近年、注目を集めるD2C(Direct to Consumer)の人気ブランド。
この記事では、日本・海外のD2Cの事例を業界別にご紹介します。
自社で企画・製造した商品を自社のチャネルを通して消費者に直接販売するD2Cについて、事例をもとに詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
D2C(Direct to Consumer)とは、企業や個人が製品の企画・製造・販売を一貫して行い、代理店や流通、小売店等を介さずに消費者に直接的に販売するビジネスモデルのことです。
読み方は「ダイレクト・トゥ・コンシューマー」です。「DtoC」と書かれる場合もあります。
D2Cのビジネスモデルの特徴は、商品を企画・開発する段階で、開発者が消費者の意見や要望に直接耳を傾け、独自性の高い商品を作り上げるという点にあります。
このような企画・開発背景を持つ商品は「D2Cブランド」として独自のブランドを構築することを目指しています。
また販売チャネルについても、流通や小売店を通さず、自社のECサイトで消費者に直販するのが一般的です。
このように、D2CはSNSを活用したデジタルマーケティングやECサイトによる販売を主戦場に、その市場を広げてきています。
>D2C(Direct to Consumer)とは?意味、成功事例、ブランド一覧をご紹介!
では、D2Cのビジネスモデルを活用した商品・ブランドには、どのようなものがあるのでしょうか。
D2Cのビジネスモデルで先行する海外の事例と、近年急伸する日本国内ブランドの事例を、業界別にご紹介します。
ニューヨーク発のアイウェアメーカーで、世界で初めてD2Cのビジネスモデルで成功したと言われるD2C界では有名なブランドです。
自社でデザイン・製造した低価格で質の高い商品を、SNSを活用したコミュニケーションで消費者に広めることで認知を獲得しました。
2015年、革新的なビジネスにフォーカスした米国メディア「Fast Company」誌上で、「世界で最もイノベーティブな会社」としても選ばれています。
2007年にアメリカで創業したメンズアパレルブランド。
「ありそうでなかった」メンズのカラーパンツに特化し、豊富なラインナップを持つことで、それまで選択肢の少なかったメンズアパレルの世界で支持を得ました。
ブランドの成長後は、実店舗も強化し、2017年にはウォルマートに売却するというD2Cブランドの成長の軌跡を見せています。
アメリカ・サンフランシスコ発のD2Cアパレルブランド。
製造・販売過程の「透明性」を重視しており、商品ごとに原材料費や労働費、輸送費などの原価をすべて公開するという独自のコンセプトで支持を集めました。通常の割引セールに代わり、購入者が価格を選べる「Chose What You Pay」という仕組みも取り入れています。
「世界一快適なスニーカー」のキャッチコピーで知られるシューズブランド。
メリノウールを活用した上質で、自然に優しい素材を活用していることがブランドの特徴です。
海外の著名人が愛用していることでも有名になりました。現在は日本でもビジネスを展開しており、原宿に実店舗を構えています。
上質な素材を使用したバッグブランド。
アメリカの消費主義に疑問を感じたスタンフォード大学の女子留学生2人によって、長く使える「Fewer, better things(ちょっといいもの)」をコンセプトに立ち上げられました。
高品質な素材を世界中に探し求め、原材料を調達した国で製造を行っています。
一律99ドルのブライズメイドドレスを販売するブランド。
2人の女性が創業し、Instagramなどを活用したインフルエンサーマーケティングで認知を広げています。
ミレニアル世代、Instagram世代に絶大な人気を誇るコスメブランド。
CEOであるエミリー・ワイスさんが展開していた人気ブログがきっかけとなり、オリジナルブランドが立ち上げられました。徹底した顧客とのコミュニケーションに力を入れており、顧客体験の重視でD2Cモデルを成功させたお手本となっています。
髪質や用途によってカスタマイズができるパーソナライズヘアケアブランド。
シャンプーの種類はたくさんあるものの、顧客のニーズをかなえきれていないという課題に応えた商品です。
WEB上で質問に答えることで、自身のヘアカルテができあがり、自分の髪質に合った商品が購入できる仕掛けとなっています。
寝具ブランドのキャスパーも、世界的なD2Cモデルの成功ブランドです。
キャスパーは、デジタル戦略に力を入れ、睡眠トラッカーアプリや睡眠をサポートするチャットボットなどを開発。
睡眠全般に関する情報で顧客とつながることを重視しています。
この他にも、選びやすいミニマムな商品展開、インフルエンサーを活用したおしゃれなイメージの訴求、100日間返品無料など、さまざまなテクニックを駆使した販売戦略で、短期間で大きな成果を挙げました。
旅先のホテルで出会うような上質なベッドリネンを販売するD2Cブランド。
創業者である夫婦が上質なリネンを購入しようとしたところ、高価な商品しか売られていないことに驚いた経験から、クラウドファンディングによってブランドが立ち上げられたそうです。
食品サブスクリプションモデルの事例としてもよく挙げられるブルーエプロンは、あらかじめ指定した人数分の調理に必要な材料や調味料をセットにした「ミールキット」を販売するサービスです。
忙しくても質の高い料理が作れるという体験価値を通じて、ミールキットの普及に成功しました。
ニューヨーク発、高品質ベビーフードのサブスクリプションサービス。
