HTMLやCSSなどの知識がなくても、Webサイトを簡単に更新できるCMS(Contents Management System/コンテンツ・マネジメント・システム)。
無料で使えるオープンソースツールの登場により、すでに多くの会社で導入されています。
今回の記事では、ホームページのリニューアルや新規制作のタイミングでCMSの導入を検討する際に、確認が必要な項目をまとめてご紹介します。
 
 
 
 
 
CMSは、HTMLやCSSなどのWeb制作の専門知識がなくても、Webサイトの文章や写真を簡単に更新できるツールです。
使いなれたオフィス系ソフトのような操作でコンテンツの更新が誰でもできるため、Webサイトの更新性を高めたり、最新の情報を発信したりするのに効果的です。
近年では、無料で使えるオープンソースのCMS「WordPress」の普及により、多くのサイトにCMSが取り入れられています。
では、そもそもなぜ最近のWebサイトにはCMSが導入されているのでしょうか?
CMSを使わない場合、Webサイトの更新・運用を行う方法は、2つあります。
ひとつは「Web制作会社などに外注する」方法、もうひとつは「社内にWeb制作知識をもつ人材を配置する」方法です。
 
 
社外のWeb制作会社に外注する場合、月額などの定額制でWebサイトのメンテナンスを委託する場合と、更新が発生するたびに費用を支払い、作業を依頼する場合があります。
定額制の場合、規定の作業範囲を超えると追加費用が発生することがあります。
更新つどに費用がかかる料金体系の場合も、簡単な文字修正でも一定の作業費用が発生し、割高になってしまうことがあります。
また、どちらのケースも外部の会社との更新内容のやりとりや確認、見積もり・請求・検収などの事務作業で多くの工数を割くことになり、すばやく、高頻度に更新することは難しくなります。
 
 
一方、社内にWeb制作の担当者を置く場合、外注コストはかかりませんが、特定の人のスキルに依存した体制になってしまうため、担当者の休暇や繁忙期などは、更新が滞ってしまう場合があります。
また、社内のWeb関連の情報を把握した担当者が退職した場合、情報の引き継ぎが難しく、運用が継続できなくなってしまうリスクもあります。
 
このように、どちらの方法も更新コストやスピードの面でデメリットがあります。
CMSは、Webサイトの更新を誰でも簡単にできるようにすることで、サイト更新の課題を解決できるため、Web制作の世界で一般化してきているのです。
 
 
 
次に、CMSのメリット・デメリットを整理しておきましょう。
基本的にCMSは、各階層で整理されたコンテンツやページの「更新・追加」が必要なタイプのWebサイトを得意としており、そもそも頻繁な更新を求めていない場合や、各ページで大きく異なるデザインなど、特殊な構成やレイアウトを求めるサイトには向きません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
CMSを活用してWebサイトを作る場合、簡単なブログサイトや個人サイトであれば、Web制作の知識がない人でもマニュアル等を参考に自分で構築することは可能です。
しかし、企業のコーポレートサイトやサービスサイトなどの場合は、デザイン性や情報・導線の整理、セキュリティ対策など、プロの視点が求められるため、Web制作会社にCMSを使ったサイト構築を依頼するのが賢明です。
ただし、CMS・Web制作会社とも非常にたくさんの選択肢があり、いざ選ばなければならないときには迷ってしまうことも多いでしょう。
ここでは、CMSツールや制作会社の選定時に役立つポイントを整理してご紹介します。
 
 
 
CMSの種類は、大きく分けて「オープンソース系」「独自開発系」の2つの大カテゴリに分けられます。
また「独自開発系」のツールは、さらに「クラウド型」「オンプレミス型」の2つの小カテゴリに分かれます。
 
