マーケティング部門が提供するリードの50%は営業に無視されている
BtoBマーケティング活動のなかで不可欠な「リード獲得」。
近頃では、マーケティング部門が獲得したリードを営業部門に渡し、営業部門が追客・訪問するという営業手法をとっている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、アメリカのBtoBマーケティング企業Demandbase社の資料によると、「マーケティング部門が提供するリードの50%は営業に無視されている」といった現実もあるようです。
今回の記事では「なぜマーケティングリードが営業に無視されるのか」「マーケティング部門と営業部門の摩擦をなくすには」という問題を深掘りします。
1.主なリード獲得活動
英語の「リード(Lead)」という言葉には「きっかけ、手がかり」という意味があります。
BtoBマーケティングにおけるリードは「見込み顧客の情報」を意味し、具体的には見込み顧客の下記のような情報の組み合わせをいいます。
●BtoBのリード情報の一例
- 担当者の名前
- 会社名
- 部署名
- 電話番号
- メールアドレス
- IPアドレス
BtoBのセールス活動で、リードを獲得する方法はさまざまです。
名刺交換など、日々あたりまえのように行っているものもありますが、これらの情報も蓄積・分析することで、はじめてデータとしての価値が高まります。
●一般的なリード獲得の方法
オフライン
- 名刺獲得
- → 外勤の営業活動
- → セミナー開催
- → 展示会
- テレマーケティング
- 電話での問い合わせ
- → マス広告(TV、新聞、雑誌など)から
- → ダイレクトメールから
- → チラシをから など
オンライン
- 問い合わせフォームやチャットからの問い合わせ
- → インターネット広告から
- → オウンドメディアから など
- ホワイトペーパー/資料ダウンロード時の個人情報登録
- メールマガジン登録
- MAツールでの自社Webサイト訪問者のIPアドレス獲得
一般的に、旧来型の営業手法では、営業が個人の人脈や経験をもとに、新規開拓から追客、契約獲得、顧客フォローまですべてをひとりで行っていました。
しかし、近年では、欧米のマーケティングツールやマーケティング手法が浸透するにつれて、日本でもマーケティング部門を設置する企業が増えてきました。
マーケティング部門は、広告やキャンペーン、展示会やセミナーなどのイベント、Webサイトへの集客などを活用し、見込み顧客のリードを収集する役割を担います。
しかし、これまでの日本の営業習慣のなかには「マーケティングが重要である」という概念が、ほとんど浸透していないのが現実です。
旧来型の営業手法を打破すべく、マーケティング部門を設置した企業も、実際には、営業部門とマーケティング部門の間に誤解が生じ、営業フローがうまくまわっていないという声をよく聞きます。
営業部門の本音
マーケがパスするリードは全然アツくないのに、展示会や広告でムダなお金を使っている
かき集めた名刺情報だけ渡されても、優先すべき顧客がほかにいるからマーケのリードを追うヒマがない
画像引用元:MAツール「BowNow」
マーケティング部門の本音
せっかくリードを渡しても、営業が追客してくれないんじゃ意味がない
契約が取れないのはリードの質が悪いのではなく、営業力が弱いのでは?
画像引用元:MAツール「BowNow」
2.なぜ無視されるリードがあるのか?
では、なぜマーケティング部門と営業部門の間には、このようなミスコミュニケーションが生じてしまうのでしょうか。
BtoBマーケティングを支援するアメリカのDemandbase社の資料では、下記のような衝撃的な数字が紹介されています。
- マーケティングが提供するリードの50%は営業に無視される
- マーケティングが提供するリードの79%は販売ラインにのらない
- BtoBのWebサイト訪問者の82%は見込み顧客ではない
上記の数字からもわかるように、マーケティング施策が進んだアメリカでも、「マーケ部門の獲得したリードが、営業部門に活用されていない」「マーケ部門のリードが契約に結びついていない」という事実があるようです。
このようなミスマッチを解決するには、両者の「アツいリード」の定義を共通のものにすることが必要です。
3.追客してもらうためには
マーケティング部門と営業部門の「ホットリード」の条件をすり合わせるには、ABM(アカウントベースドマーケティング/Account Based Marketing)といわれるマーケティング手法が役立ちます。
ABMは、「自社にとって価値の高い顧客を選別し、顧客にあわせた最適なアプローチをする」という概念です。
マーケ部門と営業部門の両者が、自社の「もっとも重要な顧客像」を定義し、顧客リストをランク分けして管理します。
このように、見込み顧客の「見込み度」を適切に評価し、リードを絞り込んでいく工程を「リードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)」といいます。
下図は、縦軸に、リードが重要顧客になり得るかどうかを示す「ポテンシャル」、横軸に、顧客の検討がどのフェーズまで進んでいるのか示す「見込み度」を配置した、リード絞り込み表の例です。
ABMでは、このように「ポテンシャル」と「見込み度」を表にし、顧客がその表のどこにいるかでリードを選別します。
下図では、ポテンシャルは「売上」を例にしていますが、他にも「従業員数」と「業種・役職」などを絡めて設定されます。
ステータスは「購買プロセス」に合わせて、営業が実際に案件管理しているランクで分けましょう。
このようにリードを分析し、表中の「どの面に属する人をホットリードとするか」を、営業部門がほしいと思う条件で設定することで、「営業が求めるものと違う」というような、すれ違いを防ぐことができます。
ただし、リードを絞り込んでも「誰が、どのようなアクションをするか」を決めていなければ、担当の押し付け合いや、追客の漏れなどが生じ、またしてもトラブルが発生してしまいます。
この場合、下図のように、分析したリードに対し「面」ごとにアプローチする担当組織や、アクションを決めておくことが有効です。
「誰が、いつ、何を」やるのかが明確になれば、もれなく、迷わずリードを育成することができます。
エムタメ!を運営するMtame株式会社が提供するマーケティングオートメーションツール「BowNow」では、このようなABMの手法を活用したリード分析機能を「ABMテンプレート」として搭載しています。MAツール導入初期に陥りがちな、難しいシナリオ設計やスコアリングに時間をかけず、約2,200社の利用ノウハウから生まれた、わかりやすいテンプレートを活用し、効果的なリード管理をすぐに実践することができます。
参考:マーケティングオートメーションツール「BowNow」:ABMテンプレート機能とは?
4.まとめ
マーケティング部門と営業部門の間では、リードを「追った・追わない」のやりとりから、確執が生まれやすいのが実情です。
しかし、責め合ってばかりいては、マーケティング活用も、営業改革も成功しません。
ABMの手法やMAツールを上手に使い、ゴールを共有しながら、両者で前向きに話し合う環境づくりをめざしましょう。