SaaSビジネスの特徴とマーケティング施策例のご紹介!

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SaaSのビジネスはますます広がりをみせ、進出する企業が増えています。一方で、サブスクリプション型の課金形態を取るSaaSは、従来のパーケージ商材のような”売り切り型”のビジネスモデルとは異なるため、SaaSならではの戦略も必要となります。

そこで、今回は10以上のSaaSを提供してきたクラウドサーカスが、これまで経験してきたマーケティング活動を元にSaaSビジネスの特徴から実際の施策、事例などをご紹介いたします。

 

<この記事で書かれていること>

 

<この記事をこう使って欲しい>

 

貴社のSaaSビジネスのお役に立てたら幸いです。

改めて”SaaS”とは

この記事を読まれている方には説明不要かもしれませんが、念のためSaaSの定義についておさらいします。

 

SaaSとは「 Software as a Service(ソフトウェア アズ ア サービス)」の頭文字を取って作られた言葉で、サービスとしてソフトウェアを提供する形態を指します。ソフトを購入してPCなどにインストールする買い切り型のパッケージとは異なり、オンライン上でソフトを利用する形をとるため、初期の購入費用は最低限におさえられ、代わりに月額費用を継続的に支払う課金形態となっているのが特徴です。

 

導入のハードルが低くお試しでの利用もしやすいため、デジタル化が急がれる昨今においてSaaSが急激に拡大しています。

ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS

SaaSの分類として、この記事ではバーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSを紹介します。

 

必ずしもこの2つに分類されるものでもないのですが、マーケティング戦略を考える上ではそれぞれの特徴を抑えておかないと的外れな施策を打ってしまう可能性があるため、ここで一度明確にしておきます。

 

バーティカルSaaSとは、「業種が限定されるSaaS」を指します。業種毎に特化した機能を持つため、業界に特有の問題を解決できることが特徴です。

 

医療用機関向けのSaaSである「CLINICS」や、不動産業界向けのSaaS「WealthPark Business」などが代表的なツールです。バーティカルSaaSはユーザーとなる業界を限定したサービスを提供するため、マニアックなサービスが多い傾向があります。

 

また、弊社の提供するCOCOARも印刷会社向けの導入が多く、バーティカル的な側面を持っています。

 

一方でホリゾンタルSaaSは、「業種に関わらずに利用されるSaaS」を指します。

 

業界や部門を越えて、広く水平的に利用されるホリゾンタルSaaSは業務課題を解決するというのが特徴です。代表的なものには、勤怠管理や経費精算、MAツール、メールサービス、オンラインストレージサービスなどがあります。

 

バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSについては以下の記事でより詳細をまとめておりますので、気になる方は合わせてどうぞ。

 

バーティカルSaaSとは?ホリゾンタルSaaSとの違いやそれぞれの特徴まで

SaaSビジネスのメリット

SaaSビジネスへの関心は年々増えています。以下はGoogleトレンドで調べた「SaaS」という言葉に対する検索回数の遷移ですが、これを見るだけでもSaaSに対する関心が高まっていることが伺えます。

 

Googleトレンド:SasS

 

SaaSが急拡大している背景には利用者と提供者それぞれのメリットがあります。

 

例えば利用者のメリットとしては

 

 

などが挙げられます。コロナ禍以降にデジタル化が急務になっているものの、いきなり巨額の投資は難しい企業などにもSaaSはメリットが大きいようです。またビジネスの特性上、しっかりとサポート(カスタマーサクセス)をしないと解約に繋がるため、ベンダーからの導入後の支援が手厚くなっているところもユーザーから好まれている要因です。

 

一方で提供側のメリットとしては

 

 

などが代表的なものとして挙げられます。SaaSは解約のリスクが常に伴うものの、新規で案件を獲得するよりは売上の見通しが立ちやすくなります。また月額での支払いになるためまとまった収益はない代わりに、継続して利用してもらうことでLTV(顧客生涯価値)は高くなることがあります。そのためにもカスタマーサクセスに注力し、継続利用や、アップセルクロスセルにの機会創出がすることが多くなります。

 

そして、期限制限のあるトライアルではなく機能制限のあるフリーミアム戦略を取れば、まずはツールを無料で導入してもらい、あとから有償版にアップセルする戦略も取りやすくなります。直感的にわかりやすいツールかつ適切なガイドがあれば、営業工数をかけずとも有償化できることもあり、営業効率が大変高くなります。サービスによってはプロダクト内でマーケティングや営業までを完結するPLGの戦略を取ることで、急拡大も狙えます。

SaaSビジネスで気を付けるべき点

そんなSaaSサービスですが、従来のパッケージサービスと異なり気を付ける点もいくつかあるため、ここでは一例をご紹介します。

LTVをベースに考える

まずSaaSで重要な点は、LTVが非常に重要な指標であることです。従来のパッケージビジネスでは「何本売るか」が重要な指標とされていましたが、SaaSにおいては「どれだけ使い続けてくれたか」も必須の指標になります。

 

