コロナ禍で「オンライン展示会」が注目を集めていますが、従来おこなわれてきたリアルの「展示会」も依然として開催されています。十分な感染対策の上で開催される展示会は、マーケティングにおいてかかせない施策のひとつです。オフラインイベント開催が難しい昨今だからこそ、直接顧客へアピールできる貴重な機会として、成果を残したいところですね。
しかし、出展にはコストも労力もかかります。また、ノウハウなく出展しても成果につながらなくては意味がありません。弊社でも過去に100回以上展示会に出展し、有効名刺数やその後の成約数のデータを貯めて、日々改善を繰り返しています。
そこで今回は、弊社がこれまでの展示会出展で培った成功ノウハウや手法を、3つのフェーズと12の項目に分けてご説明します。
ご紹介するノウハウのほとんどが「オンライン展示会」でも応用可能なので、ぜひオンラインオフライン問わず展示会やイベントにご活用ください。また、便利な無料ダウンロード資料もご用意しているので、必要なものは適宜ダウンロードの上ご活用いただけると幸いです。
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展示会は始まる前から既に勝負が始まっています。しっかりと展示会の来場者の特性を理解して、出展目的や目標を明確にすることでブースへの集客成果は高められます。
毎回同じような展示テーマになっていたり、場当たり的な出展になっていませんか。思ったほどブースに人が集まらない場合は、事前準備に原因があります。ひとつひとつ手順を追って、成果につながる準備を進めましょう。
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企業が展示会に出展する理由の多くは「売上の拡大」です。
具体的には「まったく接点のない見込み客への認知啓蒙」「売上に繋がりやすいリードの収集」「効率的な商談活動(短期間で多数の方と直接商談が可能なため)」という理由があげられます。
そのため、展示会というと少しでも多くの人に興味を持ってもらうため、たくさんの名刺交換するようなイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、展示会に来場される参加者の検討レベルやポテンシャルはさまざまです。業種、職種、来場目的も異なります。
この「さまざまなユーザー」をすべて囲い込もうとして、万人受けするざっくりとしたメリットや訴求点のみを展示しても、数あるブースの中からは選んでもらえません。
ここで重要になってくるのは、「出展する展示会」に対して「自社の製品サービス」で「どんなユーザー向けに」「どんな内容・強みを訴求するか」を考えることです。競合や市場も想定したうえで、押し出すコンセプトを決定します。
コンセプト設計をする際に活用したいのが、ユーザー像を設定する「ペルソナ設計」です。だいたいの展示会が昨年(前回)の来場者情報を公開しています。そこから業種や部署、競合の出展具合などの情報が入手できるので、まずは自社サービスを購入してほしいのはどんなユーザーなのか、「ペルソナ」をしっかりと設定しましょう。
そのうえで「ペルソナにとって魅力的なコンテンツは何か?」を考えて目標設定やブース企画をおこなえば、スムーズにコンセプト作りが進みます。
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先述の通り、展示会に来場されるユーザーの検討レベルやポテンシャル、業種、職種、来場目的はさまざまです。
どの製品・サービスをメインに押し出すのかだけではなく、どの程度検討しているユーザーに対して訴求するのか、どのような問題を解決するのかを決めることが重要です。
参考までに検討レベルに合わせたコンテンツ例をご紹介します。
担当者に展示会の目標値を確認すると、よく返ってくるのが「名刺獲得枚数」という答え。間違ってはいませんが、まず目標とすべきなのはROI(投資対効果)です。
つまり、展示会の出展費用から装飾費、販促物、人件費もひっくるめた広告費を、展示会経由で得られた利益で割った数字、すなわちROIをきちんと追うことが本質的な目標です。とはいえ、一概にROIだけでは追えないのが実情です。そこでおすすめしたいのが、以下の5つの指標です。
法人営業をおこなっていれば、商談からの受注率や平均単価を把握している場合が多いでしょう。そこで、まずは十分なROIが確保できそうな受注数を設定し、それに必要な案件化数、アポ数、有効名刺数を計算します。そして、最後に有効名刺を確保するために、必要な全体の名刺枚数を目標値にすればROIベースにした設定ができあがります。
もし、上記のような数値がわからない場合は、過去の実績などから数値を割り出しましょう。反対に、「この有効名刺数を集めるためにはどのような手段をとるべきか?」という発想で施策を考えてもおもしろいかもしれません。