 
オープンソース系のツールの最大の特徴は、ソースコードが一般に公開されており、誰でも無料で使えることにあります。
インターネット上で導入ノウハウやテンプレート、プラグインなどのさまざまな周辺情報を得られるため、Web制作の知識が少しある人であれば、自由度が高く活用することができます。
しかし、オープンソースツールの利用はあくまで自己責任であり、その脆弱性をつかれ、不正アクセスやサイバー攻撃の対象になりやすくなるのも事実です。
そのため、企業によってはWordPress等のオープンソースツールの利用を禁止している場合もあります。
一方、「独自開発系」は、企業が開発したCMSツールで、有料で提供されているものがほとんどです。
月額利用費などのランニングコストはかかりますが、開発会社がセキュリティ対策やサポートを保証しているため、法人でも安心して使うことができます。
独自開発系のCMSをシステムの特徴で分類すると「クラウド型」「オンプレミス型」に分けられます。
クラウド型は、ツールの運営事業者がCMSサーバーを管理し、導入会社はインターネットを介してコンテンツにアクセスするのに対し、オンプレミス型は、導入会社の社内にCMSサーバーを用意し、自社内でサーバーを管理する仕組みです。
必要なコンテンツ量や機能、自社にサーバー管理のノウハウがあるかなどによって選択します。
 
各カテゴリの代表的なCMSツールは、下記の記事でまとめています。自社にあったCMSはどのタイプなのか、確認してみてください。
 
専門知識がなくても簡単に更新ができる国産CMS、BlueMonkeyの概要資料を見てみる
CMS BlueMonkey概要資料のダウンロードはこちらから
 
また選定時には、「他社はどんなCMSを使っているのか?」も気になると思います。
ここでは株式会社DataSignが発表した「DataSign Report 上場企業 CMS調査 2019年6月版」より、上場企業のCMS導入数最新ランキングをご紹介します。
※上場企業3,664社(2019年1月末時点)が保有しているWebサイト16,596URLを調査対象に、クローリングによる各種CMSの検出結果がまとめられています。
 
 
国産CMSでは1位:Movable Type、2位:ShareWith、3位:NOREN、そして当メディアの運営会社であるMtame株式会社が提供するBlue Monkeyも同率3位にランクインしています。
各ツールの特徴やサービスサイトへのリンクは下の記事で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
 
今、一番使われているCMSトップ20位を発表。国産CMSでは1位:Movable Type、2位:ShareWith、同率3位:Blue Monkey、NORENという結果に!
 
CMSにどのような機能を求めるかも、重要な選定ポイントです。
一般的にCMSツールによくある機能は下記の24項目に分けられます。
これらの機能のなかから、自社のWebサイトの目的に合った機能を洗い出し、検討しているCMSツールにその機能があるかどうかを確認します。
★(星じるし)を付けた機能は、どのサイトでも一般的に必要になる機能です。
 
 
検討しているCMSが必要な機能を備えていることが確認できたら、デモなどを体験し「使いやすいかどうか」も確認してみましょう。
CMSは、継続的に更新することが大きな利用目的のため、Web担当者が無理なく、モチベーションを落とすことなく、続けられるものを選ぶのが一番です。
CMSの機能の説明は以下の記事をご覧ください。
 
CMSの主な機能一覧 ~要件定義はWebリニューアルの目的に沿ってつくろう!~
 
WordPressやDrupalなどのオープンソースCMSには、さまざまな脆弱性(プログラムの不具合等による情報セキュリティ上の欠陥。セキュリティホール)が見つかることがよくあります。
これに対応するため、オープンソースツールは脆弱性を改善した最新バージョンが次々とリリースされることが一般的ですが、常に最新版をアップロードしたとしても、攻撃者は手を替え、品を替え攻撃し続けてくるのが現実です。
そのため、サイバー攻撃や改ざんやなどの被害を最小限に抑えるには、CMSを最新バージョンに保ったうえで、堅牢なセキュリティ対策を実施することが重要です。
具体的には、以下のような「未然のセキュリティ対策」と「万一攻撃されたときの検知対策」を多層的に組み合わせることで、より安全性を高めることができます。
 
