コンテンツマーケティングのKPIとは、コンテンツマーケティングの目標や成果を達成するための、中間指標のことです。
コンテンツマーケティングを実施するとなると、数あるKPIから何を設定するべきかわからない、設定してみたけどいまひとつ成果を実感できない、といったお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。実際に、コミュニケーション設計がうまくできず、アクセス数やコンバージョンをとりあえず設定しているケースも多いかもしれません。
本記事では、コンテンツマーケティングにおいてKPIを設定する重要性や、設定の5ステップ、設定すべきKPIと初めての方にもおすすめのツールについて解説します。
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目次
コンテンツマーケティングをおこなう大きな目標としては、
などがあり、これらはビジネス上の大きな目標、すなわち後にも説明するKGIです。
KPIは、これらの大枠の目的に対して、コンテンツマーケティングが正しく機能するように設定する中間目標のことです。
コンテンツマーケティングにおけるKPIの重要性とは、最終的に達成したい目標に対して、コンテンツの質や内容の良し悪しや、コンテンツマーケティング施策が正しく機能しているかを常に監視することにあります。そのため、コンテンツマーケティングのKPI設定で重要になるのは、この最終目標を見失わず、目的意識を明確にしたうえで運用していくことです。
またKPIは、最終目標(KGI)に対して複数設定することが一般的です。ただし、KPIの数が多すぎると管理しきれなくなったり、逆に数が少なくて判断材料にならなくなったり、といったことは少なくありません。そのため、本当に必要かつ実際に検証できるKPIを、チームにとって過不足なく設定するスキルが必要になります。
ひとえにコンテンツマーケティングと言われても、どこからどこまでがコンテンツマーケティングにあたるのだろう、と疑問に感じる方もいるかもしれません。
コンテンツマーケティングとは、潜在ユーザーが求めていることを先回りして情報発信することで、見込客を獲得するマーケティング活動です。見込み客が興味をもって自発的にアクションを起こすまでは、企業側からは売り込みをしない、インバウンドマーケティングのひとつでもあります。
具体的には、カタログやクーポンなど直接的に売上にるながるものを配布するのではなく、製品の使い方動画や製品の選び方ガイドブックといった「潜在ユーザーにとって有益なコンテンツ」を提供するのがコンテンツマーケティングの考え方です。
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KPIは、Key Performance Indicators(キー・パフォーマンス・インジケーター)の略称で、日本語訳すると「重要業績評価指標」になります。簡単にいえば、全体の目標に対する「中間目標」の意味です。
KPIは、マーケティング施策が成果達成に向かって正しく機能しているかを、途中、途中のポイントで定量的に評価するうえで使います。最終目標に対して、中間目標はひとつである必要はなく、通常複数設定して効果を測定します。
KPIを設定しておくことで改善点を早期発見でき、軌道修正するのにも役立ちます。KPIの設定の仕方としては、カスタマージャーニーやフロー図を作成します。
ここからはKPIに関連する指標、KGI・OKR・KSFについても解説します。たとえばマーケティングにおけるKPIは、特定のキャンペーンや施策のパフォーマンスを測定するための指標で、たとえばサイト訪問者数、コンバージョン率、CTR(クリック率)、CVR(変換率)などです。
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KGIとは、Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)の略称で、「経営目標達成指標」の意味で、つまりはマーケティング施策におけるゴールや最終目標のことです。KPIが施策における具体的な指標であるのに対して、KGIはビジネスの大きな目標といえます。
コンテンツマーケティングのKGIとしてよく設定されるものとしては、新規リードの獲得や売上高の増加、市場シェアの拡大などです。このKGIに辿り着くまでの途中経過にKPIを設定して評価することで、コンテンツマーケティング活動がKGIに対してどれだけ到達しているかを数値化し、把握できるようになります。
