成功の秘訣は経営の理解!ベルフェイスに聞くカスタマーサクセスの極意

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近年、ますます盛り上がりを見せるカスタマーサクセス。

エムタメ!では、これからCSに注力する企業や、すでに取り組んでいるもののスケールに困っている企業のヒントになるよう、先人の方々にインタビューを行っています。

今回は、CSの領域で早くから活躍し、組織を作り上げてきたベルフェイスの小林様にインタビューを実施いたしました。

組織づくりや指標、成功経験や失敗経験などかなり踏み込んだ内容までお話しいただいております。本インタビューが皆様のCS活動のヒントになれば幸いです。

  • Profile
  • 小林 泰己 さん
  • ベルフェイス株式会社 CS Strategic Division General Maneger(取材当時)

    1984年生まれ、広島県出身。新卒で入社したベンチャー企業では主にWeb関連の事業従事を経て、事業責任者、役員、子会社設立と代表を経験。 2017年7月にベルフェイス株式会社へ入社、カスタマーサクセスとして従事。MA運用やイベントの企画・設計など、主に広域型の顧客支援を行う。カスタマーサクセスの戦略・戦術づくりを担う中、顧客分析やヘルススコア(顧客状況の可視化)設計を経て、カスタマーサクセスの再現性・体系化を高めることを推進。

    Twitter:@TaKo_CS
    企業HP:https://bell-face.com/

CSといえばベルフェイス!ではその組織と役割は?

本日はよろしくお願いします。今日はカスタマーサクセス(以下文脈に応じてCS)といえばベルフェイス、ということで小林さんにお時間を頂きました。まずはじめに、貴社の事業紹介をお願いします!

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

「勘と根性の営業をテクノロジーで解放し企業に新たなビジネス機会をもたらす」というミッションのもと、チームで売上を最大化する国内No.1のオンライン営業システム「bellFace」を提供しています。

他社のWeb会議システムとの違いは大きく2点あって、1つは接続が簡単なこと、もう1つは営業のデータを蓄積・分析できることです。

bellFaceは、アプリインストールやURL発行などの事前準備が不要なので、ネットが苦手なお客様にも快適にご利用いただけます。

また、電話の音声を使っているので、お客様との関係値が低い状態でも使いやすいサービスです。例えばメールアドレスがわからなかったり、連絡が取りにくくZOOMのお打ち合わせが組めない場合でも、電話から入って「今もしよければPCを開いてもらえば打ち合わせができますよ」と気軽に始められる。そんな特徴を持っています。

そして最大の特長は、商談の映像や会話が記録され、それをチームで共有したり、分析ができることで、営業組織のスキルの向上やマネジメントの効率化を図れることです。れまでブラックボックスだった商談のトークの中身やお客さまの反応などをすべてデータ化することができるのです。

ご紹介ありがとうございます!早速質問に入りたいのですが、小林さんは入社された時からCSだったと聞いています。以前からCSの組織自体は存在していたのですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

”カスタマーサクセス”という職種はありましたが、もともとは営業もCSも全てやるような組織で、そこから3年間かけてCSの組織が出来上がって来ました。人数としては、ベルフェイス全体が20名ほどで、CSと呼ばれるのは4名ほどでしたね。
現在のCSの部署はどのくらいの人数の方がいらっしゃるんですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

当社は営業組織としてDivisionが3つに分かれています。各Divisionは異なる特性・規模のお客様を担当させていただいている中、それぞれに1to1の支援を行う、ハイタッチと呼ばれるカスタマーサクセスがいます。

DivisionによってCSハイタッチがセールスも兼ねるアカウントエグゼクティブ(AE)式であったり、セールスとCSが分かれるDivisionもあります。

それらを横断しているのが、私のいるCustomerSuccess Strategic Division(以下、CSS)です。CSの施策やオペレーションを策定し、横串を通すことを担当しています。

AEをどう位置づけするかにもよりますが、ハイタッチ型のカスタマーサクセスとCSS含めて、トータルすると40人ほどになります。
たった3年で10倍以上の組織規模になっていることになりますね…!!
これだけ急激にCSが増えている企業も珍しいですし、シンプルに勢いがあるなと感じました。小林さんのところはハイタッチ以外でCSに関わることを行なっているイメージですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

