SNSで活用したい!オリジナルキャラクターの作り方と注意点

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いまやSNSは現代人の生活とは切っても切り離せないものになりました。公式アカウントを運用している企業も増え、SNSマーケティングが浸透してきました。

大手のBtoC企業を中心に、SNS上でオリジナルキャラクターを活用する例も数多くありますが、BtoB企業など、既存のオリジナルキャラクターを持たない企業では、なかなか踏み出しにくいマーケティング施策かもしれません。

ご存知の方も多いかと思いますが、キャラクターはSNSと相性が良く、上手に使えばターゲット層とのコミュニケーション向上に役立ちます。

ちなみに、以前の記事「 ライセンシングとは?企業がコラボすべき年代別の人気キャラクター 」でもご紹介した日本を代表するライセンサー(ライセンス使用を許諾する著作権利者)のサンリオでは、Twitterをはじめとする8つのSNSで合計40以上もの公式アカウントを運用しています(2019年5月現在)。

今回は、企業が公式アカウントを運用するなかでキャラクターを活用するメリットや、これからオリジナルキャラクターを作る企業様向けに作り方と注意点をご紹介します。

1.キャラクターをSNSで活用するメリット

「SNSとキャラクターは相性が良い」とお伝えしましたが、SNSで活用することで具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?

メリット1:企業アカウントに対して親しみを感じてもらえる

キャラクターなしで企業アカウントを運用する場合、個人名を出さずに「企業のSNS運用担当者」「広報担当者」として発信するか、「担当の△△」というかたちで名前を出して発信するかの2パターンになるかと思います。

どちらも、メッセージの受け手が具体的な顔を思い描きづらく「よく知らない人からの情報」もしくは「○○株式会社から届くダイレクトメール」に近い印象を受け、投稿内容に親近感を覚えてもらうことはあまり期待できません。

一方、キャラクターからの投稿であれば、まずアイコンの見た目から「かわいい」「癒される」といったプラスのイメージが沸き、受け入れてもらいやすくなります。

また、キャラクター設定として、口調などを決めておけば、「企業のSNS運用担当者」として丁寧語で情報発信するよりもくだけた表現を使うこともでき、親近感を得るのに一役買ってくれます。

SNS公式アカウントに対する親近感アップは、そのまま企業そのものや商品・サービスに対する親しみにつながり、プロモーション効果が期待できます。

メリット2:キャラクターならではのサービス展開ができる

キャラクターがあると、アニメーションや動画を制作して投稿したり、LINEスタンプを制作して配布・販売したりと、キャラクターならではのコンテンツを提供でいます。

また、キャラクターに関する「クイズ」や「間違い探し」といったちょっとしたゲームや、キャラクターとの会話を楽しめるサービスなど、ユーザーとのゆるいコミュニケーションを図れる遊びの要素を取り入れたサービスが展開できます。

こうしたサービスが直接的にユーザーのニーズを満たしたりソリューションを提供するわけではありませんが、ファンを醸成し、企業との距離を縮める効果が期待できます。

また、SNSの範囲からはみ出しますが、ノベルティグッズを制作してキャンペーンを展開したり、チラシなどの印刷物にも活用できるなど横展開がしやすい点もキャラクターを持つメリットです。

メリット3:複数人数で運用してもアカウントの統一感を保てる

メリット1でキャラクターなしで企業アカウントを運用する場合、アカウントに対する親近感を持たれにくいとお伝えしましたが、なかには担当者の個性を前面に出すことで、投稿回数を重ねるごとにファンを増やすことに成功しているケースもあります。

ただ、その場合、投稿原稿作成における担当者依存度が上がってしまい、特定の運用者に負荷が集中してしまいます。休暇や急病などで担当者が不在になったり他業務で多忙になったりするとSNSも止まってしまうなど、安定した運用は難しくなってしまいます。

