【社長対談】マーケロボ代表 田中氏に聞く、MA導入がうまくいく企業とそうでない企業の差とは?
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企業にSaaS型ツールの普及が進み、サブスクリプションモデルで提供されるビジネスモデルが定着してきました。初期費用が設定されていないことが多く、月額料金で収益を得ることになるため、ユーザー満足度を上げて解約されないことがサブスクリプションモデルの要ともいえます。これが発展した「カスタマーサクセス」の概念も米国から日本へ入ってきました。
今回は、クラウド営業ロボット「マーケロボ」とクラウド採用ロボット「リクロボ」を提供するMarketing-Robotics株式会社の代表取締役である田中 亮大氏に、MAとインサイドセールスの関係、インサイドセールスを立ち上げる際のポイント、採用でのMA活用などについて伺いました。
1.「インサイドセールスにMAは必須のツール」(田中)
マーケロボは、当社のBowNowとコンセプトが近しいと感じます。高価で設定が複雑でなかなか使いこなせないという一般的なMAとは立ち位置変えて提供している点に共感しています。
そもそも、マーケロボのサービスを始めようと考えた背景は何ですか?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
前職で、Web会議システム「bellFace」を提供するベルフェイス株式会社の共同創業者として販売会社の代表を務めており、インサイドセールスをはじめとする「デジタルを活用した営業活動」の普及に一定の貢献をしたという自負があります。
bellFaceはすばらしいプロダクトだと今でも思っていますが、商談をつくるフェーズのみを担うツールであるため、リードジェネレーションや、リードナーチャリングはカバーできません。
そこで、ベルフェイス株式会社を退社して起業した際には、商談前のフェーズを担おうと考えました。
当社の前身であるタクセル株式会社の社名は「託せる」という意味を込めてつけました。インサイドセールスのBPO(業務委託)を請け負う業務からスタートしたのですが、クライアントの声に「リードがない」「MAを導入してはいるが、使いこなせていない」というものが多くあり、そこを代行しようということになりました。
また、MAなしでのインサイドセールスは、単なるテレアポになってしまうんです。オペレーターにとっても心理的にキツイ仕事になってしまい、パフォーマンスが上がりません。「インサイドセールスをするならMAは必須」であることを痛感したため、以降、MAを導入していないクライアントには「なんでも良いからMAを導入してください」と頼むようになりました。
そのうち、「他社MAのあっせんばかりをしているけれど、自社開発して提供した方が早いのではないか」と気がつきました。また、さまざまなMAツールあるなかで、企業の規模や成長フェーズによってはtoo muchになってしまうケースや、運用担当者がいなくて活用できていないケースが多々ありました。自分たちで開発したMAを使って、クライアントが求める「成果」を提供できるように運用を代行する、ここに価値を置いた事業を展開しようと考えたのです。
too muchで活用できていない例としては、どんなものがありましたか?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
高価で多機能なMAを導入しているのに、登録するリード数が少なすぎたり、サービスの設計や商品の特性によっては、そもそもナーチャリングの必要がなかったり、ナーチャリングを行うにしても、シナリオをここまで複雑にする必要があるのか?と思えるケースがありました。
また、カスタマイズ機能が多機能すぎて「カスタマイズをしないと使い始められない」タイプのMAを導入している企業では、導入から使用開始までに何ヵ月もかかってしまっているケースもありました。
そこで、導入後すぐに誰でも使えるようなMAを提供したいと考えたのです。
自由度を持たせているがゆえに設計段階で困惑させてしまうMAは多いと思います。先ほど、田中さんからもお話が出たように、案件の確度の定義をどうするかというときに、部署ごとに使っている定義が異なり、これを揃えるのに時間がかかってしまう。結局、MAはメール配信にしか使っていないというケースがあります。せっかく導入したのにもったいないと思いますね。
Marketing-Robotics(株)
田中氏
社内に運用担当者がいれば、うまくいくと思います。ただ、担当者であるマーケターが、営業部の出身なのか、広告やデータを専門にしていたりSEOやコンテンツに詳しいマーケターなのかによって差が出てくると思います。往々にして後者がMAを運用しているケースが多いのですが、営業経験のないマーケターが組んだシナリオやカスタマージャーニーは、リード獲得まではできますが、その後の営業部門との連携がスムーズにいかないケースが多く、あまりうまくいっていないという印象があります。
逆に、営業経験を持つマーケターが運用を担当している企業ではうまくいっています。実作業の担当者という意味では誰でも良いのですが、全体の企画を考える人には営業経験があった方が良いです。
弊社のMAツールはその企画部分で運用が始められないという課題をなくすために、設定部分をテンプレート化しました。メール配信をして、クリックされたリストにコールするだけでもかなり成果は出るので、多くのお客様がすぐに使い始められることに注力しています。