マーケティングにおけるKGIの例としては、売上目標や利益目標、市場シェアの拡大、顧客獲得数の増加などがよく設定されます。
OKRは「Objectives and Key Results(オブジェクティブズ・アンド・キーリザルツ)」=「目標と主要な成果」を意味し、現時点ではややむずかしい目標を掲げるのが特徴です。またObjectivesは定性的な目標ですが、これを定量的な目標であるKey Resultsに分解して計測できるよう設定する必要があります。
OKRは、必ず達成すべき指標としてのKPI・KGIとは少し異なり、ワンランク上の目標を掲げるのが一般的です。ビジネス全体の飛躍を見越し、チャレンジングな課題を掲げることで組織全体を鼓舞する目的で、難易度の高い目標を設定するため、実際の目標の実現度としては50?70%程度ともいわれます。
マーケティングにおける目標(Objectives)に、たとえば「特定のキャンペーンで新規獲得数を増やすこと」を設定した場合、キーリザルト(Key Results)は、「新規顧客数の月間平均を20%増加させる」といった具体的な成果を設定します。
KSFは「Key Success Factor(キー・サクセス・ファクター)」の略で、事業やビジネスを成功させるうえで鍵となる要因を意味します。直訳では「重要成功要因」となります。
マーケティングにおけるKSFは、たとえばターゲット市場の理解、競合分析と自社の提供できる価値、顧客体験の向上などです。ビジネスの目的や事業設計によって重視されるKSFは異なり、KSFにともなってKPIの指標も変わってきます。
コンテンツマーケティングのイメージから、KPIをなんとなくアクセス数や検索流入数などに設定してしまうことも多いかもしれません。ここでは、コンテンツマーケティングにおいて本当に成果の出るKPI設定方法を、5つのステップに分けて解説します。
KPIを設定する大前提として、まずはコンテンツマーケティングの目的が正しく、明確に設定されているかを見直しましょう。コンテンツマーケティングの目的をしっかりと定めておくことで、この5ステップのなかで、どのコンテンツをどのような目的で運用していくか明らかにしていくことができます。
KPIは、コンテンツマーケティングが最終目標を正しく果たせているかを確認するために設定する中間指標です。つまり、最終的な目標=コンテンツマーケティングをおこなうそもそもの目的が明確でないのに適切なKPIを設定することはできないため、目的が曖昧なまま、メジャーな指標をなんとなくKPIにしているというケースも少なくありません。
以下はコンテンツマーケティングの目的設定の一例です。
コンテンツマーケティングの目的 | 定性的な目標 | 定量的な目標 |
---|---|---|
ウェビナーを活用したリード獲得と製品サイトへの誘導g | 業界内でのリーダーシップの確立 | 企業認知度調査で業界トップ3入りを達成するウェビナー参加者数を前年比50%増加させる |
動画コンテンツを通した定期的な情報発信 | 顧客の問題解決やニーズへの対応を強調し、顧客満足度を向上させる | 新規ユーザー獲得数を月間100人以上増加させる |
メルマガで提供するお役立ち記事で信頼関係を築く | ブランドの専門性と信頼性を高める | メルマガのキャンペーンによってリード数を週間で10%増加させる |
次は、自社の保有しているコンテンツ、またこれから作成するコンテンツについて、種類分けをおこない、どのような役割があるかをあてはめて一覧を作ります。これを可視化した状態で、社内で共有することが大切です。
コンテンツの種類 | 役割 | 流入経路 |
---|---|---|
ブログ記事 | 情報提供 SEO強化 ブランディング |
検索エンジン、SNSシェア、メール配信 |
インフォグラフィック | 視覚的情報提供 シェア促進 |
ソーシャルメディア、Webサイト、ブログ記事内 |
ホワイトペーパー | 専門知識の提供 リード獲得 |
メールキャンペーン、Webサイト、SNS広告 |
成功事例 | 導入をイメージしやすい 信頼度向上 |
Webサイト、営業活動、メールニュースレター |
ウェビナー | 専門知識の提供 リード獲得 |
Webサイト、SNS広告、メールマーケティング |
