情報化社会が加速度的に進み、あらゆるサービスや商品が溢れる中、顧客は自分のニーズに最もマッチする1つを探し出さなければなりません。逆に企業は、自社ならではの強みや他社との違いを顧客にアピールして、競合他社の製品の中から自社製品を選んでもらうことが重要になってきます。
 
そこで注目したいのが「USP」という考え方です。
 
「USP」は1960年代にアメリカのコピーライターであるロッサー・リーブ氏に提唱された概念で、半世紀以上経った今でも、マーケティング活動において重要な考え方として活用されています。インターネットの普及で情報が溢れる現在では、より重要度が高まっている概念ともいえるでしょう。
 
本記事では「USP」のマーケティングにおける重要性や、USPを整理するポイントなどをご紹介します。
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USP(Unique Selling Proposition)とは、自社の商品やサービスの「特徴」「強み」「独自性」などを表したマーケティング用語です。顧客に対する「自社だけが提供できるメリット」を指し、「市場において自社のビジネスの魅力をアピールするためのコンセプトメッセージ」とも捉えられます。
 
USPは機能/サービス内容/価格/顧客層など、どんな分野にも及びます。品質やメリット、価格やサービスなど、他社にはない自社独自の魅力をアピールして価値を示すことで、効果的な広告を打つことが可能です。USPが明確であれば顧客も自分にとっての利益を理解しやすくなり、迷うことなくサービスを選ぶことができます。
 
半世紀以上前に登場したUSPが、なぜ現在も変わらず重要な概念として多くのマーケティング活動に取り入れられているのでしょうか?次章ではUSPのマーケティングにおける重要性についてご説明します。
USPの打ち出しに成功すれば、市場や顧客に対してオンリーワンの立ち位置を獲得することができ、大企業や競合他社と勝負することが可能になります。
 
しかし、単なる競合優位だけを築くのではなく、マーケティングの基本フレームである「自社・顧客・競合」の3つの視点から戦略を立てることが重要になります。その中で最も重要なのが「顧客」の絞り込みです。
 
効果的なUSPを作成するには、市場における「自社」と「競合」の状況を見ながら、「顧客の絞り込み」を行う必要があります。「自社サービス・商品を必要とする顧客/重視する顧客」に対象を絞ることで、より一層価値のある商品・サービスの提供が可能になるのです。
 
また、マーケティングには4P(製品:Product/価格:Price/流通:Place/販促:Promotion)という基本フレームがありますが、この中でUSPを最も活かせるのが「販促」活動です。
 
こちらも他の視点(製品・価格・流通)に配慮する必要があることは言うまでもありませんが、「販促」においてはUSPを中心として全てを構築します。Webサイト・PR動画、告知活動、チラシ、名刺などのプロモーションにおいて、あらかじめ作成したUSPを元に進めることで、有効なマーケティング活動を行うことが可能です。
 
では実際、どのような観点からUSPを作成すればいいでしょうか?USPを考える際のコツについてみていきましょう。
マーケティングにおいてUSPが重要なことが分かりましたが、いざとなると自社のビジネスにおいてUSPをどのように見つけるのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。そこで、以下ではUSPを整理するポイントを7つご紹介します。
USPで最も重要なのは「ユニーク=個性的」であることです。他社が決して真似できないような自社の独自性を打ち出す必要があります。
 
吸引力に特化した製品を開発したダイソン、既存の美容院・理髪店にあるサービスを取り除いたQBハウスなどが例に挙げられますが、個性的であるためには、自社の強みや常に変動する市場を見極め、自社のメリット・特性を突き詰めていくことが重要になります。
 
自社商品・サービスの特徴を洗い出し、競合他社との差別化ポイントを言語化しながら、「自社の個性」を整理してみましょう。
個性的であることにもつながりますが、専門性を高めることもUSPのポイントの一つです。絶えず変換する市場、多様化するニーズ、またそれに伴って変化する競合他社を分析しながら、自社が何に特化しているのか、あるいは何に特化したものを提供するのかを検討することが、そのまま自社の強み=個性となります。
 
専門性を高め、ニッチな市場をターゲットとすることで、自身の解決したい問題や欲しいものに特化した商品・サービスを選びたいという消費者心理も刺激することができます。
1つのアイデアだけに拘らず、新しい発想や他のサービスなどの複数のアイデアを組み合わせることで、従来なかった価値や独自性を生み出すことが可能になります。
 
スピード・利便性・ラインナップを組み合わせたASKUL、品質と価格を掛け合わせたニトリ、本屋とカフェ空間を組み合わせた蔦屋書店などが例に挙げられます。
 
自社の商品・サービスのみに目を向けるのではなく、他分野のサービスや品質、価格などを分析し、取り入れることが重要です。
同じビジネスを他社が打ち出すよりも先に、自社のUSPを広める必要があります。他社が自社と似通ったUSPを打ち出してしまったら、同商品・サービスの「2番目」となってしまい、独自性が失われてしまいます。
 
また、後から同じビジネスを始めた企業であっても、自社より先にインパクトのあるUSPを打ち出してしまったら、その企業が消費者のイメージに強く焼き付いてしまい、その後覆すことは非常に難しくなってしまいます。USPを打ち出すタイミングはとても重要です。
全ての消費者のニーズを満たし、喜んでもらうような商品・サービスを作り上げようとすると、標準的でつまらないものになる可能性が高く、「独自性」を失って商品・サービスの購入へと導くのが難しくなります。
 
「専門的であること」にもつながりますが、自社が提供する個性的な商品・サービスを必要とする一部の顧客に喜んでもらうことを目標に掲げ、そこで強い結びつきや高いロイヤリティを構築することが重要です。「マーケティングにおける重要性」でご紹介した、「顧客の絞り込み」とも共通するポイントです。
市場やニーズは絶えず変化するため、一度USPを作成した後でも、常に分析を続け見直す必要があります。
 
自社がUSPだと思っている提案も、問題解決のためにはかえって邪魔になってしまったり、消費者のニーズとズレてしまったりしている場合があります。マーケティングの基本となる「顧客のニーズを的確に把握」して、顧客にとっての価値と「独自性」を両立させて初めて、USPを打ち出すことが可能になります。
「USP」のマーケティングにおける重要性や、USPを整理するポイントなどを詳しくご紹介しました。
 
USPを打ち出すことで自社のビジネスアイデンティティーを確立し、市場や顧客に対してオンリーワンの立ち位置を獲得することができます。しかし「独自性」や「専門性」に偏りすぎて、顧客のニーズを蔑ろにしてしまっては意味がありません。バランスの取れたUSPを打ち出すには、4Pなどの基本的なフレームを活用しながら、緻密なマーケティング戦略を行うことが重要です。
 
本記事が、USPを打ち出す、または再検討する際にお役に立てれば幸いです。