「Salesforce World Tour Tokyo 2018」レポート 第二回 セッション「Datorama Product Session - AIを駆使したマーケティング・インテリジェンスの可能性」

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2018年12月5日(水)、東京ビッグサイトにおいて、Salesforce社のイベント「Salesforce World Tour Tokyo」が開催されました。このイベントは毎年開催されており、Salesforce社主催のイベント規模としては国内最大規模です。

「エムタメ!」では、当日の様子からマーケター向けの情報を厳選し、数回にわたりレポートしていきます。

第二回は、株式会社セールスフォース・ドットコムが買収したMIツール「Datorama(デートラマ)」を活用してマーケティングインテリジェンスを追求するというテーマで行われたセッション「Datorama Product Session - AIを駆使したマーケティング・インテリジェンスの可能性」の模様をお届けします。

■第一回・第三回はこちらをご覧ください。

1.Datoramaが開発された背景

株式会社セールスフォース・ドットコム 
セールスディレクター/ビジネス・ディベロップメント 
石戸 亮氏

Datorama(デートラマ)は、もともと2012年にイスラエルで創業したベンチャー企業で開発されたMI(マーケティング・インテリジェンス)ツールです。Google社の元CEOであるEric Emerson Schmidt(エリック・エマーソン・シュミット)も、AIに特化したベンチャーキャピタル会社を通して投資するなど注目されている企業でした。2015年に日本拠点が作られましたが、2018年7月にSalesforce社に買収され、現在はSalesforceの製品となっています。

Datoramaが開発された背景は3つあり、まずは、マーケティング担当者から見たマーケティングの世界が断片化されていることが挙げられるといいます。

たとえば、施策としてキャンペーンを行うことを考えた場合、地域やサブブランドに紐づいて、ここ数年でさまざまなチャネルが扱われるようになりました。その結果、キャンペーンの終了後、「どこで何が起きたか」を掌握できない事態に陥っているといいます。

二つ目は、ここ数年でマーケターが接するテクノロジー数が急増していることだといいます。 Datorama社が創業した2011年にはまだ、マーケティング・ソリューションが国内外を合わせて150程度だったのが、2018年現在は5,000もあると石戸氏はいいます。一社で複数のツールを導入して使用していることから、一つひとつのツールは便利でも数が増えることによる煩雑さが生じているということでした。

三つ目が、コンシューマーがどのタッチポイントでアクセスしているのかがわかりにくくなってきていることだといいます。アプリやSNS、店頭など、さまざまな接点を設定されているでしょうが、お客様がいつどのタッチポイントからアクセスしているかを把握するのが容易ではなくなってきました。

2.BIに対するMIの位置付け

DatoramaはMIツールですが、ダッシュボード(さまざまなデータをわかりやすく表示する画面)が出てくるため、BI(ビジネス・インテリジェンス)と混同されがちです。そこで、BIとMIの違いについての解説がなされました。

BIは1980年くらいから使われ始め、社内の売上データ、会計データなどを収集・蓄積・分析して示唆を導きます。人間ドックのように、自社を知る技法として使われてきました。

一方、MIは、1970年頃から使われています。市場のニーズや嗜好の変化・動向を、4Pや3Cといった手法で判定し、将来の市場規模やその特徴に影響をおよぼしそうなビジネス環境の変化を評価するのがMIです。市場調査や競合調査で使われる手法です。

両者が決定的に違うのは、BIが社内データを扱うのに対し、MIでは社外のデータを扱うという点。データ量もBIに比べると膨大になります。

3.Datoramaでできること・機能

Datoramaは「パフォーマンス」「インパクト」「ロイヤルティ」「ブランドヘルスチェック」の4つの領域で活用されているといいます。

パフォーマンス 定期的に開催するキャンペーンなどのパフォーマンスを最適化
インパクト 新規顧客獲得や解約防止といったマーケティング施策と売上の関係を最適化
ロイヤルティ どのように利用されているかといった顧客体験やカスタマージャーニーなどの顧客ロイヤルティを最適化
ブランドヘルス
チェック
調査や広告不不正を最適化

マーケティング担当者としては、キャンペーンなどの施策を打ったら結果をすぐにデータで見たいという希望を持ちますが、形式もソースも異なる膨大なデータが流入してきて、統合できていないため、信頼できる一元化された情報ソースがないのが悩みとなっています。これを解決するのがDatoramaなのだといいます。

Datoramaでできること

Datoramaには、3つの機能(①データ収集 ②データ整理 ③可視化・予測)があるとのことです。

実際に、電気自動車メーカーのテスラ社のデモ画面を用い、使い方の紹介がありました。マーケティングに関するデータを、期間を設定しながら、国別・車種別、メディア全体での露出やSNS別のポジティブな書き込み・ネガティブな書き込みといった軸で閲覧できます。

さらに、Webサイト上からどれくらい見積依頼や試乗予約があったか、実際に店頭でどれくらい試乗したか、最終的にどれだけ受注したかといったことも確認できます。目標に対しては、たとえば、売上額は達成したが台数は未達ということであれば、車種別の画面に遷移すれば、足を引っ張った車種がわかるのだそうです。

もっと小額商品、たとえばペットポボトル飲料などの場合、TVCMの放送とPOSデータを連動させて表示させることもできます。

こうしたさまざまなデータを活用するために、データを取り込む方法は3種類用意されています。

  1. 連携しているシステム(CRMなど)のデータは、Datoramaに表示されたロゴをクリックで取り込み
  2. Datoramaから発行される固有のメールアドレス宛にデータファイルを添付して送信
  3. 指定の場所にローデータを格納してDatoramaに参照させる

Datoramaに取り込まれたデータは、AIによって300以上のマーケティング指標にのっとって自動的にマッピングを行ってくれたり、ある結果をもたらした原因をインサイト・ボットが推定してくれたりするため、マーケターはそれらを参考にすることで効率的に分析したりドリルダウンしたりということが可能になるといいます。

4.Datoramaの事例紹介(資生堂/ネスレ日本)

最後に、Datoramaユーザーの成功事例として、資生堂とネスレ日本の2社を紹介されました。

①資生堂の事例

資生堂では、20近い数のブランドを抱え、5つの代理店を経由して販売を行っており、それぞれの代理店から毎月レポートが出されるため、年間で数百にも上る膨大なデータが創出されていたそうです。これらを統合して分析するためにDatoramaが活用されました。

成果として、レポートの一元管理や、広告の不正を防止し透明性を確保できたこと、マーケティングに関する情報のタイムリーな把握などが実現されたといいます。

②ネスレ日本の事例

ネスレ日本では、キャンペーンなどの施策に対する分析に時間がかかり過ぎ、PDCAサイクルのスピードが高速化できていないことが課題で、リアルタイムでの予算付け替えを実行できる「ライブモニタリング」を目指していたそうです。

Datorama導入後は、PDCAサイクルを15日短縮、キャンペーン結果の確認が48時間短縮されてライブモニタリングを確立でき、KPI達成率が向上したといいます。

ほかに、株式会社CHINTAI、KFCコーポレーション、IBMでも導入成果が出ているとのことで簡単に紹介され、今回のセッションは終了しました。

第一回・第三回はこちらをご覧ください。

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