動画コンテンツ | 顧客視点の向上 ブランド認知促進 |
YouTube、ソーシャルメディア、Webサイト |
イベントレポート | イベントの情報提供 興味喚起 |
Webサイト、SNSシェア、メール配信 |
FAQページ | よくある質問の解答 ユーザーサポート |
Webサイト、検索エンジン、SNS広告 |
コンテンツの一覧ができあがったら、それぞれのコンテンツが、どのステージにいる顧客にとって最適か照らし合わせていきます。
コンテンツの種類 | 役割 | ターゲット | ターゲットのフェーズ | 流入経路 |
---|---|---|---|---|
ブログ記事 | 情報提供 SEO強化 ブランディング |
オーガニック検索、ウェブサイト訪問者 | 認知 | 検索エンジン、SNSシェア、メール配信 |
インフォグラフィック | 視覚的情報提供 シェア促進 |
ソーシャルメディア利用者、ウェブサイト訪問者 | 認知 | ソーシャルメディア、ウェブサイト、ブログ記事内 |
ホワイトペーパー | 専門知識の提供 リード獲得 |
潜在顧客、業界専門家 | 関心 | メールキャンペーン、ウェブサイト、SNS広告 |
成功事例 | 導入をイメージしやすい 信頼度向上 |
潜在顧客、既存顧客 | 関心 | ウェブサイト、営業活動、メールニュースレター |
ウェビナー | 専門知識の提供 リード獲得 |
潜在顧客、業界専門家 | 関心 | ウェブサイト、SNS広告、メールマーケティング |
動画コンテンツ | 視聴体験の提供 ブランド認知促進 |
オンライン動画利用者、ソーシャルメディア利用者 | 認知 | YouTube、ソーシャルメディア、ウェブサイト |
イベントレポート | イベントの情報提供 興味喚起 |
イベント参加者、業界関係者 | 認知 | ウェブサイト、SNSシェア、メール配信 |
FAQページ | よくある質問の解答 ユーザーサポート |
ウェブサイト訪問者、顧客 | 関心 | ウェブサイト、検索エンジン、SNS広告 |
顧客が受注や契約に至るまでは、認知・興味関心・比較検討・問い合わせ・商談・契約…といったステージ、つまり顧客フェーズが存在します。一覧にしたコンテンツを、顧客フェーズのファネルに対応させてみることで、コンテンツの役割を整理することができます。
基本的には、コンテンツを通してユーザーがどのように導線をたどるのかを想定して設計しましょう。たとえば、SNSを通じたコンテンツマーケティングの場合、集客やブランド認知の面では「フォロワー数やいいね数」は代表的なKPIとして設定されますが、ユーザーとの関係性を深められているかを測るには「投稿のリーチやエンゲージメント率」、リードやコンバージョンを増やしたい場合には「SNSからWebサイトへのトラフィック量」といったKPIがより有用です。
コンテンツの種類と役割、自社のコンテンツマーケティングにおいて必要な指標があきらかになったら、それぞれのコンテンツの優先順位を設定していきましょう。
さきほど出した一覧から、自社のコンテンツマーケティングで優先すべきコンテンツと、自社のコンテンツに必要なKPIを設定していきます。
コンテンツの種類 | 目的 | 優先順位 |
---|---|---|
ブログ記事 | 情報提供 SEO強化 ブランディング |
高 |
インフォグラフィック | 視覚的情報提供 シェア促進 |
中 |
ホワイトペーパー | 専門知識の提供 リード獲得 |
高 |
成功事例 | 成功事例の紹介 信頼度向上 |
中 |
ウェビナー | 専門知識の提供 リード獲得 |
高 |
動画コンテンツ | 視聴体験の提供 ブランド認知促進 |
中 |
イベントレポート | イベントの情報提供 興味喚起 |
低 |
FAQページ | よくある質問の解答 ユーザーサポート |
低 |
コンテンツの優先順位が決まったら、最後は自社で運用可能なKPIを決定していきましょう。
KPIを決めるには、集計方法が明らかで、かつ適切な数の指標を選択し、過不足なく設定します。また優先度の高い指標の順に、自社内の体制やシステムで適切に集計できるか確認し、できない場合はツールを導入したり、外注したり、もしくは代わりの指標を用いたりと選択肢を検討する必要があります。
さらに指標を決めたら、どのような頻度で数値の測定や分析をおこなうかをスケジューリングしておくと、スムーズに運用にすすめるはずです。
