2018年12月5日(水)、東京ビッグサイトにおいて、Salesforce社のイベント「Salesforce World Tour Tokyo」が開催されました。このイベントは毎年開催されており、Salesforce社主催のイベント規模としては国内最大規模です。
「エムタメ!」では、当日の様子からマーケター向けの情報を厳選し、数回にわたりレポートしていきます。
第一回は、SALES ROBOTICS株式会社が提供するインサイドセールスのマネジメントシステム「SALES BASE(セールス・ベース)」を活用してアポ獲得数130%を実現するためのポイントを、事例を交えながら紹介されたセッション「アポ獲得数130%を実現した新しい営業のカタチ」の模様をお送りします。
■第二回・第三回はこちらをご覧ください。
「Salesforce World Tour Tokyo 2018」レポート 第三回 セッション「製造業向け:デジタルによる顧客接点革命」
内山 雄輝氏(SALES ROBOTICS株式会社 代表取締役社長 CEO&Founder)
同社は、「気合と根性の営業活動をもっと楽にスマートにする」ことをモットーとして掲げているそうです。
どの会社でも多かれ少なかれ「リードが足りない」「アポが取れない」「CPA/受注率が悪い」という営業課題を抱えていらっしゃるかと思います。さらに、大学生の9割が「営業をやりたくない」と思っているというデータもあり、労働力の減少なども相まって、これからの時代、営業活動を効率化していくことが求められます。
営業活動のなかでも一番の壁が、やはり「新規獲得」でしょう。また、マーケティングオートメーション(MA)を導入する企業数も年率120%で増加しているものの効果が出ているところは一部で、その原因が「リード不足」にあるといわれています。
これらの課題を解決するために、同社はSALES BASEを開発・提供しているといいます。
営業する前段階の「一番つらいところ」…リストからリード(見込客)の抽出、アポイントの獲得までが、クラウドとインサイドセールスを組み合わせて代行(※内製も可能)してくれるのがSELES BASEだといいます。過去に名刺交換したまま眠っている名刺や展示会で集めた名刺などがなかったとしても、400万件の企業ベータベースから条件抽出してリストを作成し、インサイドセールスチームがアポを獲得してくれるため、あとは営業に行くだけの状態になるそうです。
内山氏が考える営業成功のカギとは、「大量の営業先=リード」に、どれだけ「興味を持ってもらえるか=コンテンツ&MA」。
最終的に欲しいのは「受注」ですが、順にさかのぼっていくと「受注←商談←アポイント←リード」となり、そもそも大量のリードが必要となります。しかし、現在の日本において、リードを獲得する方法は「展示会」と「Web集客」の2つしかなく、これら「待ち」のマーケティンでは限界があると内山氏はいいます。
一方、アメリカでは、狙いたい企業をピッキャップして攻めていくABM(Account Based Marketing)が主流であり、SALES BASEでこれが行えるのだといいます。
同社ではさらに、SALES BASEとSalesforceのCRM「sals cloud(セールス・クラウド)」、MA「Pardot(パードット)」、AI「Einstein(アインシュタイン)」を組み合わせることで、月間300以上のアポを獲得しているそうです。
こういったシステムを使わずに人力でインサイドセールスを行うと「いまどの企業にアプローチすれば売れるか?」「忘れてしまっているリードはないか?」「優先するべき商談はどれか?」といった観点で担当者によってばらつきが出てしまうため、解消するために上記システムを活用しているとのことでした。<.
営業の方法としてべストなのは、上のスライドのように「マーケティング」「インサイドセールス」「商談」が分業化された状態で、世界のグローバル企業はおおむねこのフローで営業を行っていると内田氏はいいます。
従来、日本の営業マンはこれらのすべての業務を担当していましたが、本来は「優良なアポイントに営業して受注する」のが営業マンのミッションのはず。分業して各部門がそれぞれのKPIを設定して業務を進めていった方が目標が明確になり成功率も上がるといいます。
ここで、事例として株式会社ブロードリーフの代表取締役 大山 堅司氏が登壇し、取り組み内容と成果が紹介されました。
左から、内山 雄輝氏(SALES ROBOTICS株式会社 代表取締役社長 CEO&Founder)、大山 堅司氏(株式会社ブロードリーフの代表取締役社長)
ブロードリーフは、自動車整備会社向けの業務支援システムやソフトウェアを提供している東証一部上場企業。同社もかつては、600人の営業マンに「気合と根性」で営業活動に取り組ませていたそうです。SALES BASE導入当時は、アポ取りを一緒に行っていたものの、現在はアポ獲得まではSALES BASEにすべて任せ、営業マンは商談のみを行っているといいます。導入前後で営業効率を計算すると140%向上したといいます(時間ベースでの算出による)。
営業の分業化による効率アップに効果を感じた大山氏は、サポート業務のコールセンターやオペレーターの教育にも分業を取り入れ、顧客満足度が向上したといいます。
また、導入を成功させるポイントについて「このシステムでやる、と意思決定し、徹底すること」だといいます。「試しにやってみよう」では社内の軋轢に負けて失敗に終わる、部門ごとでも全社的にでも、徹底して取り組むことだと力説しました。
営業の案件がすべて可視化されることで、経営陣側にとっても「売上予測が立つ」というメリットがあったほか、これまでのターゲット市場が飽和して新しいマーケットへ進出する際にも、こういったシステムの有無では立ち上がりの低迷期間に大きく差がつくと述べました。
全体のふりかえりを兼ね、改めて「営業マンが欲しいアポとは?」を検討しました。それは、商談が決まるアポ、質の良いアポであり、さらに掘り下げて「質とは何か?」を考えると、担当者情報・検討段階・既存サービスの利用情報などの「情報量」であるといいます。
商談を行うにしろ、インサイドセールスを行うにしろ、そのリードにどれだけの事前情報があるかが肝だといいます。
ただし、インサイドセールスが向いている商材と、逆にどんどんアポを取って商談をしていく方が受注に結びつきやすい商材で分かれているとも述べ、具体的には下記のスライドのマトリックスのようになるとのことです。
まずは、自社商材がどこに当たるのかを考え、やるべきことを決める。そして、「最終的に欲しい売上」から「商談数」を逆算し、さらに逆算していって母数となる「必要なターゲット数」を割り出す必要があるといいます。
ターゲット数については、日本には本社ベースで150万社の企業があり、このうち売上1億円以上の企業は56万社となり、そこに与信などの条件を加えていくと、数はさらに絞られていくそう。このなかから自社がターゲットとする層を決めてリードを確保する必要があるとのことでした。
そのうえで、自社の営業の勝ちパターンを分析し、受注までの8つのプロセス(1.商談の創出、2.商談の見極め、3.課題や理想のヒアリング、4.活用メリット・価値を理解いただく、5.意思決定者に活用の価値を認識いただく、6.最終交渉・スケジュールの明確化と合意、7.契約号移管料・契約締結プロセス、8.受注・商談完了)それぞれでの目標設定を行ったうえで、案件管理をしていくことが重要だと述べました。
「インサイドセールス」がバズワード化していますが、インサイドセールスのなかで「顧客醸成型」のMAが一般に広まっているなか、同社のSALES BASEは初期のリード獲得の段階から活用できるので新規開拓に活用いただきたいと締めくくら、セッションは幕を閉じました。
「Salesforce World Tour Tokyo 2018」レポート 第三回 セッション「製造業向け:デジタルによる顧客接点革命」