見込み顧客、または顧客情報を意味する「リード」は、新規の商談を得るために重要です。しかし、いくら多くの「リード」を獲得しても、そのままアプローチを行わないのでは商談へとつながりません。
 
そこで大切なのが今回ご紹介する「リードナーチャリング」です。 リードナーチャリングは、獲得した「リード」のニーズを満たすような情報を提供することで購買意欲を高めていくプロセスを指し、企業活動において非常に重要な施策の一つとされています。
 
本記事ではリードナーチャリングの施策例や指標例、重要性や効果などを詳しくご紹介します。
 
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リードナーチャリングとは、リードで獲得した見込み顧客にアプローチを行い、中長期的に育成していくプロセスを指します。 見込み顧客に有益な情報を提供することで、購買意欲を高めていくことが目的です。
 
顧客の検討期間が長いサービスであれば、BtoC企業だけでなくBtoB企業においても非常に重要な施策と考えられています。商品知識の共有や課題解決方法を提案することで見込み顧客の不安を解消して関係構築を図ることで育成し、最終的には購買へと導いていきます。
 
様々な施策を活用して見込み度がより高まったところでアプローチを行うため、より効率的に商談を成立することが可能です。では、具体的にどのような施策があるのでしょうか。
リードナーチャリングの施策には、代表的なものが主に5つあります。どの施策においても、見込み顧客のニーズや課題意識を満たす情報を継続的に発信することが重要です。
リードナーチャリングの基本的な手段であるメールは、定期的な配信で検討意欲を徐々に高めていくのに効果的です。条件ごとに分類された見込み顧客グループごとに配信する情報を変える「ターゲティングメール/セグメントメール」やシナリオ(ストーリー性)のある複数のメールを順番に送信する「ステップメール」などがあます。全員に同じ内容を送るのではなく、見込み顧客のニーズをより満たせるパーソナライズしたメールを配信することが大切です。
Twitter、instagram、Facebookなどで企業アカウントを作成し、情報発信を行う手法で、オウンドメディアやコーポレートサイトへの誘導に適しています。SNSを通して顧客情報を得られるわけではありませんが、新商品情報やオウンドメディアに掲載した新着記事などを投稿することで、頻繁にアプローチを行うことが可能です。プライベートで使用しているユーザーも多いため、BtoBにおいて活用するには工夫が必要になります。
広告を用いてリードナーチャリングを行うには、いくつか方法があります。これまでにWebサイトを訪れたことのある見込み顧客に対して広告を表示させる「リターゲティング広告」、企業IPから広告配信先を限定して配信する「企業ターゲティング広告」などです。購買意欲のありそうなユーザーに絞って広告をうつことで、より高い効果が期待できます。
セミナーはBtoB企業で特に有効なリードナーチャリング手法です。見込み顧客の検討段階に合わせて、関心が高いであろうテーマのセミナーを開催し、ニーズを満たす情報を提供します。開催方法もウェビナーを取り入れるなど見込み顧客にとって最適な方法を実施する必要があります。参加後もフォローを行うことが大切です。
昨今ではリードナーチャリングを電話で行うケースが増加しており、基本的にはインサイドセールスの役割を担う人が行います。テレアポとは違い、よりマーケティングに重点をおいて見込み顧客と関係性を構築していく点が特徴です。
 
具体的な施策についてご紹介しましたが、そもそもなぜリードナーチャリングは企業活動において重要視されているのでしょうか?次章で詳しくご説明します。
近年リードナーチャリングが非常に重要視されている背景には、時代や商談を取り巻く環境の変化、消費者の変化などがあります。その変化についてみていきましょう。
スマートフォンの普及で、消費者は自分の欲しい商品やサービスに関する情報をインターネット上で簡単に見つけられるようになりました。そこで消費者は従来の「売り手から情報を与えられるのを待つ」という姿勢をやめ、「自ら情報を集めるための能動的な行動」を取るようになったのです。このような消費者行動の変化は、リードナーチャリングが重要視されるようになった大きな要因です。
先述した消費者行動の変化によって、消費者は売り手側の情報をいくつも集められるようになり、商品購入を検討する際の情報量は急増しました。膨大な情報ひとつひとつを比較・検討し、納得できるまで理想の商品・サービスを探すようになったことで、商品購入を検討する期間は長期化しています。
 