そのためには、短期的な売り上げだけを追うのではなく、自社のサービスに価値を感じてもらえる市場を見極め、顧客に取ってコアとなる機能を中心に開発を進め、活用の支援してくことが求められます。その支援の形としてハイタッチやテックタッチなどのカスタマーサクセス施策に各社が取り組んでいます。

 

また、LTVを挙げていくためにはアップセルやクロスセルの設計も重要です。継続利用を促すだけでなく、1顧客当たりの単価のUPも利益に大きく影響するため、ユーザーがどのような状態になったら上位プランや他のサービスを追加するのか、仮説ベースでもロードマップを作成しておくと良いでしょう。

導入ハードルが低いがすぐに抜けると儲からない

SaaSの魅力は導入ハードルが低いため、契約を取りやすいことです。一方で、初期投資が少ない分早期に解約をされてしまうと全く儲けが出なくなるため、継続利用してもらうための支援は必要不可欠です。手軽に導入できるSaaSはスイッチングコストも低くなりがちなので、早い段階で成果を感じてもらう”クイックウィン(詳細は後述)”が重要となります。

 

また、月額費用が安価なSaaSでは手厚い支援をしすぎると粗利以上の人件費がかかってしまうため、工夫が必要です。たとえば高単価商材へのクロスセルを狙うフックとして設計したり、テックタッチやロータッチの施策を利用して1人のカスタマーサクセスがより多くの顧客を支援できるようにする、等です。

 

これらを用いて、大量に獲得した顧客をいかに有料顧客に保っていくかが非常に重要になります。

クイックウィンが超重要

継続利用するために最も重要なのがクイックウィンです。クイックウィンとはツール導入後のミニマムのゴールのことで、ユーザーが感じられる小さな成果を差します。中長期での成果はもちろん重要ですが、短期でも価値を幹事てもらえないと解約に繋がりかねないため、小さな成果を感じられるポイントをプロダクトやサービス内で設計しましょう。

継続的なアップデートが必要

SaaSの良いところは導入後も継続的にアップデートが続けられることです。実際に使ってくれているユーザーの声をプロダクトに反映することで、満足度が向上し継続率も改善されます。「SaaSは永遠のベータ版」という言葉がある通り、良くも悪くも改善をし続ける必要があるため、しっかりとユーザーの声を聴ける体制や仕組みを整えましょう。

クラウドサーカスの実例

ここでSaaSベンダーでもある弊社の事例について1つご紹介します。

 

クラウドサーカスでは、マーケティング関連のSaaSを10以上扱っております。テレビCMからWeb広告、展示会など新規マーケティング手法のあれから、カスタマーサクセスにも長く注力してきており、中長期での収益最大化に長く着手してきています。

 

フリーミアムのツールも多く、まずは使ってもらい、利用イメージを持ってもらってから有償化するケースも多くなっています。

 

導入する前に操作性は必ず見ておきたいと思っていたので、無料でお試しできるのは助かりました。実際にテストメールを配信するなど本番環境と同等の使い方をしたところ、非常に使いやすいと感じました。事前に使い勝手を確かめられるので、役員に話も通しやすかったですね。導入後のイメージがつかみやすかったので、「こういう使い方ができます」「実際にこうやりました」など説明がしやすかったです。

 

MA活用でメルマガ配信のたび30件のセミナーエントリーが来るように。知識がなくてもとても使いやすいツールです|株式会社メディカルトラスト

 

当時、営業支援や顧客管理の部分で業務効率をあげたい、という課題もありました。その中で「無料プランがあり、手軽に使えるMAツール」というのは選択肢として最適だったのだと思います。実際に試用してみての操作感もよかったため、契約に至ったと聞いています。

 

顧客の知りたい情報を、タイムリーに把握。情報提供の質が向上したことで、ニッチな商材への理解度も深まり、さらなる販売促進につながりました!|株式会社システムギアビジョン様

 

また、ツールによってホリゾンタルなものからバーティカルに展開しているものもあります。共通するマーケティング施策もありつつも、業界ごとにアナログなものも絡めた施策も実施しています。

 

例えば共通しているところとして、フリーのお客様と資料ダウンロードのお客様に対して一定の条件に基づいてアプローチをし、商談を獲得したり、セミナーに招待して関係構築をしたりしています。また、親和性の高いSaaSを提供しているため、クロスセルも活発にあり相乗効果を産んでいます。安価に提供できるため事業を跨いだクロスセルなども盛んで、必要な企業に必要なツールを適切なタイミングで届けることを心がけています。

 

ちなみに、こういった戦略を初めからできていたわけではありません。弊社も昔はテレアポ中心の営業会社だったのと、プロダクトの数も多くはなかったので、全く違う組織体制と施策を実施していました。また、以前はSaaSというよりもパッケージソフトの販売やWeb制作を行っており、初期費用を大きく頂くことで利益を出すビジネスモデルでした。ただし、この時代からカスタマーサクセスには注力をしていたため、SaaSに舵を切った時にも比較的スムーズに移行できたように感じます。

 

現在ではこういった経験とノウハウを元にIT / SaaS企業に特化したマーケティング支援コンサルティングも実施しており、非常に長くお付き合いをしてもらっています。