おっしゃる通りです。
よく言われるラベルでいうと、カスタマーマーケティング、テクニカルサポート、カスタマーオペレーションというものを含んでいて、かつ私やマネージャーがDivision1~3のCSの戦略設計やデータの可視化・紐解きなども担っています。
ありがとうございます。では弊社のメンバーがよく参加させてもらっていたユーザー会も、小林さんのチームのところでやられていたんですね!
ちなみに参考としてお聞きしたいのですが、御社のCSの追っている指標は例えばどういうものがありますか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

MRRの増減です。アップセルとチャーン・ダウンセルを掛け合わせた数字を追っています。

ただ、今期からは”先行指標”も追っています。ご存知の通りMRRの増減は遅行指標というか、今日やった結果が現れるのが来年、みたいな話なので、先行指標として新たにステージ進行というものを設けました。

ステージというのは顧客がベルフェイスを上手く活用できている状態なのかそうではない状態なのかが把握できるもので、これが継続率と相関しています。

5段階のステージがあって、それぞれどれくらいの比率で保っておかないといけないのかというのを先行指標として見ています。これを正常な比率で持っていれば、MRRの目標にヒットする、というような指標ですね。

ベルフェイスがCSに取り組み始めた理由とは?

御社のプロダクトは、使ってもらえばもらうほどバイラルで広がっていく特徴があるため、カスタマーサクセスに力を入れている、という話を以前聞いたことがあります。すごくカスタマーサクセスのし甲斐があるサービスですよね。

そういった点も踏まえて、CSに注力を始めた経緯についても詳しくお聞きしたいです!

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

おっしゃる通りで、私たちのプロダクトはカスタマーサクセスと非常に相性がよく、お客様を通してサービスの利用・体験を広げていけることが、CSに力を入れている大きな理由の1つです。

どなたかに使っていただいたらその先にはベルフェイス を体験してくれる人が1人増えます。現在は1日1万件ほどの商談が行われているのですが、そうなると1万人の方がベルフェイス を体験してくださっていることになりますよね。

その何割かが「このツール良さそう」となり、新規のリード化をしていって、その新規リードが今度は顧客となり、その顧客をサクセスさると1万件に+αされていく。さらにその人から+で…

というように、ぐるぐるとバイラルが回ることをバイラルマーケティングと呼んでいるのですが、カスタマーサクセスをすればするほど、お客様を通してサービスの体験が広がっていく、というのがまず仕組みとしてあります。

で、そもそもなぜCSを始めたのかという話ですよね。実は創業1年目の頃はまだCSを実施していなかったんです。

2015~2016年の話になるのですが、その頃は”良いプロダクトを作ってお客様に提供していけば、売れていく・使われていく”という思想のもと事業を行っていました。ただ、1年やってみて蓋を開けてみると、多くのお客様がやめてしまったんです。

その時に、経営層を含めて全員が痛みを伴った上で事実を把握をしました。「プロダクトが良いだけではなく、ちゃんと支援をしないとダメなんだ」と気づきました。当時はオンラインで営業することも、日本に文化としてあまり無かったこともあったと思います。

それ以降、経営陣もカスタマーサクセスに力を入れろと言い続けてくれています。CSとしては、会社として求められているからにはやらねば、というある意味幸せな状況でお客様と向き合えていますね。
失敗があったからこそ、本気でカスタマーサクセスに向き合うようになったんですね。でもそういった経緯があるからこそ、貴社のCSがこれだけしっかり組まれているのだと納得できました。

エムタメ!
編集部

カスタマーマーケティングが軌道に乗るまで

はじめはハイタッチがCSのメインだったと思うのですが、いつ頃からどういった順序を経てカスタマーマーケティングなどに着手されるようになったんですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