コンテンツの種類 | 目的 | 優先順位 | 自社で運用可能なKPI |
---|---|---|---|
ブログ記事 | 情報提供 SEO強化 ブランディング |
高 | 月間PV数、CTR、コンバージョン率 |
インフォグラフィック | 視覚的情報提供 シェア促進 |
中 | シェア数、CTR、ウェブサイトへのリンククリック数 |
ホワイトペーパー | 専門知識の提供 リード獲得 |
高 | ダウンロード数、リード数、コンバージョン率 |
成功事例 | 成功事例の紹介 信頼度向上 |
中 | ダウンロード数、閲覧数、コンバージョン率 |
ウェビナー | 専門知識の提供 リード獲得 |
高 | 参加者数、視聴率、リード数 |
動画コンテンツ | 視聴体験の提供 ブランド認知促進 |
中 | 視聴回数、シェア数、コンバージョン率 |
イベントレポート | イベントの情報提供 興味喚起 |
低 | 閲覧数、ダウンロード数、コンバージョン率 |
FAQページ | よくある質問の解答 ユーザーサポート |
低 | ページビュー数、ユーザーエンゲージメント、問い合わせ数 |
ここまではコンテンツマーケティングのKPIと、その設定方法について解説してきました。ここでは、顧客のフェーズごとに具体的にどのようなKPIを設定するとよいか、一覧でご紹介します。
見込客との初期接触において、適切なKPIを設定しておくことで、コンテンツマーケティング戦略の効果を評価するのに役立ちます。たとえば自社のオウンドメディアやブログ運営において、訪問者数を測定することは必須となりますが、実はそれ以外にも着目すべき指標は多くあるのです。
ユニークユーザー数(UU)は、Webサイトに訪問したユーザーの人数をあらわす指標のことです。一定期間内に、同じユーザーが何度も訪れた場合でも、そのユーザーは1つのユニークユーザーとして、ブラウザ単位でCookieを付与しカウントされます。
セッションは、Webサイトが訪問された回数をあらわす言葉。ユニークユーザーが訪問者の数を示すのに対して、セッションは訪問や活動の単位をあらわします。一定期間(通常30分?1時間)が経過するか、ユーザーがサイトを離れた時点でセッションが終了します。
ページビュー数(PV)は、特定のページが表示された回数をあらわします。特定のページが何回閲覧されたかを確認できるため、コンテンツのパフォーマンスを評価するのにも役立ちます。
たとえば、あるユーザーAが1つのセッションでWebサイトに訪れ、そのセッション中に5つのページを閲覧した場合は、ユニークユーザー数は「1」、セッション数「1」、ページビュー数は「5」です。
これらの指標は、単純に集客がどのくらいできているか、コンテンツにどのくらいの関心が集まっているかを判断する際に活用します。
直帰率は、Webサイトにおとずれたユーザーが、ある特定の1ページだけを見てほかのページにはアクセスしないままWebサイトから離れた割合のことを指します。
離脱率とは、ユーザーが最後に見たページであった割合のことです。たとえばユーザーが、サイト内のページA→ページB→ページCを順に見てから離れた場合、「ページC」で離脱した割合のことを指します。
ただし、「ページC」だけを見て直帰するユーザーがいることも想定されるため、離脱率には直帰率が含まれることになります。
離脱率や直帰率は、ページから離れてしまう原因を探求できるため、コンテンツ改善に直接役立てられるKPIです。
回遊率は、Webサイトにおとずれたユーザー1人あたりが何ページ閲覧したかを示す指標のこと。ユーザーが最初にアクセスしたページから同サイト内のほかのページにアクセスすればするほど、回遊率はあがっていくと考えます。
ページ遷移率とは、Webサイトにおとずれたユーザーが最初のページを閲覧したあとで、サイトから離れずにほかの特定のページへ遷移した割合のことです。
このふたつはよく混同されがちですが、回遊率は「興味関心や愛着」を判断する指標であるのに対して、ページ遷移率は「コンバージョンへ導く導線設計」において有用です。
リテンション率とは、Webサイトへの訪問継続率・定着率をあらわす数値です。新規ユーザーがある一定期間内にサイトにもう一度おとずれた割合で、コンテンツマーケティングによってブランド価値を向上させられているか、顧客行動を理解できているかをはかることができます。
