【海外における最注目のマーケティング動向 #03】音声検索に対応したコンテンツの作成

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皆さんは、日常生活の中でどのくらい音声検索を使用していますか?

私は”音声検索でアラームを設定し毎朝起きており”日常的に活用しています。身近なところで意外と使われている音声検索は、想像以上に早いスピードで普及が進むかも知れません。

今回は「音声検索に対応したコンテンツ」の重要性とその背景について、米国core dna社のレポートを中心に、いくつかの調査データを元に解説します。

1.音声検索に対応したコンテンツが必要になる

According to Gartner’s predictions, we’re moving into a world of screen-less search. This is mainly due to voice search. You might even say that these predictions are conservative. After all, voice searches already make up 20% of all Google searches on mobiles.

Gartner社によると、ネットユーザーはスクリーンレスの検索時代に突入していると述べている。理由は音声検索の普及である。この予想は控えめともいう人もいるであろう。なぜなら、モバイルから行われるGoogle検索の20%は既に音声検索だからである。

参考:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

海外における音声検索の利用者数は年々増えていき、3年後の2021年には年間でなんと26億人(個人と法人の合計)にまで到達すると予想されています。

ちなみに”2018年の携帯電話所有率”は1人に1台となっており、世界人口の3人に1人が音声検索を使用していることになります。

引用:Tractica RESEARCH REPORT

実際に2015年から2018年までの直近3年間で見ても、200倍という急成長を遂げています。

一方で、日本ではスマートフォンに話しかける様子を他人に見られる・聞かれることに抵抗があり、海外と比べてあまり使われていないようです。
(参考:https://robotstart.info/2017/10/07/kddi-voicea.html))

なぜ、日本と海外で利用者数にこれほど大きな差が出るのか?
その理由は、10代を中心とした若い世代の「利用シーン」の変化にあります。

2.人前で音声検索を使うことが当たり前になっていく

下のグラフは、「音声検索を使うシーン」に関する米国での調査結果です。

参考①:https://www.stonetemple.com/voice-usage-trends/

参考②:https://www.stonetemple.com/mobile-voice-usage-trends-2017/

注目は、昨年と比べて大きく伸びている「公共機関の乗り物」での使用です。1年で約60%も増加しており、人前で音声検索を使うシーンが増えていることがわかります。

他にもGoogleのオフィシャルブログでは「音声検索に関する世代別の利用状況」が発表されており、今後、若い世代を中心に”友人の前でも音声検索を使う”シーンが増えていくと予想されています。

1日に1回以上、音声検索を利用すると回答したユーザーはそれぞれ次の通りです。

次の図は、世代ごとの音声検索の利用シーンです。

参考:https://googleblog.blogspot.com/2014/10/omg-mobile-voice-survey-reveals-teens.html

大きな違いは、20代以降の世代では人前であまり音声検索を使わないのに対して、10代の若い世代は「友人の前でも音声検索を利用する」ことです。

ちなみに20代以降の世代が音声検索を使うシーンの過半数は「車」となっており、その理由は、ハンズフリーでスマートフォンを操作したい時に音声検索を利用することが多いためです。
(参考:https://creativestrategies.com/voice-assistant-anyone-yes-please-but-not-in-public/)



これらの調査データから、「20代以降の世代は人前で音声検索を使うことにまだまだ抵抗があり」、「10代の海外ユーザーの多くは人前で使うことに抵抗があまりない」ことがわかります。
(参考:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1710/05/news128.html)

補足ですが、日本の10代のユーザーにおける「人前での音声検索の使用率」は約31%となっており、海外に比べて半分程度となっています。

2020年には東京オリンピックの効果で大勢の海外観光客が訪日し、身の回りで音声検索を使う人が増えることで、日本でも同じように人前で音声検索を使うシーンが増える可能性が高いです。

3.宿題のために音声検索を使う10代の若い世代

Younger people also use voice search very differently than older users. According to one study, 31% of teens use voice search to get help with homework.

若い世代は上の世代と音声検索の使い方が異なる。North Star Researchの調査によると、10代のユーザーのうち31%は宿題に音声検索を使用している。

引用:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

参考:https://googleblog.blogspot.com/2014/10/omg-mobile-voice-survey-reveals-teens.html

◆10代のユーザーの使用目的

  1. 1位:電話をかける
  2. 2位:道案内
  3. 3位:宿題のため
  4. 4位:曲をかける
  5. 5位:映画の上映時間を調べる
  6. 6位:時間を確認する

◆20代以降のユーザーの使用目的

  1. 1位:道案内
  2. 2位:メモ
  3. 3位:電話をかける
  4. 4位:時間を確認する
  5. 5位:曲をかける
  6. 6位:映画の上映時間を調べる