それでいうと、まず私が入社したのが2017年の7月末なのですが、その頃はまだCSと言えば1to1型のハイタッチがメインでした。

理由は2つあって、1つはやっぱりハイタッチをした方がお客様に成功してもらいやすいからです。これは今でもそう思っています。

当時のベルフェイスの顧客数は5〜600社ほどでしたが、それくらいの顧客数であれば当時の人員で十分タッチができたんですよね。かつ、プロダクトも始まったばかりだったので、深く顧客に入り込め、成功しやすいやり方でやろう、ということでハイタッチでのCSを進めて行きました。

もう1つは、ハイタッチ以外の支援がよくわかっていなかったというのもあります。僕はハイタッチのCSとして誘われて入社したのですが、経歴としても今まで様々なことを経験してきたので、「色々やってみてよ」というすごくふわっとした依頼から、1:N型のロータッチ・テックタッチな活動が始まりました。

メルマガやステップメールを送ってみたり、イベントを開催したり、それらをLPで打ち出したりと、最初は本当に簡単なところから始めています。順調に顧客数が伸びた時に、ハイタッチ型で全てのお客様を支援できなくなることを見据えてです。これが今で言う「カスタマーマーケティング」のスタートでした。

ふわっとした依頼からちゃんと形にするのはさすがですね。コロナの前には数百名規模の大規模なユーザー会をオフラインで開催していましたが、ユーザー会自体もその頃からやり始めたんですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

ユーザー会は僕が入る前からやっていたのですが、参加人数は20名程度でした。また、1年弱くらいやめていた時期もあります。
え、どうしてですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

お金も時間もかかるのに、ユーザー会をやってもユーザーさんが成功しているかが明確にわからない、という理由からですね。当時は今よりも予算がかけられない状況下で、ちゃんと会場も借りて20名以上集め、しかもスタッフも全員自前となると人件費もそれなりにかかっていました。また、スケールのさせ方もよくわかっていなかったんです。

ただ、カスタマーサクセスの肌感覚としては、成功しているユーザーの共通項として「ユーザー会に参加してくれている」というものがあったんです。

だからユーザー会をやれば翌月からすぐに参加者の接続(利用)が伸びると思ったんですが、実際に紐解いてみると、数値の伸びはありませんでした。
感覚的にはやった方がいいのに、すぐに数値は変わっていなかったんですね。

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

そうなんです。そこでヘルススコアの各項目を確認したところ、ユーザー会に参加してくれた人たちは、参加だけで接続が伸びるわけではなく、接続の一歩手前の「人のやる気」が上がっている状態になっていたことがわかりました。

ご参加いただいた顧客に連絡したら「この前のユーザー会の話を深く知りたいから教えてよ」「自社でどううまくやればいいかわかんないから教えてよ」という話ができる状態だったんですね。そのステップを飛ばしてしまい、翌月からの接続の伸びだけをウォッチしてしまっていた。実は顧客のやる気が上がっていて、すごく連絡しやすい状態になっていた、ということです。

その事実がわかってからは、ユーザー会は絶対やった方がいいとなって、企画や開催に対してドライブもかかり、参加人数が100名、200名、コロナ前では最大700名の規模になりました。
表面的な数値にとらわれずに、その裏側を紐解いていく大切さが実感できるエピソードですね。ちなみに「連絡しやすい」というのは定性的な話だと思うのですけど、それは各CS担当に聞いてわかったことなんですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

いえ、実は当時は今と違うヘルススコアを使用していて、先方のキーマンと連絡を取れているかをスコア化していたのですが、ユーザー会の参加企業はそのスコアが伸びていたんです。

しっかりとキーマンと連絡が取れている企業は2ヶ月後くらいに接続が伸びている、というデータも別であって、紐解くためにそういった企業へ話を聞きにいくと、ユーザー会での話をもっと詳しく聞きたいって人がやっぱりいたんです。ユーザー会をきっかけにコミュニケーションをとれるようになり、その結果接続数が徐々に増えるという流れがわかりました。
なるほど!そんなからくりがあったんですね。

エムタメ!
編集部

正しさだけでは機能しないヘルススコア

ヘルススコアに関連してお聞きしたいのですが、ヘルススコアは一度作ってから適宜メンテナンスが必要だと考えていて、御社は最初に作られてからこれまで何回メンテナンスをされてきましたか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