スクロール率とは、ユーザーがWebサイトにアクセスし、ページがスクロールされた割合です。 多くのユーザーはここまでは読んでいるが、このあとは読まれていない、といったページ内のヒートマップを把握することで、コンテンツの質向上に役立つKPIです。
Cookieとは、Webブラウザ上でユーザーの情報を一時的に保存しておく仕組みのことです。MAツールなどを使用している場合、Cookieはユーザーの新規セッションにおいて取得・蓄積され、ユーザー情報にひもづけられるようになります。
顧客情報を管理してナーチャリングするうえで活用できるため、KPIとして設定される数値です。
ブログ記事やお役立ちコラム、SNSへのポストなど、自社で運営しているコンテンツにおける投稿は、新規流入の入口ともいえます。入口が多ければ多いほどタッチポイントが増えることになるため、コンテンツマーケティング立ち上げ初期は、たとえば「1ヶ月で10投稿」など目標を決めて取り組むことをおすすめします。
コンテンツマーケティングそのものが長期目線で取り組む施策であり、定期的かつ頻繁にコンテンツを公開しているかどうかは成果に大きく影響するため、重要な指標のひとつです。
ここまでご紹介してきた新規ユーザーとのタッチポイントにおけるKPIに対して、ここでは確度の高いリードや既存顧客に対して設定するコンテンツマーケティングのKPIをあげていきます。
コンテンツマーケティングにおけるCV数は、コンテンツを通して獲得した、注文、自社製品に関するお問い合わせや資料請求、イベント申込などの件数のことです。もっともポピュラーな指標のひとつといえます。
ただ、コンテンツ経由でCVが得られたかを判別するためには、MAツールなどを導入しフォームでタグ付けをする必要があります。また目標や測りたい効果によって、どのCV数をKPIにおくかは変わってくるため、慎重に設定すべきポイントです。
CV率(CVR)は、コンテンツが閲覧された数に対して、CVがあった割合であり、CV率が高ければ高いほどコンテンツが効率的に働いていることを評価できます。
CPA(成果獲得単価)とは、コンバージョン単価とも呼ばれ、新規獲得のためのコストのことをあらわします。コンテンツマーケティングにおいては、成果を1件獲得するためにどのくらいの費用を費やしたかを示す指標です。
よく設定される成果は、お問い合わせや資料請求や、サンプル品や商品の注文で、コストの最適化を目的として使われることが多い指標です。
CTC(クリック単価)とは、広告などを1回クリックするのにかかる費用のこと。たとえば50万円で出稿した広告は、50万回クリックされれば1円、100万回クリックされれば0.1円のCTCとなり、より安くなるほどよいということになります。
CTR(クリック率)は、広告が表示された回数に対して、広告がクリックされた回数のことで、どちらもコンテンツの質をはかるために活用できるKPIです。
より高品質で興味関心を引くコンテンツであれば、クリックの回数は多くなり、逆にCTC/CTRの数値がよくない場合はコンテンツを改善する必要があるかもしれません。
自社メディアやECサイトへの会員登録や、ブログへの読者登録、SNSのフォロワー数なども、コンテンツマーケティングにおいては大変扱いやすい指標といえます。
実際に多くのユーザーに会員やフォロワーになってもらうことで、コンテンツの影響力を高めることができます。またこちらから定期的にコンテンツを配信できるようになるため、ユーザーとの関係構築、見込客の育成をはかるうえで有用なKPIです。
SNSでのアクションやエンゲージメント率は、SNSを通じたコンテンツマーケティングをおこなっている場合、かならずおさえておきたいKPIです。
Facebook、X(旧Twitter)、Instagram等の「いいね」「シェア」「リツイート/リポスト」などといったユーザーのアクションは、コンテンツがシェアされた指標になります。さらにこれらのアクションを投稿をみたユーザー数で割ることで、エンゲージメント率を割り出すことができ、エンゲージメント率が高くなるほどユーザーと企業が親密な関係であることを示します。
ただSNSに関する流入経路などを詳しく分析するには、外部ツールの利用も必要になります。
見込客がどのくらいの頻度でアクセスしているか、既存顧客がどのくらい高頻度に自社製品やサービスを利用しているかは、受注獲得や契約継続に関する重要なKPIです。
初期タッチポイントでのリテンション率よりも、より自社のファンとして成熟したターゲット層に対する指標で、受注への気持ちがかたまってくることでアクセスの頻度が増えることからも、顧客行動を把握するために設定しておくとよいでしょう。
