社の強みを再定義し、事業を変革させてきた好事例です。
【よくある質問と回答】
Q1. テテマーチ社は、どのようにして「インスタグラムマーケティングの専門家」として有名になったのですか?
A1. 他社に先駆けて、当時まだニッチだったインスタグラムマーケティングに特化したオウンドメディア「インスタアンテナ」を立ち上げ、専門性の高い情報を発信し続けたことが第一歩です。その後、外部のイベントに積極的に登壇したり、共催セミナーを開催したりすることで、業界内での認知度と信頼性を高め、「インスタグラムマーケティングといえばテテマーチ」という専門家(エバンジェリスト)としての地位を確立しました。
Q2. BtoB企業がブランディングを成功させるためのポイントは何ですか?
A2. テテマーチ社の事例から学べるポイントは、ニッチな分野で第一人者(エバンジェリスト)になることです。そのためには、オウンドメディアで専門知識を発信し、イベント登壇などで業界内での信頼性を高めることが有効です。また、単に自社の製品を宣伝するのではなく、「どうすれば面白く課題解決できるか?」という顧客視点で、共感を呼ぶコンテンツや企画を発信することが重要です。
Q3. テテマーチ社が考える、今後のマーケティングで重要になることは何ですか?
A3. 「コミュニティ」の形成が重要になると考えています。SNS運用担当者のように、社内で孤独を感じやすい職種の人たちが情報交換できるような場を提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを深めることができます。直接的な売上を目的とせず、ユーザーにとって価値のあるコミュニティを育むことが、結果としてブランドへの信頼や愛着につながるという考え方です。
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若い世代や女性向け商品・サービスを扱うBtoC企業での活用のイメージが強いインスタグラムマーケティングですが、最近はマイクロソフトやセールスフォースをはじめBtoB企業まで活用が広がっています。
インスタグラムを使ったマーケティングにいち早く着目し、2015年にインスタグラムをビジネス活用するための情報発信に特化したオウンドメディア「インスタアンテナ 」を立ち上げたのが、SNSのマーケティング活用支援を行うテテマーチ株式会社。
今やインスタグラムのコンサルティング界隈で有名企業である同社で、どのような企業ブランディング施策に取り組んだのか、取締役 COO 松重 秀平さんに伺いました。

- Profile
- 松重 秀平さん
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テテマーチ株式会社取締役COO。1985年生まれ。北海道滝川市出身。テテマーチ設立と共に参画、SNSマーケティング事業部を立ち上げる。主にInstagramマーケティングを中心に大手企業から自治体までさまざまなソーシャルメディアの活用支援を行う。過去の実績として、MarkeZineでの執筆や内閣府主催のイベント登壇など。
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1.エバンジェリストになれる分野を探して行きついたのがインスタグラムだった


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松重さん
前職ではWebコンサルティング企業に在籍していたのですが、良いサービスを提供できる自信があってもプレイヤーが多すぎるなと感じていました。顧客からの要望を聞いて提案を作るための時間を取るよりも、顧客開拓にかける時間が大半を占めてしまうという課題があったので、まだプレイヤーが少なく先張りしていればある程度のポジションを確保できるマーケットを探していたのです。
そうした背景で新興のSNSとしてインスタグラムやピンタレストが流行してきており、このような新興マーケットで今から準備を進めれば、業界におけるポジションが取れ、ご相談をいただく立場になれるのではないかと考えました。
ただ、両方とも手を出すのはリソース的に難しかったので、どちらか1つに絞ろうと考えた際に使ったのがGoogleアラートでした。両方のSNS名でアラートを登録し毎日の話題の数や質を計測したところ、インスタグラムの方が10倍くらいニュースの量が多くニーズがありそうだったので、インスタグラムを選んだのです。
インスタグラムを選んだものの、経験も実績もない会社では誰も注目をしてくれません。知見をためるために地道にオウンドメディアを運用したり、面白い会社だと思ってもらうきっかけづくりのために、露出を目的に面白い切り口のサービスをどんどん出すというスタイルでやってきました。

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オウンドメディア「インスタアンテナ」をリリース

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ホワイトペーパーでリードジェネレーション

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単純にPVを上げることだけを考えれば、インスタグラムに関するニーズは一般ユーザーの方が多く生活者向けの記事を量産する方が成果は上げられたと思います。
ただ、テテマーチは企業をターゲットに事業展開を考えていたので、企業の担当者目線で「業界別のインスタグラム活用事例」や、「KPIの考え方」「新機能のビジネス活用の可能性」などを取り上げて記事にしていました。それでも、メディア全体のPVはどんどん伸びていたので、インスタグラムのマーケティング活動における企業ニーズの高さは感じられました。
2.外部イベントのゲスト登壇でセルフブランディングに成功