大きなメンテナンスは過去に2回ほどあります。あと、実は今もヘルススコアを再構築しているところなんです。

1度目のメンテナンスでは、もともとスプレッドシートで管理していたものをBIで表現し、属人化からの脱却をしました。これ自体は良かったのですが、このヘルススコアだけでは足りないよね、ということで、さらに進化させようとしたんです。

僕らが作りたかったのは、お客様の状況が悪くなったら自動でアラートが鳴って、CSが動くという構想でした。しっかりアラートが上がってくるような仕組みは作れたんですけど、逆にアラートが鳴りすぎてしまって…かつ、そのアラートは全部間違ってはなかったですよ。

ただ、正しさだけでCSが動けるかというとそんなことはなく、アラートが鳴りすぎても優先度つけられない、結果として見るの諦めちゃう、ワークしない…という状態に陥りました。シンプルさが失われた結果動かなくなってしまったんですね。その反省を活かして、現場がしっかり信じられて、使いやすく見やすいヘルススコアを再開発しているのが今です
正しいのに動けないのはもどかしいですね。。

ちなみに弊社もヘルススコアをつけているのですが、スコアが高い人が解約になったりもしています。そういった意味で、ヘルススコアを運用する難しさを感じているのですが、今回ヘルススコアを再構築したら、それでずっとやっていけると思っていますか。それともやはり、定期的にメンテナンスは必要だと考えていますか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

定期的に必要だと思います。なぜならプロダクトやCSの活動も、市場も変わり続けていくので。データとしてPDCA回しながら、検証した結果不要なものを削除したり、必要な項目を入れていくっていう意味でも、変えていく必要はありますね。

ヘルススコアはいつ誰が設計すべきなのか?

ヘルススコアの設計やメンテナンスって、メインの担当がいなくてCSMが片手間でやっている会社もまだまだ多いと思うのですが、小林さんとしてはしっかり専任の人が必要だと考えていますか?

また必要であれば何人くらい必要だと考えられていますか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

まず、業務の重さや重要性は高いので、専任は必要だと思いますね。ハイタッチCSが顧客の支援をしながら片手間にやっていく…は難しいと感じます。何名なのかは組織の業務にもよると思いますけど、ハイタッチほどは人数はいらないんじゃないでしょうか。大体20~30人のハイタッチ組織に対して2人くらいいればよいのではないですかね。あくまで感覚値ですが。

もう1つ専属にした方がいい理由は、いわゆるCSハイタッチに求められるケイパビリティと、分析から仕組みを作って実行させるためのケイパビリティが多少違うからです。CSSは、データ分析やマーケティングなど、ツールや数値に強いなどの資質が求められやすいです。CSハイタッチはお客様の理解や顧客渉外能力が強いとかになると思うので。

これらを全部できたら最高ですが、やっぱりどこかできついはずなので、専属にした方がいいと思いますね。
確かに、役割によって資質は異なりますね。ちなみに弊社もよく相談を受けるのですが、ヘルススコアや施策設計の専属を設けられた時期っていつころですか?正解はないにしても、タイミングとしてある程度答えは出ているのかと思いまして!

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

まず教科書的に言うと、CSが5人いたらオペレーションも1人いた方がよくて、感覚的にもそうかなって思います。ある程度CSの組織が大きくなってくると、ヘルススコアなどの仕組み作りが必要になってくるため、専属がいたほうが良いと思っています。

では、ベルフェイスはいつからかというと、僕が入社したタイミングからでした。ちょうどハイタッチCSが5人くらいの頃に僕が入社して、CSオペレーションの構築をはじめました。

じゃあ30人規模とかになってきても2~3人で良いのはなぜか?というと、業務の特性上、マーケティング的な役割や仕組みづくりを担っており、それらはレバレッジが効きやすいためです。

ありがとうございます。
今のお話を聞いていると、割と組織の人数規模によって作るべきという感じになると思うのですが、別の切り口として「こういう課題感があったら組んでいった方がいい」みたいなシグナルってありますか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