その点、あらかじめ決めておいたキャラクター設定に沿った内容で投稿することで、複数人数で運用してもアカウントのイメージがブレる心配がなくなり、公式アカウントの運用負荷が軽減されます。

2.SNSでのキャラクター活用事例

実際にSNSでキャラクターを活用している事例をご紹介しましょう。

BtoC

BtoC企業でSNSにオリジナルキャラクターを活用している例は数え切れません。その中から2社の事例をご紹介します。

ぴーにょ(パソナ)

株式会社パソナのフェイスブックページより引用

人材派遣や人材紹介などの人材サービスを手がける株式会社パソナは、フェイスブック上でオリジナルキャラクター「ぴーにょ」を活用しています。

アイコンはぴーにょ。投稿写真にはぴーにょのぬいぐるみが登場。投稿はぴーにょからの情報提供という体で、語尾は「にょー」で統一されています。

ときには、ぴーにょが夏休みのため、代理で中の人が出て来て告知を行うという逆転現象も。

株式会社パソナのフェイスブックページより引用

遊び心が満載ですね。

ちなみにパソナでは、貿易、経理、秘書の各カテゴリに特化したフェイスブックページも運用しており、それぞれのアイコンがぴーにょのデザイン違いとなっています。

株式会社パソナのフェイスブックページより引用

株式会社リクルートホールディングスが運営する不動産売買のポータルサイト「SUUMO(スーモ)」のSNSでは、オリジナルキャラクターのスーモと仲間たちが活用されています。

SUUMO(スーモ)

SUUM公式サイトより引用

スーモのフェイスブックページより引用

スーモのツイッターより引用

SUUMOではほかに、インスタグラム、LINEなどでも公式アカウントを運用しています。

今日は #森林の日 なんだって~♪
森林にあそびにきてみたんだけど、ぼくがどこにいるかわかるかな・・? pic.twitter.com/dqrUShBabt

— スーモ (@suumo) 2019年5月20日

マンガやクイズ、イラストなど親しみやすいコンテンツがメインで、ごくたまにイベント情報などが入ってくるというバランスで投稿されています。いかにもWebサイトへの誘導するためだけではない投稿姿勢が参考になりそうです。

BtoB

BtoB企業でキャラクターを持っていてもSNSにフル活用できているといえるところは、まだほとんどありません。そのなかでも、活用が進んでいるのがコンテンツマーケティングやSEOのコンサルティング、Webサイト制作などを手がける株式会社ウェブライダーです。「沈黙の」シリーズの書籍は、当サイトでもご紹介してきました。

株式会社ウェブライダー

株式会社ウェブライダー公式サイトより引用

公式サイトのトップページでもファーストビューでキャラクターが大きく表示されています。
キャラクターの名称は不明ですが、企業ミッションとして掲げる「すべての人をヒーローに!!」から作られた戦隊であることが推測できます。

ファイスブックの公式アカウントもアイコンからカバー画像までオリジナルキャラクターがフィーチャーされています。

株式会社ウェブライダーのフェイスブックページより引用

Twitterには公式アカウントはありませんが、代表取締役の松尾氏のアカウントでも、このキャラクターが活用されています。

(松尾 茂起氏のTwitterより引用)

キャラクターから受ける印象は「力強さ」「心強さ」といったところでしょうか。コンサルティングを手がける同社のアピールポイントをうまく表現したキャラクターだといえますね。

ほかに、SNSの一部でのみオリジナルキャラクターを活用している例として、LINEスタンプを発売している伊藤忠商事株式会社の「いとうチュウ太」や、スターティア株式会社の「ビジ助くん」があり、今後のSNSでの活用が期待されます。

いとうチュウ太

LINE STOREより引用

ビジ助くん

LINE STOREより引用

どちらも、BtoCのようなかわいらしく親しみやすいキャラクターとなっています。

3.オリジナルキャラクターを作る5つの方法

すでに自社のオリジナルキャラクターをお持ちの企業様は、実際にSNS上での運用フェーズに入っていただけば良いのですが、運用したくてもまだオリジナルキャラクターを持っていないという企業様の方が多いかと思います。