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インスタグラムは新興マーケットといえど、FacebookやLINEなどほかのSNSを主業務としていたプレイヤーも進出し始めていたので、競合はゼロではありませんでした。
そこで、まずは「テテマーチという会社がある」「テテマーチという会社が面白そうだ」といった認知拡大や、ブランディングのためにもエッジの利いたサービスをどんどん出していこうと考えたのです。
当時は、インフルエンサーというキーワードも流行していましたが、まだインフルエンサーとの向き合い方を企業が理解できておらず、キャスティングしても目的に対してのパフォーマンスが期待値を下回るケースが多く、疑心暗鬼な企業も多いように感じていました。
そこで、「インフルエンサーに頼らない新しい情報拡散サービス」としてP-conne(ピーコネ)をリリース。これをきっかけに、リクルートさんから「インフルエンサーマーケティングの勉強会を開催するので、登壇して欲しい」と声をかけてもらいました。ほかの登壇者は有名企業の方ばかりで、そういった方たちと一緒に登壇させてもらったという実績ができました。2016年の秋のことです。これが大きな転機となりました。
リクルートさんのイベント登壇以降、さまざまなイベントに出させていただく機会が増えましたが、中でも1番驚いたのが内閣府からイベント登壇の依頼があったこと。北海道で開催されるイベントで、道内の自治体などが対象、ほかに登壇したのは大臣や北海道知事などだったのですが、私自身が北海道出身ということもあり、過去の登壇実績を知って電話をかけてくれたようです。
直接的に仕事に結びつくわけではありませんが、将来、大手クライアントと取引をする際には信頼材料になりますよね。
3.セミナー登壇実績をもとに共催セミナーをどんどん開催


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自分で言うのも変なのですが、やはり名のある企業のイベント登壇は箔がついたので、「リクルートのイベントに登壇したことのある松重です」というのは、当時は「テテマーチの松重」の何十倍も信頼感が出せたなと思います(笑)。
なので、その実績を使い倒してどんどん共催セミナーを持ちかけていましたね。

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4.広報活動に力を入れて企業ブランディングを強化


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また、現在は、セミナー以外にもイベントをたくさん開催しています。主催・共催を含め、規模は大・中・小さまざまですが、全部で年間30~40回は開催しています。

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世の中が求めているものを先手を打ってやっていけばそれに共感して声をかけてくれる人たちは多いと考えているので。
5.どうしたら、面白く課題解決できるか?共感を得られるか?を考える


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広報的な動きは予算を取りづらい企業も多いと思うのですが、弊社の場合、プレスリリースなど、予算がかからない施策をたくさんやってきて、それなりに効果が出た実績があるので、予算がかかる企画も通りやすいかもしれません。予算といっても1回のイベントの懇親会用に2~3万円程度の金額ですが。
当社のメンバーはそういう面白いことを考えるのが好きな人が多く、たとえば、twitter上で使える当社のキャンペーンツールを活用して、年賀状からTwitter上でおみくじを引けるという仕掛けを今年は実施しました。「こういう仕掛けなら、多くの人が楽しんでくれるのではないか?」という考えからスタートしていますね。
自分たちのPRは自分たちで楽しめないと面白くない。楽しんで仕掛けられるようなことは、どんどんやっていったらいいのではないかと思います。堅苦しい商材説明みたいなセミナーはもう誰も聞きたくないでしょう。自分たちも、これまでの固定観念にとらわれず、参加者が楽しめたり、参加者のためになるようなセミナーやイベントをどんどんやっていこうと思っています。
6.【今後の展望】世間に求められている“コミュニティ”をつくっていきたい


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コミュニティを作ることで直接、企業ブランディングなどにつなげようと考えているわけではありません。いまは“コミュニティ”そのものが世間に求められていると判断した結果です。みんなが応援してくれるようなことをやっていれば、自然と盛り上がっていくと思うので、「取り組んだことが参加者にとって良かったのか?」を図るための指標として数値を掲げることはありますが、売り上げをゴールにKPIを設定することは一切考えていないですね。
本日は、興味深いお話を、ありがとうございました。

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編集部

【English summary】
This article is an interview with tetemarche Co., Ltd., a company that supports corporate social media marketing. It tells the story of how the company pivoted its business from its initial Instagram campaign support service to become a comprehensive social media marketing firm.
The background to their success lies in their aim to solve the more fundamental issue of enhancing their clients' brand value in the medium to long term, rather than just focusing on short-term measures like campaigns. The company established its position as an industry leader through information dissemination on its own media, "Insta-antenna," and the development of SaaS tools for social media management. It is an excellent case study of capturing market changes, redefining one's own strengths,