顧客が見えなくなってきている、と感じた時ですかね。 順調に成長し、顧客もCSも増えてきている組織がぶつかる課題ではないでしょうか。

顧客数とCSが増えていけばいくほど、MRRや契約年月といった表面上の情報しか見えなくなってきて、どのお客さんが危険信号が出ていて、どのお客さんが大丈夫なのか、それぞれの関係値はどうなのかっていうのがわからなくなります。

仮に1人で(少数の)全顧客を担当していればだいたいわかりますし、CSが3名くらい&それで十分カバーできる顧客数のタイミングだったら、密にCS同士でMTGをしていけば他のメンバーが担当しているお客様のことでもわかるんですけど、「そうじゃなくなっているタイミング」を感じ始めたら、もう活動の仕組みやオペレーションづくりなどを行う専属を作った方がいいと思います。

オンボーディングの重要性について

今回小林さんにインタビューさせて頂いたのは、日本のCSで一番コミットしてくれているといっても過言ではないと思っているからです。とはいえ、だからこそ大切に思っていることや成功要因をお伺いしたいと思っています。

そこで、この記事を読んでくれた人が自分たちがCSに力を入れていきたいってなった時に、ベルフェイス が歩んできたこと学べるよう、「CSで重要だと思うこと」や「うまくいった要因」をそれぞれ伺いたいです!

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

ありがとうございます。
それでいうと、”オンボーディング”はやっぱりCSにおいて重要だと思っています。今まで支援してきたお客さんの中で、オンボーディングに失敗したお客様で、そのあとにステージが上がるお客様は稀です。

もちろんオンボーディングに成功してもその後活用が落ちていくお客様もいらっしゃるんですけど、「オンボーディングで失敗したらたら進まない」というのは明確に出ている事実です。オンボーディング期間が相対的に見ても支援の量や幅も広いです。それだけオンボーディングは失敗できません。

そのために直近の改善施策としてより力を入れているのが、セールスからCSへの引き継ぎの情報をもっと適切に行なっていく、というものです。

”セールスが受注時に顧客のことを把握するのは限界がある”とか、”CSが初期段階で求める情報が重すぎる”みたいな声も含めてきちんと出しながら、ちゃんとセールスとCSで議論・合意連携を取っていくことに力を入れています。なぜなら、オンボーディングがこけたら、顧客の成功は難しいことは社内で共通認識だからです。

もう1つ大事だと思っているのが、セールスとCSで成功しやすいお客様が誰かという共有言語を作ることです。

共通言語があることで、フォーカスして「この情報だけでもいいから絶対渡して」という話ができます。当社では今、独自の調査から3つのターゲット要素、という定義をつくっており、その3つがすべてあれば成功まで導きやすい顧客だとわかりますし、それがなければ少し成功に導くのに難易度が高い、ということが事前にわかります。

ありがとうございます。弊社もオンボーディングの重要性はひしひしと感じているのでとても共感できました!

エムタメ!
編集部

CSの成功要因は経営の理解から

続いて「うまくいった要因」についても伺いたいです!

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

1つ明確にあるのは、カスタマーサクセスの重要さを経営が信じていることは、とても大きいと思っています。先ほども申し上げた通り、創業1年目に痛みを伴ったことで、経営がカスタマーサクセスが何より大事である、ということを繰り返し伝えることで、そういった社内文化が生まれます。その後押しもあって、CSがそこにコミットできるんですよね。

周りの方々を見ると、現場の人たちはCSをやらないとってなってるけど、経営がそれを旗振ってくれないからうまくいかないという状況が結構あったんです。自分が幸せだったことがよくわかりました。

経営が理解していなかったら、難しくてもどうにかカスタマーサクセスについて理解してもらうことに注力するのが大事だと思います。そこの理解が得られていれば、CSにコミットすることや、必要に応じてCS組織を拡大することもできます。

ただ、CSの頭数を増やすだけになってもスケーラビリティがありませんよね。これは2つ目のうまくいったことにもつながるのですが、オペレーション設計やヘルススコアなどに取り組む体制が早々につくられていた結果、そこに関する知見が貯まっていったことです。