ここでは、オリジナルキャラクターを作る5つの方法をご紹介します。

1.自社デザイナーに依頼する

チラシ制作やWebサイト更新など、デザインを手がける部署が社内にある場合は、デザイナーに依頼して制作することができます。

この方法でネックとなり得るのは、リソースの確保と、キャラクターを作成する目的やビジュアルイメージの共有などですが、基本的には外注するのに比べるとハードルは低いといえます。

制作コストが抑えられる点と、修正対応やバリエーション違いの追加制作などで融通をきいてもらいやすい点がメリットです。

一方、自社デザイナーが希望のテイストで描けるスキルを持っているかという点は確認が必要です。

2.担当者が自作する

マーケティング担当者や広報担当者にイラストを描くのが得意だったり、Illustratorなどのデザインソフトに精通していたりする場合は、自作するという手段が取れます。

同じ部署のため、自社デザイナーに依頼するよりもリソースを確保しやすく、納期も融通が効く方法です。

デザインソフトを保有していない場合でも、KritaGIMP といったフリーのデザインソフトを利用することができます。

イラストも描けないしデザインツールも扱えないけれど、どうしても自作したいという場合、キャラクターのタッチやデザインは制限されてしまいますが、FaceQなど無料で利用できるアバター作成アプリで作成するというのはいかがでしょうか。

手描きまではできるけれど、データ化できないという場合は、キャラクター制作の続きを外注するという方法が取れます。

3.制作会社に外注する

やはりプロに頼みたいという場合は、費用はかかりますが制作会社に外注するという方法が無難です。依頼にあたり、料金体系や過去の実績をしっかりチェックする必要があります。

自分でまったくイラストを描けない場合も、文章や似たテイストのキャラクターを提示して依頼することができますし、用途を伝えればそれに合った仕様で納品してもらえる点が安心です。

費用の相場は数万円~十数万円程度です。

4.フリーランスのイラストレーターに外注する

制作会社に依頼するより比較的安価に制作を依頼することができます。
たとえば、クラウドソーシングやスキルフリマ(例:ココナラ といったサービスでイラストレーターを見つけることができれば、かなり低額に抑えられます。クラウドソーシングのコンペ形式を利用すれば、費用をかけずにより良いキャラクターデザインを選択することもできるでしょう。

ネックとなるのは、そのイラストレーターに対する信頼性を確認しづらい点と納期。基本的には個人へ依頼することになるため、制作会社に依頼する場合と比べると契約が曖昧になる傾向があります。

また、一人で制作を請け負っているため、依頼が重なると希望納期で仕上げてもらえない可能性があります。

電話や対面など、確実にコンタクトを取れるイラストレーターを選ぶのも一つの安全策です。

費用の相場は数万円程度です。

5.公募する

自社サイトやWeb広告などで、オリジナルキャラクターを募るという方法です。
募集を告知する方法によってコストはまちまちです。応募の規格次第では(たとえば手描きも可とするなど)、その後、キャラクターとして整え、データ化する(外注または内製化)工数が必要となってきます。

メリットは、担当者だけでは思いつかないようなキャラクターと出会えたり、社外から見た企業のイメージを把握できる点、多少なりとも社名の認知につながる点などです。

ただ、企画から応募、選考、決定キャラクターの発表など工数がかかるため、急いでSNSでキャラクター運用を行いたい場合には向きません。

社員が多い場合や、キャラクターを制作していることを競合などに知られたくない場合などは、社内のみでクローズドで公募するという方法もあります。また、キャラクターそのものは1~4までの方法で制作しておき、キャラクター名だけ公募するという手もあります。

ほかに、広告代理店にキャラクターデザインから商品・サービスのプロモーションを依頼するという方法もありますが、SNS運用をベースでのキャラクター活用として考えると高コストです。ただ、本格的にキャラクター活用戦略をしようと考える企業様は検討してみても良いでしょう。

