毎回、ご好評をいただいている「日本の大富豪ランキングTOP10が残した名言集」の2019年版をお届けします。
今回、ニューフェースは10位にランクインした三木 正浩のみで、ほかは順位が前後しただけでした。総資産額は全体的に減少傾向にあり、前回と比較すると、第10位同士で-3億ドル、第1位同士で-5億ドルという結果となりました。
ご興味のある方は、バックナンバーもご覧ください。
目次
1【第10位】[NEW]世界長者番付597位:三木 正浩/36億ドル(ABCマート)
2【第9位】[-4]世界長者番付478位:永守 重信/41億ドル(日本電産)
3【第8位】[+2]世界長者番付478位:伊藤 雅俊/41億ドル(セブン&アイ・ホールディングス)
4【第7位】[+2]世界長者番付394位:重田 康光/47億ドル(光通信)
5【第6位】[-2]世界長者番付394位:森 章/47億ドル(森トラスト)
6【第5位】[-1]世界長者番付379位:三木谷 浩史/48億ドル(楽天)
7【第4位】[NEW]世界長者番付365位:高原 豪久/49億ドル(ユニ・チャーム)
8【第3位】[±0]世界長者番付69位:滝崎 武光/163億ドル(キーエンス)
2017年の7位にランクインしていたABCマート創業者の三木 正浩が返り咲き、10位にランクインしました。資産総額は2017年と変わらずの36億ドルをキープしています。会長職は退いていますが、30%近い株式を保有する筆頭株主です。
ABCマートの2019年2月期の売上高は、靴小売大手3社のなかで唯一、増加しており、好調。2018年12月には、販売員向けに接客中に在庫状況を確認できるアプリを全店舗で導入し、業務効率化と販売機会ロスの低減に取り組んでいます。もともと、店舗に在庫がなければ近隣の店舗の在庫を取りに行って販売するほど、販売機会ロスに敏感だった同社ですが、さらに強化された感があります。
そんなABCマートを創業した三木の言葉はあまり多く残されていません。卸売業のみからスタートしたところから、小売業へとの転換期に発した名言が以下です。
「俺は負ける喧嘩はしない」(三木 正浩)
小売での勝算があって踏み切ったということがわかる名言です。
2017年で7位、2018年で5位にランクインしていた日本電産の創業者で会長兼CEOの永守 重信は、前回より-15億ドルで第9位となりました。
スマホ分野での需要が落ち込んでいる反面、EV(電気自動車)用にインホイールモーターの試作品開発に成功したり、電動パワートレーンに参入するなど、車載分野での伸びが期待されます。
そんな日本電産の永守 重信の名言を改めてご紹介しましょう。
「休みたいなら、やめればいい」(永守 重信)
「下の人間が動くかどうかは、上の人間次第」(永守 重信)
「改革はすべてトップダウンで行うのが日本電産のやり方。「残業ゼロ」もトップの私が率先することで、会社全体に範を示していく」(永守 重信)
2017年で7位、2018年で10位にランクインしていたイトーヨーカ堂の創業者でありセブン&アイ・ホールディングスの名誉会長、主要株主の一人でもある伊藤 雅俊が、+2億ドルの41億ドルで第8位でした。
セブン&アイ・ホールディングスの最近の話題といえば、セブンイレブンの24時間営業を巡るフランチャイズ加盟店との対立が挙げられますが、海外コンビニエンスストア事業は、サラダやサンドイッチといった「できたて食品」が北米で人気を集めた結果、好調に伸びて国内での伸びを補完しています。
そんなセブン&アイ・ホールディングスの名誉会長 伊藤 雅俊の名言を改めてご紹介しましょう。
「信用というものの下限は安心感で、上限は期待感だ」(伊藤 雅俊)
「商売とはきびしいもので、一つでも、まずいもの、キズがあったら、お客様は来てくださらない。 商品は売れなくて当たり前、お客様は来てくださらなくて当たり前。 まずここから出発しなくてはならない。」(伊藤 雅俊)
「モノが売れないとかいっているけれど、それは本当の意味でお客様のことを見ていないからではないでしょうか」(伊藤 雅俊)
2018年で9位にランクインしていた光通信の会長兼CEOである重田 康光は、総資産を6億ドル増加させて第7位にランクイン。過去にも、1999年に世界ランキングで5位、2014年に日本ランキングで11位の記録を持っています。
光通信は近年、株式投資に注力しており、投資機関としての新たな顔を見せています。業績自体も回線事業を中心に堅調で、2019年6月から副社長の和田 英明を新社長とする人事を発表しました。
そんな光通信の会長兼CEO重田 康光の名言を改めてご紹介しましょう。
「重田死すとも光は死せず」(重田 康光)
2017年で5位、 2018年で4位だった森トラスト・ホールディングス社長の森 章が、総資産-16億ドルの47億ドルで、第6位にランクインしました。
森トラストは、2020年の東京オリンピックに向けて高級路線のホテル開発に注力しています。また、ボストンに続いてIT関連企業が集積するシリコンバレーでオフィスビルを取得するなど米国での不動産投資も加速させています。
そんな森トラスト・ホールディングス社長の森 章の名言を改めてご紹介しましょう。
「新しいシステムを運用する際は、往々にして経験が邪魔をする場合があります」(森 章)
「日本は経験者を重視してしまう傾向がありますが、機械の進歩は飛躍的に進んでいます。経験や、今あるものから積み上げて発想しても、あっという間に陳腐化したり、時代に不適合となる可能性が高い」(森 章)
「新しいシステムの性能がもたらされる由来を知るより、その性能を何に、どのように活用すると有効な成果を得られるのか発想する力の方が重要」(森 章)
2017年で4位、2018年で6位の楽天の創業者で会長兼社長の三木谷 浩史は、総資産-7億ドルの48億ドルで第5位にランクインしました。