例えばヘルススコアなどは、成功も失敗も味わっていますが、早期から取り組めていることや、取り組めているからこそわかってくることもあり、その経験は大きいですね。
経営の理解と、早期からオペレーションやヘルススコアに取組まれていた点ですね。

あと、御社のCSの特徴に先ほどのユーザー会があると思っていて、あれだけの人数が集まるのってシンプルに凄いと思っています。あれだけの集客ができるようになった理由ってあったりするんですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

ユーザー会も積み重ねですね。一言でまとめると、顧客のことを理解したマーケティングをしたからだと思います。

ユーザー会は自社のお客様をよくわかってるマーケターが取り組むのが大事だと感じます。どんなテーマにするのかとか、どういう人に何を喋ってもらうのかって、市場のことや顧客のことをわかっていないと謳えなくて。

あれをいわゆる”マーケター”じゃなくて、”カスタマーマーケ”といわれる顧客のことをよくわかっている人が組んだのは良かったと思います。

最初は参加20人だったものを、企画を練れば今度は50人集まるようになって、50人集まった内容や状況をきちんとユーザーに届けていく。

きちんと企画が組めていれば「ベルフェイス のユーザー会めっちゃ良さそう!」と思ってくださる顧客は増えていきます。今度は参加者が100人になって、100人の様子をまた見せたら前回の2倍の人数がきて。参加してくださった方から、次回のテーマに関するヒントをもらえることも多く、実際にそれを次の企画にしてみて…みたいなサイクルが広がっていきます。そうすると、100が200に、200が400にって感じで進めることができました。
ありがとうございます。実は弊社の新人にもベルフェイスのユーザー会には参加させるよう促しているのですが、何が一番価値なのかというと、社長の話が本当に良いんです。

入社するまでインサイドセールスっていう職種を知らないメンバーが入ってきた時に、いきなりこの職種に配属されてよくわからないですって時に、私たちよりもすごい魅力的に語ってくれるんですよ。ユーザー会では最初の頃から社長が登壇されていたんですか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

基本的には登壇してもらうようにしていました。

ユーザー会には3つ価値があって、1つ目はユーザーさんからユーザーさんへのノウハウの伝承、2つ目はユーザーさん同士の繋がりの構築、3つ目が当社代表からベルフェイスが顧客と一緒に描く世界・未来の話、なんですよね。

3~4時間くらいあるユーザー会のプログラムの中で、bellFaceのことを話す時間は大体20分くらいしかないんですけど、これはほとんど代表の中島に話をさせています。例えばまだインサイドセールス・オンライン営業が黎明期の頃、市場が伸びてきている様子をデータでもご紹介しながら、あなたたちの選択は間違ってなかったですよ!一緒にやっていきましょう!っていうのをメッセージングしていました。その価値を御社は感じてくださっていたってことですね!

一方、大きな失敗としてCSのエデュケーション(教育)体制がうまく作れなかったってのはありますね。「カスタマーサクセスを伸ばすぞ」っていう意思決定をしているがゆえに、CSに人を割いたり力を入れるっていうのは問題なかったんですが、カスタマーサクセスを体系だって教育する仕組みを準備しきれないままここまで成長してきてしまい、新しく入った人のキャッチが遅くなってしまいました。

今でこそCSという職種の理解も深まってますけど、それでもまだ「カスタマーサクセスって具体的に何をやるの?」とか、「どうやったら顧客は成功といえるのですか?」といった疑問が湧きやすいです。

しかもカスタマーサクセスの経験値を多く持っている方が、市場にはまだ少なくて、採用する際には元セールスの人をCSに転換するとか、元マーケの人をカスタマーマーケに転換することの方が多いです。キャッチアップがしづらい職種に対して、教育の仕組みが作れていなかったってことで、入社した人が迷いやすい状況だったと思います。そこはうまくできなかった失敗の1つですね。

実際に開催されたユーザー会の様子

リニューアル施策としてのCS間の連携

次の質問になるのですが、これだけ色々な施策をされている御社に、ぜひリニューアル(契約更新)についての施策も詳しくお聞きしたいです!多くのCSが気になるところかと思うので!