純粋に名刺枚数のみを目標として設定することも正しい手法です。しかし、業界や商材によっては見込みとなるユーザーが限られているケースもあります。
そんなときは、来場者に対してランクを設定して、ランク毎に必要な名刺枚数や使う資料、話す内容を変えることも重要な手段となります。
以下はランク分けの一例です。
展示会にどのようなメンバー構成で何人をアサインするのかも、展示会担当者としては考えるべきポイントです。
先述のランク分けを行う際は、Aランクのユーザーには中堅のベテラン社員を充てて、取りこぼしを少なくしたり、新人営業社員には、とにかく量をこなしてベテラン社員にパスする件数を追わせたりするなど、ブース内で役割を作るのも効果的です。
コンパニオンを使う場合は、「どこまで担当してもらうか」を明確にしておくと当日のオペレーションがスムーズになります。
展示会場ごとのデザインや装飾の決め事(規程)、電源、照明、音響の位置、スペックなど、単純に「デザイン性が良い」だけではブースデザインとして成り立ちません。
ブースのサイズや形、小間位置、周囲のブースとの兼ね合い、出入口からの導線も意識した上で、コンセプト設計時に考えた「伝えたいことが魅力的に伝わる」ような最適なブースデザインを作成することが大切です。
社内でデザインできればよいですが、可能な限り外注業者に任せることをおすすめします。打ち合せの際には、それまでに決めたブースコンセプトや目標値、小間の詳細情報、展示会のブース規程をしっかりと伝えた上で、以下の3点に気をつけましょう。
看板やブース自体の形、サイズ、色味、見やすく判断しやすい大きな文字サイズ、どのくらい専門用語を使うかなど、来場者の目に留まりやすいブースかどうか細かくチェックしましょう。動画やディスプレイを設置することも、ひと目を引く手法のひとつです。
コンパニオンやノベルティの活用もこの要素に含まれます。導入すれば交換枚数は伸びますが、その分、予算も上がってしまうのでバランスを注意ながら検討しましょう。
コンセプトとも連動しますが、誰にとってどのようなメリット(効果)があるか、一目で分かるようになっているとベストです。ブースの装飾だけでなく、看板やチラシ、スタッフの声掛けも統一するとより効果的になるでしょう。
ブース自体のスペース配分もそうですが、意外と見落としやすいのが説明員の立ち位置です。説明員を配置しすぎると、圧迫感が出てしまい、暗い印象を与えてしまいます。待機位置や人数も計算したブース設計をしましょう。
また、動画や音声、照明の照度などでにぎやかな印象を与えることも大切な要素です。
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展示会前には社内の参加者向けに説明会を実施します。これまでに決めた内容を事前にしっかり伝えましょう。
①コンセプト
②目標(全体目標と役割ごとの目標)
③ランクの定義
④担当者ごとの役割
⑤使う資料やトークの内容
過去に展示会を経験したことがあるメンバーは、その当時のやり方をそのままやってしまいがちです。
しっかりと①コンセプトや②目標、④担当者ごとの役割を伝えた上で、役割を徹底することの重要性を落とし込みましょう。
また弊社でもよく起きることですが、新人担当者やコンパニオンはまたトークや切り替えしがイメージできていないことも多いです。⑤使う資料や実際のトークを展開し、ロールプレイングしてあげることも非常に重要になります。
またベテランへのパスをする役割を担っている担当が、「なかなか話を切ってパスができない」というのもよくある悩みです。
この辺りもトークを統一して無駄な時間を使わないように事前にしっかりと落とし込みましょう。
事前準備でしっかりと戦略を考えて、社内説明会も入念におこなったので、もう当日は安心!ということはありません。実際に展示会が始まると以下のような想定外の事象が起こります。本質的に最も重要な点は、何か違和感があれば想定や戦略をその場で変えてでもPDCAを回すことです。
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コンセプト設計時に決めた、ブースの装飾やデザインが「モノとしてのイメージ」を与え、現場担当者の声掛けやデモ、実演などのプレゼンテーションが「コトとしてのイメージ」を伝えます。
事前に決めていたトークも飽きがきたり、ニュアンスが変わったりするので、状況に応じて現場責任者のチューニングが必要です。
見込みランク毎に決めているトークやクロージングなども、正しく実行されないケースがあったり、想定外の反応が返ってきたりします。この辺りも見込みランクを正しく認識した上で、調整する判断力が必要になります。
社内説明会を入念におこなっていても、いざ本番となると現場の担当者一人一人の頭の中に、具体的な目標数値や当日の動きが正確にインプットされているわけではありません。