具体的なマーケティング施策例

続いては、マーケティング施策を紹介します。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは中長期で有効です。工数はかかるものの、獲得したリードは蓄積されていき1年後2年後も継続的に活用できます。ただし、リードに対してのアプローチの体制が整っていないと成果につなげることは難しく、また中長期でアプローチしてくような仕組みも重要です。本メディア「エムタメ:も直近の問い合わせよりも過去の獲得リードの受注の方が多くなっており、一度接点を持ってから数年後に別のチャネルから再び接点を持つこともしばしばあります。そのタイミングが来るまで、しっかりと関係をつなぎとめておく必要があります。

SEO

顕在的なターゲットをとっていく上でSEOは有効です。見込み度が高いターゲットも多く含まれるため、外せないキーワードは確実に1位を取得しましょう。施策としては内部対策、外部対策、コンテンツ対策があり、最低限の技術的なチューニングはやっておくと損失が少なくなるためおすすめです。

 

ただし、SEOにばかり頼ると段々と厳しくなるのと、目的になってしまうと質の低いコンテンツになりかねないため、あくまで顧客にとって役立つコンテンツを作った上で結果として上がるSEOを目指しましょう。

サービスサイト改善

SEOも広告も受け皿がしっかりしていなければ意味がありません。ある程度のターゲットが流入しているなら、内容を改善してよくしていくべし。もしきてないのであれば逆にサイト改善は無意味なので、まずは集めるところからやる。入店のない店舗で内装改善するようなもの。

 

あとはそもそもサービス内容がいまいちだとCVしなかったりするので、そこも含めてトータルで考えると無駄なことに時間を使わなくなるので良い。

Web広告出稿

広告もピンポイントなターゲットに向けて打つには有効。ホリゾンタルなら特定の業種とかキーワードを狙ったり、バーティカルなら業界とかに特化して出向できたら良い。

 

いきなり成果につながるとは限らないので、ブラッシュアップが必要。そのためにもキャンペーン構成などはしっかり考えて作っておかないと、機械学習が効率よく回らなくなるので注意。

展示会出展

いまだに展示会は効果がある。見込みどの高い情報収集そうが訪れるので、商談にも繋げやすい。コストはそれなりにかかるが、出す価値がある。

 

ただ、ただ出展したから商談につながるものではなく、当日のオペレーションや開催後の追客ルールは決めておかないと大きな機会損失につながる。出展コストが高い分しっかりと準備して臨みたい。

オンラインイベント出展

コロナ禍になってからオンラインイベントも増加した。特にオンラインカンファレンスのようなイベントは各業界で開催されており、スポンサーになることで数百〜千件程度の企業に対してアピールすることも可能。業界特化のイベントであれば、バーティカルSaaSとも相性がよく効率的に特定の業界に入り込んでいくことができる。

 

ただ、広告を出さない限りリード情報は貰えないこともあり、貰えても自社のセッションを見た人のみだったり、上限があったりするなど、制約が入ることが多い。

オンラインイベント主催

自社が主催者となってオンラインイベントを開催すれば、リード情報が一挙に手に入る。ただ、自社が出展するよりも準備の工数が段違いに多く、当日のオペレーションを含め綿密な計画とリスクヘッジが必要となる。そのため、イベント会社に企画から運営までを外注することも多く、リソース的にも金銭的にもコストがかかる。

 

ホリゾンタルSaaSであれば特定の業種、バーティカルなら特定の業界に特化したカンファレンスを開催すれば一挙にアプローチの幅が広がる。ただし情報収集そうも多くなるため、中長期での戦略に立てておかないと思ったような成果には繋がらない可能性もある。

ポータルサイト掲載

SaaSツールのポータルサイトはたくさんある。無料で掲載できるものも多いので、面でとっていくためにもまずは登録をしておくとよい。

メルマガ広告出稿

メルマガの中にある広告枠。業界や役職などを絞って送れるものも多い。自社のサービスと親和性の高い媒体であれば、狙いたいリードの情報を持っている可能性も高いため有効。優良な媒体であればリードとの関係構築もできている場合があり、自社で1からリードを集めて配信するよりも質も量もよくなる。

セミナー開催

セミナーを開催して、見込み顧客にアプローチをする。集客方法はこれまで紹介したSEOや広告のほか、ハウスリストへのメールなども有効。特に資料ダウンロードのユーザーにいきなり荷電をするのは嫌がられるので、セミナーに誘導して温度感を確かめるなどはよくある使い方。

 

開催後にアンケートの回答を依頼して、その内容に応じて適切なアプローチをすることで効率的な商談作りができる。また、アンケート内容を元にブラッシュアップしていくことで満足度も向上させることができる。

WebCM / テレビCM

認知を広げる施策としてCMはおすすめです。特にテレビCMは、オンラインの施策とは比較にならないほど認知が広まっていくので、サービスの成長を加速させます。ただし媒体によっては高額なコストがかかるため、中長期で投資額を改修していくような全体設計が必要となります。

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