未然に防ぐためのセキュリティ
 
攻撃されたときの検知対策
 
近年では、オープンソースCMSの利用を禁止する企業もあるほどです。
安全性を重視する法人サイトの場合は、有料CMSの中からセキュリティ機能をチェックした方がいいでしょう。
CMSの脆弱性をつかれた被害事例や、セキュリティ対策機能の説明は下の記事でご覧いただけます。
 
CMSの脆弱性を狙った改ざん被害事例-企業サイトにいま必要なセキュリティ対策とは
 
CMSを選定する際には、提供企業の事業の継続性もチェックすべきポイントです。
Webサイトは、一度作ったら数年は使います。
クラウド型のCMSを利用する場合、ふだんはWebサーバーのメンテナンスがいらないぶん、万一CMS事業者が廃業になった場合には、サーバー引っ越しなどの対応に追われます。
また、開発資金が潤沢でないと、機能追加やセキュリティ対策のバージョンアップ頻度が落ちてしまうケースもあります。
そのため、ツールベンダーの資本金や企業規模、ビジネスモデルなどを確認しておくことも必要です。
 
 
 
CMS導入を推奨するWeb制作会社には、自社開発のCMSツールを活用して制作を行う企業と、WordPressや他社の有料CMSを使ってWeb制作を行う企業があります。
必要な機能やセキュリティ対策、継続したサポート体制が得られれば、どちらのタイプでも構いませんが、制作に関わるチーム体制や人数はチェックポイントとして有効です。
人材に余裕のない会社は、案件が重なると制作の進行が遅くなってしまう可能性があります。
Webサイトの構築には、最低限でも下記のような役割のメンバーが必要です。Web制作会社に見積もりを取る際には、金額だけでなく、制作体制も確認しておきましょう。
 
 
Webサイトは「作ってからが本番」といわれるように、サイトの目的を達成するためには、完成後の運用がポイントになります。
サイト完成後の運用では、Webマーケティングの施策(SEO、広告、その他さまざまなWebサイトにお客様を集め、共感させ、購入してもらうための施策)を継続して行うことが重要です。
そのため現代のCMSには、単にサイトを更新できるだけでなく、MA(マーケティングオートメーション)などのデジタルマーケティングツールと連動できることも求められています。
どのようなデジタルマーケティングツールを使うのが最適かは、各社の事業内容や商品・サービス、マーケティング戦略によって異なります。
はじめから高度なツールを使うことを前提にする必要はありませんが、将来を見すえ、他のツールと連動できる余地があるかどうかを確認することも比較のポイントとなるでしょう。
 
前述したように、CMSには「オープンソース系」「独自開発系」の2つの種類があり、オープンソース系のツールは、基本的に公式なサポートはありません。
普及率が高いため、インターネット上でよくあるトラブルに対応するための情報を見つけることはできますが、自身で対応しきれない場合は、Webサイトの制作にあたった制作会社にサポートを頼むのが一般的です。
一方、独自開発系のCMSは、CMSの開発会社が公式なサポートを提供していますが、海外製ツールなのか、日本で開発されたツールなのかで、ユーザーが感じるサポートの手厚さが変わる場合があります。
日本語での詳細なマニュアルの提供や有人の問い合わせ環境があるかどうかは、ぜひ確認しておきたいポイントです。
また、どちらのCMSの場合も、Web構築に関わった会社が「作って終わり」という体制では、その後のトラブルに迅速に対応できません。
Webサイト完成後も、継続したサポート体制がある制作会社かどうかを確認することをおすすめします。
 
 
 
このように、CMSやWeb制作会社の選定にあたっては、さまざまなチェックポイントがあり、いろいろと比較検討をしていくとどこも「一長一短…」という印象になりがちです。
そのような場合は、各社の選定ポイントや見積もり項目を、基準を統一して一覧にする「業者比較シート」にまとめると、結論が出しやすくなります。
わかりやすい基準で一覧化したうえで、自社にとって優先度・重要度の高い項目を網羅したCMSや制作会社を選べば、より間違いのない選択ができるでしょう。
 
「業者比較シート」のひな型は、以下のボタンからダウンロードできます。ぜひ、ご活用ください。
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