製造業が取り組むべき「オウンドメディア」とは?
最終更新日:2025/11/07

【この記事の要約】
製造業(BtoB)におけるオウンドメディアとは、従来の広告手法(ペイドメディア)やSNS(アーンドメディア)の効果が薄れる中、自社の専門知識や技術情報を発信し、潜在顧客に「見つけてもらう」ためのマーケティング手法です。かつては取引先の営業担当が情報源でしたが、現在は顧客自らが検索エンジンで情報を探すため、オウンドメディアの重要性が高まっています。
製造業がオウンドメディアを運用する目的は、ズバリ「見つけてもらう」ことです。これにより、従来のチャネルでは出会えなかった新規顧客や異業種からの問い合わせを獲得する「新規取引の拡大」や、広告に依存しない集客が可能になる「広告費用の削減」といった効果が期待できます。
成功事例として、キーエンスの「静電気ドクター」やロームの「Device Plus」が挙げられています。これらは、自社の専門性を活かした技術情報やノウハウを提供し、ターゲット(工場従事者やエンジニア)の課題を解決することで、信頼を獲得し、問い合わせやメルマガ登録に繋げています。成功には、トップダウンによる目標設定と、兼任でも継続できる運用体制の構築が不可欠です。
【よくある質問と回答】
なぜ今、製造業(BtoB)にオウンドメディアが必要なのですか?
顧客が情報収集を営業担当者に頼らず、自ら検索エンジンで調べるようになったためです。オウンドメディアで専門情報を発信し、検索で「見つけてもらう」ことが、新規取引のチャンスを掴むために不可欠です。
製造業がオウンドメディアを運用するメリットは何ですか?
自社の高い専門性や技術力を発信することで、企業の信頼性を高められます。また、広告費に頼らずに集客できる「資産」となり、今まで接点のなかった業界から問い合わせが来るなど、新規取引の拡大が期待できます。
製造業のオウンドメディア成功事例(キーエンスなど)に共通する点は何ですか?
製品を直接売り込むのではなく、ターゲット(例:工場の技術者)が持つ専門的な「悩み」や「課題」を解決するための、質の高い技術情報やノウハウを提供することに特化している点です。
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コンテンツマーケティングという手法が注目され、器となるオウンドメディアの重要度が高まったことにより、BtoCはもちろんBtoBでも力を入れ始める企業が増えています。
今回はBtoBでも「製造業」という業種に携わる方に向けて、「オウンドメディア」をご紹介していきます。

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クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。
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1、オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)は、企業が自社(Owned)で保有しているWEBサイトやメールマガジン、広報誌、冊子など自社保有のメディアを指します。
ただし、最近では自社保有の複数メディアの中からビジネスブログだけを限定して指すことも多いです。
オウンドメディアの役割は、ペイドメディアとアーンドメディアに対して情報を補完するハブとなり、それぞれのメディアの効果を相乗的に高めることを役割としています。
具体的には、ペイドメディアであるWeb広告で集客したユーザーを、オウンドメディアのキャンペーンサイトへ誘導したり、そのキャンペーンサイトをアーンドメディアのSNSで拡散させるなどの相互関係を築き、潜在層のユーザーと長期的なコミュニケーションを図ることを目的とする場合が多いです。
ペイドメディアとは
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス媒体やWeb広告など企業が費用を払って広告を掲載する従来型のメディア
アーンドメディアとは
消費者やユーザーが情報の起点となる、ブログやSNS(Twitter、Facebook)などのメディアを指します。