創業者が子育てをする際に、市場に出回るベビーフードに新鮮で品質の高いものがなかったことからブランドを立ち上げたそうです。
離乳食初期から完了期のおやつまでラインナップしていることで、ママの心をつかんでいます。
ニューヨーク発のドリンクブランド。
Instagramのみでプロモーションを行い、注文はチャットボット経由でテキストSMSを送るというユニークな購入体験で支持を得ています。
●hims
男性向けED薬をおしゃれなデザインで販売することからスタートしたD2Cブランドです。
クールなイメージでサプリメントを手に取りやすいようする工夫が人気を集め、190億円を超える資金を調達。
現在では女性向けブランド「hers」も展開しています。
アメリカやカナダで展開するペットフードのD2Cブランド。
ペットの健康に気遣ったフレッシュフードをコンセプトに、オンラインによるサブスクリプションモデルを構築。
WEB上にペットの体重などの情報を入れることで最適なフードを提案するほか、パッケージにペットの名前を印字するサービスでSNSでのUGC創出につなげています。
ペットフードやペット用のサプリメント、おやつなどを展開するブランド。
自社工場で生産したペットフードを提供しながら、アメリカで実店舗を多数展開。
新鮮なフードを提供するドッグカフェとしての人気も得ています。
小柄な女性向けのアパレルブランド。
「低身長で自分に合う服が見つけられない」という女性のニーズを掘り起こし、明確なターゲット設定をしたことで、ブランドのポジションを確立しています。
Instagramのライブ配信などを活用した販売戦略も若い女性に受け入れられています。
D2Cモデルを活用したオーダースーツブランド。
実店舗で身体のサイズを計測したあと、そのデータをもとにいつでもオンラインでサイズの合ったスーツを注文できます。
敷居の高い印象のあったオーダーメイドのスーツをテクノロジーによって身近なものにし、若い世代を取り込んでいます。
「インターネット時代のワークウェア」をコンセプトにしたアパレルブランド。
「着たくないのに、毎日着てしまう」セットアップなど、ちゃんと見えて着心地がいい洋服を販売しています。
男女兼用のデザインも、多様性に適応する現代の価値観にマッチしています。
BULK HOMME(バルクオム)は、日本でD2Cという言葉がまだ浸透していなかった頃から展開されているメンズコスメブランド。
デザイン性が高く、高品質な洗顔料・乳液・化粧水などを販売、インフルエンサーを活用したマーケティングで認知を高めました。
現在は小売店にも商品を展開し、テレビCMなどのマスマーケティングも行っています。
●PHOEBE BEAUTY UP(フィービー・ビューティーアップ)
美容に関するオウンドメディアを運営するDINETTE社がスタートしたコスメブランド。
ターゲット層のニーズを汲み取ったまつげ用美容液がヒットし、認知を獲得しました。
InstagramなどのSNSをメインとしたマーケティング戦略にも長けています。
髪質や香りの好みを反映したオーダーメイドのシャンプーやトリートメントを販売するヘアケアブランド。
丸井グループやジンズホールディングスから資金調達を達成するなど、国内のD2Cモデルのなかでも注目のブランドのひとつです。
1食で必要な栄養素を取ることができるパンや麺を販売するブランド。
創業者である橋本さんのIT企業勤務時代の多忙な生活の経験により、誰もが食べる主食で栄養バランスの取れた食事ができることをコンセプトにしています。
「おやつのサブスク」として人気を集めるおやつの定期宅配サービス。
自社開発のシステムで提案される1000億通り以上の組み合わせから、一人ひとりの好みにあったおやつを診断し、オフィスや自宅のポストに届けるサービスを提供しています。
日本酒のECサイト販売を行うD2Cブランド。
高品質・高価格のプレミアム日本酒を酒蔵とともに独自に開発。
山形県の酒造とともに開発した「百光(びゃっこう)」は、高級日本酒として人気を集めています。
WEB上の肌診断をもとに、一人ひとりの肌に合ったカスタマイズサプリを提供するブランド。
D2Cならではのパーソナライズされた商品に注力しながら、豊富な肌診断データを蓄積し、商品開発に活かしています。
「日本人のウェルネスをサポートする医師発ブランド」をコンセプトに、生活に必要な栄養素を補うことで、生活の質を高めるためのオールインワンサプリを販売。
男性ビジネスマンをターゲットとしたブランディングが目を引きます。
獣医師監修の手作りドッグフードを展開するブランド。
ペットが家族化し、より高品質なペットフードが求められるニーズを反映、販売開始2カ月で50,000食を完売するほど多くの支持を得ました。
「国産カスタムフレッシュドッグフード」をコンセプトに、愛犬に合わせてカスタマイズされた新鮮なドッグフードが購入できるサービスを展開。
10個の質問に答えることで、ペットに合ったフードを診断できるWEBコンテンツも展開しています。
上記のように、D2Cのビジネスモデルを活用したブランドは海外・国内とも非常に増えており、人気のブランドは実店舗展開や資金調達、事業売却などを行って大きく成長するケースも出てきています。
どのブランドにも共通するのは、インターネットを介した消費者とのコミュニケーションにより、潜在的なニーズを発掘した商品を提供していること、またそれらのデータを活用し、商品開発やプロモーション戦略に生かしたデータドリブンな経営を行っていることです。
消費者ニーズの多様化に合わせて成長していくであろうD2Cブランドに、今後も目が離せません。