目標や行動を再確認しつつ、これから業務を開始するというオンオフのスイッチを入れるためにも、朝礼は必ず実施するべきです。あいまいな状態のまま展示会を開始しても、思ったようなオペレーションはおこなえず、理想的な状態を保つこともできません。
展示会責任者から全体の目標値と各担当者毎の動きや目標値を確認し、「ここまでには、このぐらいの件数に到達していなければいけない」など、中間の進捗値も共有しておくといいでしょう。進捗に至っていないことが早々に分かれば、それだけ改善策を導き出すのも早くなります。
終礼でも同じように目標との差異を確認し、明日以降の動きをどう変えるかを話し合うことでデイリーベースの改善が可能となるでしょう。
直近の案件であれば、営業担当者は追客を頑張ってくれることが多いです。しかし、本来追客(育成活動)を頑張っていれば、いずれ検討レベルが上がる「見込み客」や「潜在層」は放置してしまう傾向にあります。
この放置問題については、長年いろいろな方法が試されてきましたが、意識ではなく、環境や手法を変えないことには根本的な解決には至りません。その点を踏まえて、ここからは直近検討層を取りこぼさずに、見込み客の放置を防ぐ方法をメインでご紹介していきます。
事前準備の内容とも重複しますが、見込みランク毎に事後のアクションを明確に分けることが大切です。既に設定している見込みランクに対して、どの部門が(誰が)、どのようなアクションを実施するのかを、明確にして「取りこぼし」と「放置」を防ぎましょう。
アクションを設定する前に、各ランクのユーザーが求めている情報や行動をイメージすることも重要です。
営業マンの机の中の名刺からは何も生まれません。その名刺には宝が眠っていると思ってください。まずは、こちらからメルマガやWEB上で接点を作れるように、名刺をデータ化して管理しましょう。
データ化は、専門業者を使えば安くて1枚20円程度から利用可能です。過去の名刺も含めてデータ化し、展示会名、営業担当名、ランクなども管理しておくとより有効活用しやすいでしょう。
MAツールやSFA(営業支援)ツールは、このような展示会情報やランクも含めて管理することで、より効率的な追客や営業活動が実現できます。データ化が完了したら、利便性の高いツールを積極的に活用して施策へと展開しましょう。
お礼メールは、できる限り早いタイミングで送信しましょう。「鉄は熱いうちに打て」というように、ホットなユーザーほど早くアクションすることが成約率の向上に繋がります。反対に、ホットではないユーザーには忘れられてしまう危険性も出てきますので、なるべく早めの対応をおすすめします。
お礼メールの本質的なメリットは、継続的な関係性をいち早く構築することにあります。かつ、MAツールやメールマーケティングツールを利用することで、メール開封率やメール内の情報への反応率も取得することができます。
【展示会お礼メールのテンプレートはこちら】
>「展示会お礼メールガイドライン」を無料でダウンロードする
Aランク=日付つきの訪問依頼と提案商材資料をメール
Bランク=課題解決の資料を提示し、訪問の意志をメール
Cランク=定期的なメール配信の旨を伝えて、具体例へリンク
お礼メールのもっとも有効的な使い方は、Cookieを取得して「展示会経由のユーザー」の今後の検討タイミングをリアルタイムに察知できるようにすることです。Cookie情報を取得するためには、メールにしかけをおこなう必要がありますが、それさえクリアできれば貴重な情報資産となります。
【展示会でのMA活用マニュアルはこちら】
>「展示会でのMA活用マニュアル」を無料でダウンロード
※今後Cookieに関しては規制が入っていくため、2021年7月段階での情報を掲載。
展示会直後は「まだまだ具体的な検討ではない」というユーザーも、何かのきっかけやタイミングで検討が進むことがあります。そんなきっかけをこちら側が促進する方法として「検討促進メール」があります。
いろいろな方法がありますが、セミナーの案内やキャンペーン情報、同業界の成功事例などをメールで案内し、再検討のきっかけを作っていく手法が広く使われています。
【展示会参加後の追客メールはこちらの資料も参考に!】
>「展示会 追客ルール」を、無料でダウンロードする
インターネットの普及で購入者側が情報を入手しやすくなり、ただやみくもに展示会に出展して成果が上がる時代は終わりました。
展示会でしっかりと成果を出すことがいちばん大切ですが、仮に成果が出なくても次回の改善ポイントを明確にすること、それだけでも十分に出展した価値があります。
展示会戦略の肝は「有効名刺獲得数を増やすコンセプト設計」と「リアルタイムでのPDCA」「事後フォローで中期的な成約を増やす」ことにあります。
いきなり高いレベルで実現できなくても、ご紹介したポイントをしっかりと実行し続ければ、必ず成果を実感できるでしょう。
【製造業の展示会まとめコンテンツはこちら】