そんな三木谷が2010年に社内の英語公用語化を宣言した結果、2018年時点で楽天社員(単体)のTOEICスコアの平均は830点に達しました。次の目標は、社員のプログラミング教育だといいます。車メーカーの社員が自動車の仕組みを理解しているのと同じように、ITサービス会社の社員がコンピューターについての基礎知識を持っている必要があるという考えに基づく計画で、1万7,000人の社員に対し、初級レベルのプログラミングスキルを身に付けさせるそうです。
そんな三木谷 浩史の名言を改めてご紹介しましょう。
「明日、何が起きるかなど、誰にもわからない。それは事実だ。
けれど、その不確定の闇の向こう側に、未来の姿を見る努力なくしては、未来を開くことなどできはしない」(三木谷 浩史)
「この世に不可能なことなどない。不可能はいつか必ず可能になる。 そう信じることのできる人間がどれだけ出現するかで、人類の未来は変わるのだ」(三木谷 浩史)
「明日のことは誰にも予測できない。変化を楽しめ。ひとを信じろ。未来は、そんな楽天者の上に輝く」(三木谷 浩史)
「意味のない自己顕示欲や、思い上がりは捨てた方がいい。結局のところ、最終的に成功するのは、謙虚に学べる人なのだ」(三木谷 浩史)
2017年で6位、2018年で7位のユニ・チャームの創業者 高原 慶一朗の長男で、2001年から代表取締役社長を務める高原 豪久が、初登場で、いきなりの4位にランクインしました。
父と同じ愛媛県川之江市(現四国中央市)に生まれ、1986年に成城大学経済学部を卒業後は三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行します。1991年、ユニ・チャームに入社すると、94年に台湾の合弁会社の副董事長(とうじちょう…中国・台湾の法人の責任者)に、1995年に年取締役に昇格。その後も、1996年に取締役購買本部長兼国際本部副本部長、1997年に常務取締役、1998年に常務取締役サニタリー事業本部長、2000年に常務取締役経営戦略担当とキャリアを積み、2001年に代表取締役社長に就任しました。
カリスマ経営者とよばれた父:高原 慶一朗のフロンティア精神あふれる名言に対し、2代目社長の高原 豪久の名言からは、経営、企業、顧客に対する熱くもクールな視線が感じられます。
「消費者の欲求が、階段を上がっていくのを待っていてはいけない。顧客より先に先に提案しないと絶対に階段を上がってくれない」(高原 豪久)
「『想定外のことが起こる』ということを想定して、経営していく時代になった」(高原 豪久)
「私は、人は勝手に育つものと考えています。会社にできることは、成長を促す良い習慣を仕組みにすることくらいです」(高原 豪久)
2017年で1位、2018年でも1位だったソフトバンクの創業者で会長兼社長の孫 正義は、2018年から-11億ドルの216億ドルで第2位という結果でした。
ソフトバンクは長年、通信会社として業績を上げてきましたが、通信会社から「戦略的持ち株会社」へと移行する決意を表明しています。グループの投資会社であるソフトバンク・ビジョン・ファンドが、1,000億ドルもの資金を武器に、四足歩行ロボット「SpotMini」を開発している米Boston Dynamics社さまざまな分野で将来リーター候補になりそうな企業を世界中から選んで次々に投資を行っています。
そんなソフトバンクの会長兼社長である孫 正義の名言を改めてご紹介しましょう。
「お金じゃない、地位や名誉でもない、ばあちゃんがやっていたような、人に喜んでもらえることに、貢献できたら幸せだ。どこか、名前も知らない、小さな女の子に“ありがとう”と言ってもらえるような、そんな仕事がしたい」(孫 正義)
「私の事業で、例えば世界のどこかの小さな女の子がにっこり微笑む。そんな一瞬のために業界ナンバー1になりたい」(孫 正義)
「まずはじめに、どこで世界一になるのかの方向性を定めなければいけません」(孫 正義)
「私がこき下ろされるのは構わない。笑われてもいい。ただ、日本の将来が笑われない様にしなければ」(孫 正義)
「親父がつけた名前は、正義。一生、この名前と付き合ってきていると、やっぱり、自分の人生のテーマとして曲がったことはできません」(孫 正義)
2019年の日本ランキング1位を獲得したのは、2017年で2位、2018年でも2位だったファーストリテイリング会長兼社長の柳井 正でした。総資産額は、2018年から27億ドル増の222億ドル。2017年から2018年にかけても36億ドルの増加で、順調に資産を増やしています。
ファーストリテイリングでは、2018年11月に柳井の2人の息子を執行役員から取締役へと昇格させました。息子を跡継ぎに据えるつもりはないと否定してきた柳井ですが、2019年2月で古希(70歳)を迎えました。かねてより、引退時期について「60歳」「65歳」と発言を翻してきただけに、この節目で引退するのではないか?との憶測もささやかれています。
そんな柳井 正の名言を改めてご紹介しましょう。
「経営とは、一番最後から本を読むようなもの。まずは結論ありきで、最終的に何を求めて経営していくかを決め、結論に至る方法を考えられる限り考え、いいと思う順から実行する。」(柳井 正)
「新しいことをやってダメだと思ったら、即座に撤退する。これが、つぶれない秘訣ですね」(柳井 正)
「海外はこういう方法ということではなく、グローバルワン、世界中で一つのことをやることが大事」(柳井 正)
心に響く言葉はありましたが?
共感したり、感化されたりする名言が見つかったら、座右の銘にしてみませんか?いつもの生活がこれまでとは少し違ったものに見えてくるかもしれません。
2020年の日本の大富豪ランキングもエムタメ!上でご紹介していく予定ですので、お楽しみに!