4.キャラクターをデザインする前に検討しておくべき点

オリジナルキャラクター制作に着手する前に検討しておくべき点がいくつかあります。

社内制作でも外注でも、制作を進める場合も大事なのが「目的(「サービスに親しみを感じてもらい、売上を伸ばすため」など)」と「主な用途(「SNSでの運用」など)」を明確にしておくこと。キャラクターをつくって、そのキャラクターが人気を集めるようになったら「成功した」と考えてしまいそうですが、それではキャラクター制作の目的が「人気キャラクターを生み出すこと」にすり替わってしまっています。

目的と併せて具体的な数値目標も立て、これに沿って運用すれば「費用をかけてキャラクターを作ってはみたけど、結局あまり活用もされていないし効果も出なかった」という最悪の事態は回避できます。

また、自社や商品・サービスのつよみなどから、キャラクターに託したいイメージ(ターゲットにどんなイメージを与えたいか)を決めておくことも大切です。ただ「かわいい」だけでは、親しみやすさは感じられてもその他大勢のキャラクターたちに埋もれてしまい、覚えてもらうことは難しいからです。

競合他社はもとより、アニメやゲームなどのキャラクターを含む膨大なキャラクターたちとの差別化を図り、唯一無二のキャラクターとして自社や商品・サービスを想起してもらうためには、事前に戦略を立てておくことが重要です。できれば、既存のキャラクターの分析までしておくとなお良いです。

さらに、キャラクターのモチーフ(人、動物、その他)、性格、テイストや使用色、世界観などもある程度、決めておくと制作の過程でブレにくくなりますが、反面、デザイン段階での自由度を狭めてしまうことにもなります。どこまでを事前に決めておくか、どこから先をデザイナーに任せるかという線引きを検討しておくと良いでしょう。

これらはキャラクターデザインが確定してから決めることもできます。また、制作会社にキャラクターデザインを依頼する場合は、世界観まで含めて制作してくれるプランがある場合もあります。

5.キャラクターデザインを依頼する際に確認すべき点

制作会社やフリーのイラストレーターなどにキャラクターデザインを外注する場合、制作費(金額と修正対応範囲)、納品形式、納期のほか、過去の制作実績(希望のテイストで制作してもらえそうか)、著作権についての確認が必要です。

制作費では、特に「修正対応」について確認しておきましょう。どの工程まで修正依頼が可能なのか、どの範囲まで対応してもらえるのか、何回まで対応してもらるのか、追加修正費用はいくらなのかなど、外注先によってまちまちなので要確認です。

また、運用過程で、ポーズ違いや小物を持たせたり服を着せ替えたりといったデザイン・バリエーションを作る必要が出てきた場合のために、追加制作費についても確認しておくと万全です。

バリエーションを作る必要が出てきた場合のために、追加制作費についても確認しておくと万全です。

納品形式は用途に合わせて対応してもらいましょう。JPGやPNG、PDFのほか、チラシやノベルティグッズ、Web広告などでも活用する場合はAIやPSD形式でも納品してもらった方が良いでしょう。

著作権については、基本的にデザインした人に帰属するため、本来はキャラクターを使った動画やノベルティグッズなどを制作したい場合は、その都度、デザイナーに許可を取らなくてはなりません。

ただ、毎回許可を取っていては煩雑なので、著作権譲渡契約を結んで翻訳権(著作権法27条)と二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(同28条)について、著作権の一部の譲渡を受けることができます。

6.まとめ

ご紹介してきたように、企業がオリジナルキャラクターを作るの(デザイン)は、実はそんなにハードルが高いものではありません。

どちらかというと、デザイン前の戦略立案と、できあがったキャラクターをどのように活用していくかが重要です。

SNSを含めたマーケティングにおけるキャラクター活用については、また当サイト上でも取り上げていくので、お楽しみに!

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