既存顧客の利用頻度に関しては、たとえばソフトウェアサービスであればログイン数の頻度がさがっている等の顧客のヘルススコアを事前に把握して、解約を防ぐのにも役立ちます。
コンテンツ経由で、イベントにどのくらい送客できているか、申込を獲得できているかをはかる指標です。イベントに多くの見込顧客・既存顧客を誘導できている場合、コンテンツの質はもちろん、自社へのファンが定着していることを評価できるKPIです。
またイベントでは「イベントを何で知ったか」アンケートを実施し、コンテンツ経由のイベント送客数をKPIにすることもできます。さらにひとりの顧客が一定期間に何回参加しているか、を設定するのもおすすめです。
自社コンテンツのなかでも、このページにアクセスするユーザーはとくに確度が高い、受注フェーズに近いと判断できるページへ、どのくらいアクセスを集められているかは非常に重要なKPIとなります。
BtoBマーケティングであれば、活用事例や他社製品との比較表などを配置したページがあてはまります。さらにこのコンテンツを閲覧している見込客に対しては、1to1のアプローチも有効です。
さらに、BtoC/BtoBそれぞれのサービスにおいて、よく設定されるKPIの一例をご紹介します。
「BtoCのECサイトで売上を向上させる」ことを目的としたコンテンツマーケティングのKPIとして、以下のような指標が考えられます。
次に、BtoBビジネスにおいて、認知拡大・信頼獲得のために設定するKPIの例をあげます。
自社のビジネスにおいて適切なKPIを設定し、またこれらのKPIを定期的にモニタリングして適切な施策を実施することで、効果を最大化できるはずです。ぜひKPI設定の際の参考にしてみてください。
コンテンツマーケティングのKPIを設定できたら、運用、分析、改善を繰り返して、コンテンツマーケティングの精度をあげていきましょう。
コンテンツマーケティングのKPIを設定した後は、定期的に数値を分析し続けることが必要不可欠です。コンテンツマーケティングのKPIを設定したら、数値を測定する頻度を運用方針に落とし込むことで、課題の早期発見にもつながります。
データ収集には、Web解析ツールやSNS分析ツールが必要です。ツールを通して収集したデータ、たとえばWebサイトのトラフィックやコンバージョン率、SNSへの投稿のエンゲージメント率など、KPIに関連するデータを分析して、現状を把握します。
これらを数値化ができたらKPIの目標と比較して評価をおこないます。コンテンツマーケティングの運用は業務工数も多いため、具体的に「1ヶ月ごと」などとスケジュールを設定して、KPIの数値がどのように推移しているかを確認し、チームで共有するのがおすすめです。この頻度はチーム編成やコンテンツマーケティングの業務量などから、実現可能なタイミングを見つけましょう。
数値の取得や分析は、ツールなどを活用し、なるべく手間をかけず簡単におこなえるようにしましょう。あとの章で、おすすめのツールをご紹介していますのでぜひご覧ください。
コンテンツマーケティングKPI分析が習慣化できてきたら、次のステップを検討しましょう。中間目標であるKPIにいつまでも同じ目標を設定していても、なかなか成果は達成できないため、積極的に次はどのような施策を打つか検討する必要があります。
分析結果にもとづいて、成果が出ている項目はさらに高い目標をかかげたり、改善の余地がある部分は戦略を練り直します。
次の一手を考えるという意味では、KPIの設定だけでなく、コンテンツそのものの改善も必要になってきます。コンテンツの内容や質、提供方法や最適なチャネル、ターゲットを見直して、ターゲットに対して適切なアプローチを検討することも同時進行で進めていきましょう。
KPIを正確に測定・活用し、運用するためには、チーム内でもれなく情報共有できる環境づくりも重要です。複数のチャネルでのデータを一元化し、常にチームで数値を共有しながら総合的なKPIの分析がおこなえる仕組みや環境を、あらかじめ整えておくのが成功の秘訣です。
環境整備には、KPIの分析を簡単にできるツールや、パートナー企業のサポートを活用しましょう。KPIはあくまで最終目標の達成のために運用するものであって、数値の測定や分析に時間や労力をかけすぎてしまい検証ができないようでは本末転倒といえます。集計にかかる手間をなるべく省いて、本来おこなうべき分析や、戦略改善と施策への反映に時間をかけられるようにすることで、設定したKPIをクリアし、チームのモチベーションを向上するのにも役立ちます。