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

それでいうと、ここでも失敗点はありました。これまでリニューアルの2ヶ月前くらいにはタッチしにいくっていうルールにしていたんですけど、それでは全く間に合わなかったんです。これも失敗の1つですね。

今期はリニューアルチームとサクセスチームという2つのチームを設けているDivisionも存在します。リニューアルチームが契約更新をかけにいく部隊で、サクセスチームが日々の支援を行うんですけど、新規契約日から6ヶ月目まではサクセスチームがしっかりと支援するんですね。それこそオンボーディングから始まり、活用支援を実施します。

その後、6ヶ月頃のタイミングでリニューアルチームにも情報を共有します。そこで受け取った情報をもとに準備をはじめ、最低3ヶ月前からリニューアル支援を始めるようにしています。
となると、一人のお客様に対してCSが入れ変わる形になりますか?

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

厳密にいうと並行しています。リニューアルは決裁者に対して契約更新のお話をしに行くんですけど、その傍ら、現場の支援は引き続きサクセスが担当し、協力しながら顧客の支援を行っているイメージです。
CS内でも連携が取れていて素晴らしいですね!

エムタメ!
編集部

ベルフェイスのこれから

たくさんお話し頂きありがとうございます!
最後に、これからCSSで取り組んでいきたいことがあればお伺いしたいです。

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

いくつもあるんですけど、先ほども触れたヘルススコアの再定義が1つ、もう1つが、ジャーニーをもう一度作り直しているんですよ。
  
 
それ、めちゃくちゃ聞きたいです。

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

まず「オブジェクティブレベル」と「アチーブメントレベル」というのを取ろうとしていて、これがジャーニーと相関しています。

「オブジェクティブレベル」が顧客の目標の高さ・なりたい姿だとすると、「アチーブメントレベル」はその実現や達成度をはかるものです。これらのレベルを4段階で設計しています。例えばオブジェクティブレベルが2で、アチーブメントレベルも2だとすると、目標に対して達成しているので、一種のサクセスしている状態と言えます

一方で、仮にオブジェクティブレベルが4でアチーブメントレベルが3だとすると、顧客は目標やなりたい姿に到達できていない。先程の例よりも達成しているレベル自体は高いのですが、サクセスはしていない状態と定義しています。だから、お客様の求めているレベルと、実現しているレベルの差分を埋めることが大事です。もしくは、目標に対して達成をしていれば、目標を引き上げていくのがCSの役割と言えます。

これらのレベルを表現するとともに、顧客主語でのカスタマージャーニーをもう一度作り直しています。レベル推移の定義を決めたり、レベルを上げるために、CSとして何の支援をするか、というプレイブックを作っていたり。

作りなおすことになったきっかけの1つとして、もともと社内からはどうなったらお客様は成功しているのか?を定義してほしい、という声が多くあがっていたんです。

少ない活用でもその時点で非常に満足いただいているお客様もいらっしゃれば、かなりご活用いただいているのにまだまだ高みを目指したいお客様もいらっしゃいます。顧客の成功は段階的に変動していくものなので、そういった変動を「オブジェクティブレベル」と「アチーブメントレベル」で表現し、把握していこうとしています。


なるほど。ちなみにこれは今期からの施策なので、例えば2-2で達成しているはずなのに解約になる、みたいなケースも出てくる可能性があるってことですかね。そういった検証が今期は入ると。

エムタメ!
編集部

ベルフェイス
小林さん

そうですね。半年から1年試してみたら、オブジェクティブレベルとアチーブメントレベルの継続相関が出てくるんじゃないか、と期待しています。オブジェクティブとアチーブメントがイコールのお客様の方が、満足度も高くなり、結果として継続してご利用いただきやすそうですよね。また、オブジェクティブもアチーブメントも高い顧客の方が一層その傾向はありそうだと考えています。そういうのをちゃんと見ていきたいと思います。
結果が楽しみですね!またお話しを聞かせてください。

本日はお忙しい中ありがとうございました!

エムタメ!
編集部



 

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インタビュアー:橋口浩暉
文・編集・写真:小木曽一馬

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