こうした変化の中で、消費者は売り込みを避ける傾向にあります。このような消費者優位の状況はリードナーチャリングの必要性を生み出しました。
上記でご説明したように、消費者優位の状況にある現在、企業が提供する情報は消費者にとって有益でなければ目に留めてもらえなくなりました。つまり従来のような画一的な情報の提供・アプローチは効果が低く、データを元にしたパーソナライズ化された情報の提供が必要とされています。
 
インターネットを活用したデータ分析によって、消費者側のセグメントやそれにマッチした施策を検討し、それぞれに最適化したアプローチが必要になります。
 
このような背景から、中長期的に有益な情報提供を行うことで、消費者と良質な関係を構築していくことができるリードナーチャリングが非常に重要とされているのです。
さて、施策を打ったは良いものの、その成果を正確に把握できなければその後の細かい調整や改善を行うことはできません。そこで本章では、メールやセミナーなどのリードナーチャリングにおいて確認すべき指標例をご紹介します。
メールにおける指標例をご紹介します。
リードがメールを開封した総数や送信数に対する割合を計測します。メールを配信する時間帯や件名を工夫することで、自社のメールによるリードナーチャリングを最も効果的に行うことが重要です。
 
一般的なメールの開封率としては、メルマガが10〜20%、イベントや展示会などのお礼メールが25〜40%、セグメントメールで30〜50%といわれており、これらの数値と自社の数値を比較して評価・改善していく必要があります。
配信したEメールに記載されたURLをクリックして、商品の購入や申し込みなど、あらかじめ設定していたコンバージョンにつながった総数や割合を計測します。コンバージョン率を確認することで、リードのライフサイクルステージの貢献度や送付したコンテンツの効果を判断することが可能です。
 
無料でダウンロードできるホワイトペーパーやサンプルの申し込みの場合、コンバージョン率は30%程度だと言われています。
メールの本文内に記載するURLを観測用のURLに置き換えることで、リードがURLをクリックした日時などのデータを得ることができます。リードナーチャリングの見込み顧客に対して、送付したコンテンツが適切かどうかを測ることが可能です。
 
一般的なクリックスルー率は0.8%〜1.5%といわれています。
メールの末尾に記載されている「受信登録解除」のURLをクリックしたリードの割合を計測します。登録解除率を把握しておくと、特定のメールキャンペーンの後の解除率や、メールリストの全体の成長率などの詳細を確認することが可能です。
 
これにより、リードの休眠状態や、意欲・関心の低下を防ぐことができます。
セミナーにおける指標例をご紹介します。
セミナーに参加する申し込みの総数です。より多くの参加者を集めることにとらわれて、自社商品と関連の低いテーマのセミナーを用意してしまうと、商談機会の創出やコンバージョン率に悪影響を与えてしまいます。集客数の最大化は大切ですが、目的を明確にしたテーマを設定した上で、指標とすることが重要です。
集客数に対して、参加した人数の割合を計測します。顧客の課題解決にマッチしたテーマの設定や、参加しやすい日時の選定、リマインドメールの送付などの工夫で改善することができます。
参加してくれた人数に対するアンケート回答数の割合を計測します。参加してくれた顧客にとって、自社の開催したセミナーが有益なものだったかを間接的に測る指標になり、設定したテーマや内容が適切かどうかを判断する手助けになります。
アンケート回答の中から、自社商品・サービスに興味関心のある見込み顧客をピックアップし、営業へと繋げることができる「有望回答数」は、セミナーにおける最終的な成果指標です。
 