環境が整っていると、KPIに変更が生じたときもチーム内ですぐに数値に対する共通認識をもつことができます。また共有するという意味ではチーム内でKPIについて勉強会をおこない、正しい理解や活用を再確認することでチーム一丸となってゴールを目指せるはずです。
はじめてでも簡単に使える分析ツールについては、のちほどご紹介します。
また社内外のビジネス環境の変化により目標が変わってくる場合や、KPIの達成度が予想外だった場合などに、KPIを変更することは一般的です。KPIを変更するうえでは、普段から定期的にKPIを見直し、大きな目標から逆算して、目指すべき達成率を定めていくことが大切です。
現在のKPIが目標に対して適切でない場合、目標や新たな戦略に合わせてKPIを再評価します。具体的に、新たな製品のローンチ、マーケットの変化などに際してKPIを変更するのはよくあるタイミングです。
ただKPIはむやみに変更すればいいというものではなく、重要なのは、目標を達成するためにその都度最適なKPIが設定されているかどうかです。またKPIを増やす場合は、実現可能な数におさめるようにしましょう。
これはKPI運用全般にいえることですが、こういったKPI設定変更は専門的な知見が必要になるため、マーケティング支援をしてくれるパートナー企業を見つけるのもよい手です。
コンテンツマーケティングにおいて、今回設定したようなKPIを軸にデータの収集・分析をおこなうには、やはりデジタルツールの活用が必要不可欠です。
ツールにもいろいろな種類がありますが、初めての方がまず使うのにおすすめなのが、無料で使える「Google Analytics(グーグル アナリティクス)」です。自社サイトを設定することで、アクセスの状況やユーザーの行動ログを記録し、数値化できます。世界中の個人から企業に利用されているため、ノウハウが多く出回っているのも使いやすいポイントです。
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そのほか、コンテンツマーケティングを進めるうえでとくにおすすめなのが、MA(マーケティング・オートメーション)ツール。前述もしていますが、せっかく自社サイトに設置したフォームからお問い合わせがきても、なんのコンテンツを経由したのか測定できず、本当にコンテンツの力で成果を出せているかわからない…という状態では、今後さらにコンテンツ施策や戦略をブラッシュアップしていくのはむずかしいかもしれません。
MAツールで設置したフォームからのお問い合わせは、流入経路から、その後のユーザー行動ログまで一元管理が可能で、どのコンテンツがどのくらい効果を発揮しているか可視化でき、コンテンツマーケティングにはなくてはならない存在ともいえます。さらにツールによって、安価でスタートできるものや、マーケティング支援を受けられるツールもあるので、コンテンツマーケティングの運用でお悩みの際にはぜひMAツールの導入も検討してみてください。
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【2024年最新】MAツール比較10選|3つのタイプ別徹底解説
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KPIの設定や運用は非常に複雑であり、これを設定すれば成果が出る、といった単純な法則ではありません。しかしだからこそ、中長期的な取り組みでKPI運用の精度をあげていければ、自社の資産として競合他社と差をつけることもでき、狙ったビジネスの成果を最大化できるようになります。
これからコンテンツマーケティングに挑戦する方も、すでにコンテンツマーケティングに取り組んでいるけれどなかなか成果が出ないという方も、KPIを使いこなすことでビジネスを成長させていきましょう。
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クラウドサーカス株式会社 マーケティング課
2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。
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