2.MAで自動化した分、営業マンは人にしかできない超アナログで重要な活動を
御社では、コンサルティングサービスも提供されていますが、よくある課題というとどんなものがありますか?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
先ほども出ましたが、「社内にMAの運用担当者がいない」というものですね。社内にマーケティング部門がないのです。
そういった企業様の場合、営業部門がテレアポを行っているのでしょうか?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
そうです。そもそも、マーケティングの施策が何も行われてないこともあります。
そういった企業様では、Web集客も行われていない?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
ええ。
ということは、企業にマーケティングの概念を持ち込む段階からのコンサルティングになるのでしょうか?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
社長はマーケティングに取り組みたいと考えているものの、担当させる人材がいないというケースが多いです。
ベテランの営業マンほど現在の営業方法がベストだと信じているので、そこへ商談を供給しても突っぱねられる可能性が高そうですね。どのようにして、新しい営業フローを根付かせていますか?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
ツールはMAですが、提供しているサービスはデジタルトランスフォーメーション(DX)という位置づけなので、その辺りを伝えています。営業方法を変えるという各論ではなく、会社の経営戦略としてDXをしなくてはならないという大きな視点を持ち込むことで、社員全員が個々の小さなこだわりにしがみつくことなく変革を受け入れてくれます。
もう一つは、アナログな業務をデジタル化したらそこで終わりという企業が多いので、「デジタル化したら自分たちの仕事がなくなるんじゃないか?」という不安が生まれてしまうんです。だから、私たちはその先の「人にしかできない業務に取り組める環境を作ります」とコミットしています。
たとえば、営業マンの場合、「デジタル化することによって、これまでは嗅覚に頼っていた営業活動から、データに基づいて行動しなくてはならなくなるのではないか?」と勘違いしてしまうから不安になるのです。そうではなくて、デジタルでできる部分は自動化するので、その分、営業マンは嗅覚を研ぎ澄ませて契約が取れそうな見込客を接待したり、追加契約してくれそうな既存顧客を訪問して手厚いフォローを行ったりという、必ず残るであろう極めてアナログな業務に集中してくださいという話をしています。
なるほど。クライアント企業内の組織を変革したり人事評価を変えたりという部分にまで踏み込んでコンサルティングされていますか?
Marketing-Robotics(株)
田中氏
そこまではしていません。「売れる営業マンの報酬が高い」というシンプルな人事評価が脈々と根付いている世界で、「私は、今は売れていませんが、3年先の見込客を作っています」といったところで、評価されにくいですよね。そういう意味でも、商談創出はアウトソーシングした方が良いと思っています。
あと、どの業界も市場が飽和状態で、営業マンも昔ほどはインセンティブで稼げなくなってきているので、働くモチベーションとして「お金」よりも「やりがい」や「お客様に喜ばれる」「プライベートとのバランス」といったことが重視されてきています。その結果、評価制度がそれほど変わらなくても、大きな議論にはなりにくいようですね。
3.今後の展望
MAはシンプルにすべきだという当社の考え方とマーケロボは近い考え方でできていると感じています。もっと日本のマーケティングレベルを上げていくためには、同志であり、ともにその流れを加速させていきたいなと思います。
シェアでいえば、まだMAを導入していない企業の方が多いですからね。
最後に、マーケロボの今後の展望について教えてください。
Marketing-Robotics(株)
田中氏
ツール(MA)自体をどんどん高機能にしていくという方針ではありません。 サービス面では、当社の位置づけとして、よりDX企業というカラーを打ち出していきたいと考えています。国内のマーケティングツールだけで約900種類、海外も含めると7,000種類にも及びます。Saasまで枠を広げると、自社に最適なツールを選ぶのは至難の技ともいえるでしょう。
だから、当社で提供しているMAは、利用料が0円です。DXのサポート、コンサルティングや、カスタマーサクセスで利益を出すというビジネスモデルなので、何か一つのツールで勝負するのではなく、企業のDXを支援するサービスを提供しつづけていきたいと考えています。
Marketing-Robotics株式会社
2016年9月に前身となるタクセル株式会社設立。インサイドセールスBPO事業(在宅コールセンター)を経て、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業として、クラウド営業ロボット「マーケロボ」およびクラウド採用ロボット「リクロボ」の開発・コンサルティングを手がける。2018年11月に社名をタクセル株式会社からMarketing-Robotics株式会社(マーケティング-ロボティクス)に変更。
【企業サイト】https://marketing-robotics.com/