施策によって段階的に指標を計測することで、商談数の増加やコンバージョン率向上へとつなげることができます。
では、実際にリードナーチャリングを実施するとどのような効果が得られるのでしょうか?主な効果を3つご紹介します。
リードナーチャリングの効果としてまず挙げられるのは、「見込み顧客の購買意欲の向上及び態度の変化」です。これまで商品の必要性を感じていなかった顧客や、少し関心があっただけで購入しようとは思っていなかった顧客にも、リードナーチャリングを行うことで購買意欲を高めてもらうことができます。また、他者との比較で迷っていた顧客にも、リードナーチャリングによって自社商品の強みを伝えることで、コンバージョンへと導けます。
 
ファーストコンタクトの段階では自社商品・サービスの必要性を感じていない顧客にも、課題感を持たせることで態度の変化を図り、購買意欲を育成できるのはリードナーチャリングの最大の効果であるといえます。
リードナーチャリングを行うことで、購買意欲の高い顧客とそうでない顧客に選別することが可能になり、見込み顧客を絞り込むことができます。リードナーチャリングの施策を通して、反応がある顧客は受注高度が高いと判断できるため、営業担当者は絞り込みにより優先順位をつけて対応することができ、効率化も図れます。
 
また、絞り込みによって見込み顧客それぞれの購買意欲や状況に合わせた、細やかな対応を行うことも可能になります。
「見込み顧客との信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める」ことも、リードナーチャリングを行うことで得られる大きな効果のひとつです。v商品購入後も顧客とコンタクトを取ることで良質な関係性を構築し、フォローし続けることでエンゲージメントを強化することができます。
 
顧客にファンになってもらうことができれば、競合他社との比較検討を行わずに商品を購入してもらえたり、多少値段が高くても自社サービスを選んでもらえたりします。関係性を構築し、エンゲージメントを高めることは長期的に見て自社の利益を増やすことへとつながるのです。
最後に、実際のナーチャリング成果について弊社の実績を元に解説していきます。弊社クラウドサーカスは、本メディア「エムタメ!」以外にもプロダクトごとにリード獲得を行っています。主な施策はWPのダウンロードや問い合わせなどデジタルでのコンバージョン獲得施策や、展示会などのイベント出展などです。
 
獲得したリードに関しては、すぐにアプローチするのではなく弊社内で決められた条件を満たした場合にのみインサイドセールスよりアプローチをしています。資料をダウンロードした時点で連絡をすることもあれば、こちらからは連絡せずに関連するセミナーなどの情報だけを配信する、といったナーチャリング活動を長年行っています。
 
最近になり、直近の受注データを集計したところ、コンバージョンからすぐにアポになって受注した顧客は全体の15%に過ぎず、残りの約85%は過去のコンバージョン顧客がなんらかの別の経路(セミナー、インサイドセールスからのアプローチ等)でアポイントに繋がり、受注に至っていることがわかりました。
 
 
もし仮に、直近でコンバージョンした顧客した追わずに、放置してしまっていたら、全部ではないにしろ多くの顧客が顧客となりえなかった可能性があります。弊社の実数値としても、リードナーチャリングの重要性を感じていただけるかと思います。
本記事では、獲得した「リード」のニーズを満たすような情報を提供し、購買意欲を高めていくプロセスである「リードナーチャリング」をご紹介しました。
 
正しいステップで適切な施策を行うことで、最終的にはコンバージョン率やリピート率アップなどの効果が見込めるリードナーチャリング。BtoBで長期の検討期間が予想される商品・サービスを取り扱う企業においては、より一層高い効果を期待できます。
 
様々な施策があるリードナーチャリングは、マーケティングオートメーションツールを活用することでさらなる効果の最大化を図ることも可能です。最適なリードナーチャリングを実施したい方は検討してみると良いでしょう。
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