1-2 オウンドメディアが注目されている理由
近年、オウンドメディアが注目されている理由は、リスティング広告やバナー広告など従来の広告手法だけでは効果が落ちてきているためです。
以前まで、バナー広告のクリック率は10%前後といわれましたが、今では1%を切ることが多いです。
また、最近では広告をブロックするアプリなども出てきており、こちらからプッシュで表示する広告だけでは集客ができなくなってきたため、オウンドメディアを使ってユーザーに見つけてもらい、ユーザーを育てる集客手法が注目されるようになりました。
オウンドメディアの運用はBtoCの企業では一般的になりましたが、BtoBの企業ではまだまだ運用している会社は少なく、効果に対して懐疑的な企業も少なくありません。
今回は、BtoBで事業をしている製造業にフォーカスし、事例を交えて紹介していきます。
2、製造業での目的と効果
2-1 製造業での目的
まずは製造業でオウンドメディアを運用する目的です。
運用する目的はズバリ「見つけてもらう」ことです。
以前まではユーザーからすると取引先の営業担当が情報源でしたが、最近では何事もGoogleやYahoo!などの検索エンジンを使って調べることが一般的になり、情報を「待つ」のではなく「探しに行く」ようになりました。
これにより、企業は競合他社と比較されるケースが増え、ユーザーに見つけてもらえない企業は取引先を奪われて新しい取引先も増えず…という状況になってしまうのです。
2-2 オウンドメディアの効果
2-2-1 新規取引の拡大
逆に、オウンドメディアで見つけてもらうことができるようになった企業は、普段なら決して取引チャンスがない顧客や展示会でも出会えない企業、普段関わることのない業界からの問い合わせなど、多くのビジネスチャンスを掴むことができます。
2-2-2 広告費用の削減
オウンドメディアで集客ができるようになると、今までペイドメディアで膨大な費用をかけていた広告費を抑えて集客することが可能になります。
また、上述の通り、オウンドメディアが機能すればペイドメディアとアーンドメディアの効果が高まり、費用対効果を格段に上げることができます。
3、事例の紹介
3-1 事例1:静電気ドクター
| 業種 | WEB・IT |
|---|---|
| 運営元 | 株式会社キーエンス様 |
| URL | https://www.keyence.co.jp/ss/ionizer/doctor/ |
| ターゲットユーザーゲーム | 工場設計、除電器を求めている工場従事者 |
| コンバージョンや目的 | 問い合わせ、見積り依頼、ホワイトペーパーダウンロード |
3-2 事例2:Device Plus
| 業種 | 製造業・産業 |
|---|---|
| 運営元 | ローム株式会社様 |
| URL | http://www.rohm.co.jp/web/japan/ |
| ターゲットユーザー | 既存のエンジニアや電子工作、半導体などに興味のあるユーザー |
| コンバージョンや目的 | メルマガの登録、電子工作キットの購入、問い合わせなど |
3-3 事例3:プラスチックフィルムラボ
| 業種 | 専門商社 |
|---|---|
| 運営元 | パナック株式会社様 |
| URL | http://www.panac.co.jp/ |
| ターゲットユーザー | メーカーの商品開発担当やフィルムに興味があるユーザー |
| コンバージョンや目的 | 問い合わせ、担当者情報の収集、ホワイトペーパーダウンロード |
4、理想の運用体制
オウンドメディアの運用をするには、定期的にコンテンツをアップしていくための体制を整える必要があります。
最初からオウンドメディア専任の担当がつくことは稀なため、ほとんどが兼任の担当者ばかりになると思います。
本業ではない業務は疎かになりがちですので、まずトップダウンにより、ターゲット、目的、アップロード記事本数を期限も含めて目標設定することが必要です。
目標が決まったら、アップロードする担当者を決めていきます。通常の業務と兼務しながら作業する方がほとんどとなりますので、一人の負担が大きくなりすぎないように調整しましょう。
最後に記事作成のレギュレーション(ルール)を決めます。
アップロードする記事の内容が想定したターゲットに届くように、文字数や内容、画像の有無などを明確に決めて一定のクオリティを保てるようにしましょう。
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【English summary】
Owned media for manufacturing (BtoB) is a marketing method for disseminating a company's specialized knowledge and technical information to be "found" by potential customers, emerging as the effectiveness of traditional advertising (Paid Media) and social media (Earned Media) wanes. While information once came from sales reps, customers now search for information themselves, increasing the importance of owned media.
The primary purpose of owned media in manufacturing is precisely "to be found." This is expected to lead to "expansion of new business," acquiring inquiries from new customers or different industries previously unreachable, and "reduction of advertising costs" by enabling acquisition independent of ads.
Successful examples include Keyence's "Static Electricity Doctor" and Rohm's "Device Plus." These sites leverage their expertise to provide technical information and know-how, solving the problems of their target audience (factory workers and engineers), thereby gaining trust and leading to inquiries or newsletter sign-ups. Success requires top-down goal setting and an operational structure that ensures continuous updates, even if staff have concurrent roles.