注目は、10代のユーザーは「宿題のために音声検索を使う」ということです。

「道案内」や「電話をかける」といった、日常的な行動に関する使用目的はどちらの世代も共通していますが、「情報を検索する」という利用目的は10代のユーザーに多く見られます。現在20代以降の世代がスマートフォンを持った当時は、音声検索は今ほど認知度がなく、スマートフォンの機能として当たり前のものではありませんでした。

対して、10代の若い世代が初めてスマートフォンを持ったときには、すでに音声検索は馴染みのあるものとして普及し始めていたため、他の世代と比べて当たり前に使われています。20代以降の世代は”ナビゲーター”として音声検索を使いますが、10代は音声検索を”相談する相手”として捉えているのかも知れません。

では、音声検索に話しかける言葉にどのような違いがあるのか?
具体的な例を挙げるとこのように異なります。

◆10代のユーザー

  1. アメリカの第6大統領はだれ?
  2. ヨーロッパで一番高い山はなに?

◆20代以降のユーザー

  1. ここから〇〇駅への行き方
  2. いまの時刻

やはり20代以降のユーザーは音声アシスタントに話しかけるような内容が多く、10代のユーザーは”検索エンジンで情報検索するときの質問”を音声で入力しています。

“情報の検索”はどちらの世代も普段から行っているものですが、音声検索で行うのは10代のユーザーの特徴です。このように利用目的を限定せず、日常のあらゆるシーンで音声検索を使う世代が成人するということは、音声検索が入力検索を超える日が来るかも知れません。

日常的に音声検索を使う世代が成人し、その次の世代にとっても「音声検索は身近なもの」という時代になっていくと考えられます。
(参考:https://www.populationpyramid.net/ja/%E4%B8%96%E7%95%8C/2017/)

4.音声検索に対応したコンテンツとは?

Since the way we speak is very different from the way we type, your content needs to adapt to natural language search. Instead of focusing on keywords, you need to focus on answering questions the way a human being would.

「自然な会話での質問」に答えられるようにコンテンツを対応させる必要がある。会話する時と書く時では使う言葉が異なるためである。キーワードにフォーカスするより、人間が回答しているかのようにコンテンツを作成する必要がある。

参考:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

音声検索に対応するためには、”ユーザーの質問に対する回答をシンプルにする”必要があります。いま世の中にある多くのコンテンツは、入力検索に対応するためのコンテンツがメインであり、かつSEOを行う際も“検索キーワード”に対して最適化を行っています。

そのため、キーワードの意味や関係する周辺情報などが幅広く網羅されたコンテンツを作成しています。

いま主流となっているコンテンツは、周辺情報を網羅するために結論が回りくどくなっているとも言えます。

音声検索では、検索キーワードを単語でぶつ切りにして話しかけるのではなく、「自然な会話」のように質問をすることが多くなります。

それぞれの違いは、例えば以下のようになります。

従来のコンテンツの検索キーワード

「スマートスピーカー おすすめ メーカー」

音声検索に対応したコンテンツの検索キーワード

スマートスピーカーでおすすめのメーカーは何ですか?

従来のコンテンツの検索キーワード

「渋谷 イタリアン」

音声検索に対応したコンテンツの検索キーワード

ここから近いイタリアンのお店はどこですか?

実際にGoogle の John Mueller(ジョン・ミューラー)氏は、「音声検索に対応するためには”回答を簡潔にまとめたコンテンツ”が必要である」と動画上で説明しています。

”回答を簡潔にまとめたコンテンツ”とは、音声検索に対して「答えを簡潔に説明しているコンテンツ」です。

音声検索への具体的な対応方法は公表されていないですが、”ユーザーの質問に対する回答を簡潔にまとめ、コンテンツの冒頭部分に結論として書く”ことが重要であると言っています。

今後のコンテンツ制作は、質問に対する回答をコンパクトにしていく必要がありますね

5.まとめ

日本では音声検索はまだまだ身近なものではありませんが、海外では既にスタンダード化しており、近い将来日本でも普及が進むと考えられています。日本での普及がまだということは、今から備えておくことで競合よりも優位に立てる可能性があるということです。

“音声検索時代”の到来に備えて、音声検索に対応したコンテンツ作成を検討してみてはいかがでしょうか。

  • Writing By
  • 金井 章浩
  • スターティアラボ株式会社 取締役
    クラウドサーカス株式会社 代表取締役

    プロフィール :

    2006年スターティアに新卒として入社。2009年にスターティアラボ立ち上げに参画。
    2014年にWebプロモーション事業部を立ち上げ、同事業部を2018年にクラウドサーカス株式会社として分社化、代表取締役に就任。
    近年のマーケティングテクノロジーの高度化に伴い、マーケティング効率が飛躍的に高まっている一方、多くの企業ではまだまだそれらを使いこなせていないのが現状。それらをシンプル化することで多くのマーケターがより高い成果を生むしくみの普及に努めている。

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